プロローグ
こりずに新連載です。
よろしくお願いします。
許さない
こんな世の中
許せない
怒りと
恨みと
負の感情が交じって、血が熱くて逆流しそうだ。
「……」
骨に赤い鮮血が落ちていく
熱く感じたのは、肌が切れたからか
一気に流れ出る血流は鮮やかで、目の前が真っ赤になる
――みんな、この竜に踊らされて
殺されてしまえ
『願いを聞き入れた』
――?
『怒りの感情を注ぎ、我を目覚めさせし、シルマー。竜の番人よ』
『共に消えるまで、怒りを滾らせ敵を滅せよう』
――誰……?
知らない男の声。
私は、語りかける彼の顔を見ることなく瞼をおろした――
◇◇◇◇◇
『どうして!?どうしてよ!どうして貴女が生きてうちの利香が死ななきゃならないの!?』
私を揺さぶる利香のお母さん。
泣いてる。
責めてる。
血の繋がった娘が殺されたんだから。
『見殺しにしたんでしょ!?自分が助かりたい一心で利香を……!』
『よさないか!紫姫さんとは住んでいる区域が違うんだ!途中で別れたと話しているじゃないか!』
『一人で登下校は止めるようにって政府でも警告していたじゃない!家まで利香を送って、それから帰れば良かったのよ!』
『そうしたら紫姫さんはもっと長い時間一人で帰宅することになるんだぞ!』
『知らない!知らないわよよよおおお!』
利香のお父さん、お母さん、ごめんなさい。
もう少し早く帰れば。
もう少し遅く帰れば。
違う道を通れば。
良かった。
『本当はどうなの?お友達を見殺しにしたんでしょ?』
『悪運が強くて』
『代わりにあんたが死ねば良かったのに』
歪んだ笑みを見せる女の唇は、血のように赤い。
毎日、利香の机に花を添える。
現実なのに、教育という環境に社会から隔離された学校生活は、十代を無知で無垢にさせる。
今、日本が、地球が、人間が、窮地に晒されていることに現実味を実感しない。
私は、利香の死を目の当たりにして現実世界に放り出された。
そして、教育という囲いの中でぬくぬくとしている者達は、情報操作に簡単に引っ掛かり、私を知ろうとせずに『悪』と認定するのだ。
『人殺し』
と――