三話 風の騎士。
・・・・・・・・・・
いつものように、目が覚める。
朝日が差し込み、平和を感じる。
実際は、平和とは程遠いのだが、
「あー、よく寝た。。」
腕を伸ばして気持ちの良い朝を迎える。
「由衣〜起きろ〜」
「あ〜、うん、起きるよ。」
由衣も1年で朝が強くなったようだ。
由衣も腕を伸ばして、
「ん〜ん、よく寝た。」
由衣も気持ちよさそうに朝を迎えた。
「さて、ダイニングに行こうぜ!」
「はいはい、でも、髪とかして行くから、先に行ってて!」
由衣は手を振って、俺を送った。
・・・・・・・・・・・・・
「やぁ、おはよう。」
レインもいつもどうりに挨拶をしてきた。
が、目の下に隈があり、どうやらあまり眠れなかったようだ。
「おはよ。由衣なら、もうすぐ来るぜ。」
「ああ、わかっている。」
この会話も何回も繰り返している。
「昨日はよく寝れなかったのか?」
と隈をみて聞く。
「ああ、あの夢を見てな。」
レインの過去の話だ、
前に1度聞いたことがあるが、とても哀しい話だったのをおぼえている。
「そうか、」
俺はこれ以上散策するのはやめた。
レインはいつも平然と物事を片付ける。
それは、自分にあった不幸を他の誰かに起こらないように、だからいつも冷静に、物事に対処していると俺は思っている。
「お待たせしましたー!」
由衣が髪をなびかせ、ダイニングに入り席に座る。
「さて、朝食にしましょう。」
マルスはいつものように、食事を運んできた。
・・・・・・・・・・
「はぁー美味しかった。」
「うん。美味しかった!」
3人とも満足し、俺と由衣は修練のため外へ
レインは自室で資料の整理を行う。
「さて、今日は私が勝つわよ!」
自信満々にそう言う
「これまで、347戦中、俺に勝てたことがあったか?」
俺はどうだ!という感じで偉そうにいう。
「それでも、レインには勝ててないよね?」
「くっ、それはそうだが。」
由衣に痛いところを突かれる。
「私は1回勝ったことあるもんね〜」
多分100戦中くらいの1回なのだが、とても自慢をしてくる。
俺が勝てたこと無いのでしょうがないが。
「俺に勝ってからそれを言えよ!」
と俺も由衣の痛いところを突き、剣を抜く。
「ふん!今日は勝つもん!」
いつもそれだが。
由衣も剣を抜く。
「行くぜ!」
「はぁぁぁぁ!!」
剣と剣が混じり合い、戦闘がはじまる。
・・・・
「シャイニングハート。」
「シャドーバンプ、シャドーミスト。」
と2人とも全開で力を解放する。
・・・・・ 「ほう。今日もやっておられますな。」
マルスは窓の外から彼らを観る。
「ヒカル様とユイ様の能力はほぼ互角と言っても過言ではない。だが、2人の剣術能力はヒカル様の方がユイ様の三倍は速く、正確そして、滑らかな動き。これは剣の戦いでは、最も重要になってくる。それにあの、物質が当たらない能力と、自身を強化する能力があれば、その内、レイン様も超えるでしょう。」
マルスは輝を高く評価していた。
何故なら、マルスは輝に対して、とても厳しく接し、修練も輝には、由衣、レインの倍を与え、輝はそれに耐えたのだ。
「ヒカル様。私では、もう貴方には勝つことが出来ない。」
そう言って、2人の戦闘を眺める。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ふぅ、さて、もう一段階あげるかな。」
「シャドーレイ!」
闇のオーラは更に濃くなる。
「さて、このスピードに着いてこれるかな?」
と指を立てて、来いと挑発する。
「調子に乗るなー!!!」
由衣は怒って俺に突撃する。
俺はそれを軽く躱し、由衣の首を手刀で叩く。
「かァァ!」
由衣は気絶し、力を一段階上げるとあっさり俺の勝ちが決まった。
「はい、これで348勝!」
体に纏う闇をオーラを消して、由衣にピースをして言う。
「あぁ〜もう!何で勝てないのよ。てか、卑怯よ!」
悔しそうに地面を手で叩き言う。
「それは、君の力がヒカル君に届かないからだよ。」
ウィンドが敷地内に入ってきた。
「おお、ウィンドじゃねーか。」
俺は驚きながらそう言う。
ウィンドが来るのは、大事な連絡又は大事な書類を取りに来る時だ。
「今日はどんな様だ?」
「連絡と書類を取りにきたが、今もう一つ用事が出来た。」
「今出来た?」
「ああ、君と手合わせがしたい。」
騎士団長のウィンドと手合わせがてきる。
「おっし!やろうぜ!」
反射的に言ってしまった...
