ニ話 夢。
・・・
「ただいまー。」
俺は一日かけて、森から帰った。
「お帰りなさいませ、ヒカル様。」
マルスが出迎えに来た。
「その様子ですと、60人はお斬りになったようですな。」
と顎に手をあてて、俺の体をジロジロと見て判断する。
「流石だなマルス、確かにそんくらいだ。」
「そうですか、お風呂の準備は出来ております、入ってきてはいかがですか?」
手で鼻をつまみいう。
「返り血が臭って悪かったな!!」
・・・
「は〜、、いい湯だな」
俺はお風呂が嫌いだったが、いつしか、疲れを癒す風呂が好きになっていた。
これは、辛い修行中に感じたことだ。
・・・・・・・
「ただいまー!」
馬に乗って私は半日でかえった。
「お帰りなさいませ、ユイ様。」
マルスさんが出迎えに来た。
「先程、ヒカル様もお帰りになりました。ユイも、50人程斬ったご様子ですね。」
「ええ、もう、返り血で臭って、」
私は不満を言う。
「それが、騎士というものです。」
私に一言いった。
「お風呂出来てる?」
「ヒカル様が今入っておりますので、」
うわ、まじかよ。と私は心の中で思った。
・・・・・
「あ〜いい湯だった〜」
輝がでてきた。
「いい湯だった。じゃないわよ!1時間くらい入ってたじゃない!」
「おー、3日ぶりだな、てか、血の臭いすごいぞ。」
輝は皮肉をいう。
「うっさいわよ!輝が任務に行ってからすぐ私にも任務がきて、17使団を潰しに行ってたのよ!」
「あ〜そうだったのか!」
輝は凄く笑いながら私にいう。
「取り敢えず、風呂入ってこいよ。」
「言われなくても行くわ!」
由衣は怒っていた。
・・・・・・・・・・・・
「レイン様。ヒカル様とユイ様がお戻りになりましたよ。」
「そうか、彼らも逞しくなったものだな。」
「そろそろ、食事の時間かな?」
「はい、ダイニングにお越しください。」
とマルスは一礼して、ダイニングにむかう。
「さて、資料も片付いた所だ、私も行くとしよう。」
と黒く長い髪を靡かせ、ダイニングへ向かう。
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「は〜疲れた。」
俺はテーブルにぐったりしていた。
「私だって疲れわよ。」
由衣が風呂からでてきた
「君たち、疲れているようだね」
レインが自室からでてきた。
「あー、疲れたさ、敵も多くて、斬るだけだったけどな。」
「私もそうだったわ、でも、団長だけ以外にやり手だったわ。」
「2人とも、魔法は使いましたか?」
とマルスは食事を運びながらでてきた。
「はい、使いました。」
「私も、使いました。」
俺達は反省した口調でいった。
「貴方達、魔法は本当に奥の手だと、いつもいっているでしょう。」
とマルスの口調が怖くなった。
「だって、」
「だって、何ですか?」
「いえ、すみません、次は気をつけます。」
「貴方達は確かに強くなったが、まだ、聖騎士の中で言えば、まだ、下の区分。貴方達はまだ未熟。」
と今日の肉を切りながら言う。
「わかっています。」
俺はまだ、、レインに勝てていない。
「そうね、わかったわ。」
「さて、食事と致しましょう。」
と食事を並べる。
・・・・・・・
輝、由衣、部屋にて。
「今日も、マルスさんに言われちゃったね。」
「ああ、でも、あの人は俺達のことを本気で強くしてくれてる。」
「そうだね、もっと強くなろうね!」
「ああ、勿論だ!いつかはウィンドに勝てるように強くなるぞ!」
ウィンドは王国、最強の騎士、剣術、魔法、全てに置いて右に出る者がいない。
今の俺では、瞬殺されるだろう。
「ああ、いつかは、勝とうな。」
俺はそう言って、布団に入る。
「うん!じゃあ、寝ようか。」
由衣も隣で寝ようとする。
「じゃあ、おやすみ。」
「おやすみ。」
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レイン、自室にて、
「マルス?なぜ、今の彼らが、下から数えた方が良いといったのだ? 実力的には上から、私の下の3番、4番の強さはあると思うぞ。」
レインは不満そうに聞いた。
「簡単な事です。彼らはまだまだ強くなれる。その可能性を彼ら自身が潰さないように、言っているだけです。」
マルスはしっかり考えていた。
「なるほどな、1週間後、第5使団の拠点に行かなくてはならなくなった。彼らに行かせるかい?」
「ええ、そうですね。今度は2人に行かせましょう。」
「第5使団、こうも良く見つかるものだな。
去年までは、使団を見つけるのは困難だったのにな。」
「さて、そろそろ寝ようとしよう。」
と言い、布団に入る。
…………頭でよぎる声。 助けて。お願い。お義父さま!!
私の声。小さい頃の私の声だ。
義父様は獣人だった。
お母様は私をかばって死に、マルスが、義父様を斬り、私を助けてくれた。
・・・あの時のことは、忘れることが出来ない。
私が戦う理由は獣人を蹴散らし、他の子どもが、私みたいにならないように……
「夢か。」
私は途中で目が覚めた。
机にある、母の写真を見て、もう1度布団に入る。
「おやすみ、お母様。」