実力はまだ程遠いいのだが。
・・・・・・・・・
「さて、では始めるとしようか。」
ウィンドが剣を抜くと、辺りの風が激しくなり始める。
特にウィンドには風が纏っているようだ。
「俺も一気に行かせてもらうぜ。」
「シャドーレイ、シャドーミスト!」
「ヴィールト!」
とウィンドからの激しい風でシャドーミストが掻き消された。
「俺のシャドーミストはやっぱり、使えないか。」
実体が見えてしまっては、剣が当たってしまうので、意味がない。
「やっぱり剣と剣だな。マルスは観てないかもだが、今日、勝ってやるぜ!」
剣をしっかり握りウィンドに向ける。
「いい顔だ。私も本気で行かせてもらおう。」
俺は一気にウィンドに詰めようとする。
「正面か。面白い! ヴィールトカッター!」
ウィンドは剣を空振りすると、辺りの空気を圧縮し、斬撃として食らわせる。
「クッ!」
俺は何とか重い一撃を剣で捌き、2mまで近寄れた。
あと、1歩だ。そこに立てれば。
「ほう、今のを捌けたか、」
ウィンドは更にもう一撃、至近距離で放つ。
俺は前傾姿勢のようになって、剣で防ぐと、
「終わりにしよう。」
とダメ押しのもう一撃。
ダメかと思ったが。
「2体1がダメとは言ってないよね!」
と由衣がウィンドの後ろに立つ。
「なぁに?!?」
ウィンドは慌てて振り向く。
その瞬間、風の斬撃は消えた!
「はぁぁ!」
剣はウィンドの首で止まる。
「ははは、負けたよ。」
ウィンドは少し悔しそうにして、剣を収め
「次は負けないからな!」
そう残して、屋敷にはいる。
実際には、ウィンドの方が実力が上で、由衣がいなければ死んでいたかもしれない。
「次は勝たないとな。」
「何言ってるの!今実際に勝ったじゃない!」
「あのな、2体1じゃ勝ったことにはならねーよ!まぁ、助けてくれたのには感謝するが。」
「でも私、剣持ってなかったよ?」
と屁理屈を簡単に言うのだ。
「お前なぁ、持ってなかったとしても、1対1の戦いで、背後に立たれたらそりゃ誰でも振り向くわ!」
「でも、実際にはそういう事も有り得るでしょ?」
またもや屁理屈を言う。。
由衣も1年で変わったなと、ここ最近で感じる。
「まぁ、次は一人で勝つ!」
と俺は一言意気込んだ。
・・・・・・・・・・・・・・レインの部屋にて。
「おや、ウィンド、どうやらあの2人に負けたようだな。」
「ああ、2人とも強くなったようだ。」
「そうだろう。私も最近勝てるか心配になってくるぞ。」
と私は自分の不安をいう。
「さて、書類を、」
とウィンドは自分の仕事を早々と済まそうとする。
「ああ、これだ。」
と出来上がった書類を渡すとぱらぱらと書類を見て。
「ふむ、よく出来ているな。」
直ぐに読み、書類の出来を軽くいう。
何故そんなに速く読めるのか不思議だが、そこは言わないようにしている。
「あの件はあの2人に行かせるのかい?」
あの件とは第5使団の討伐作戦の事だ。
「ああ、今のところそのつもりだ。」
「そうか、了解だ。では、また会おう。」
と心配する素振りすら見せずにウィンドは帰る。
余程、彼らの実力を知れたのだろう。
さて、もうこんな時間か。
私もあの2人と修練のじかんだな。