第2話、女神新宿ヘ着ク
「さて、改めて……。妾の大冒険の始まりなの!」
ここは、妾を奉る国、日本。その中で1番人が多くいる場所、東京なの。
妾たちは気球を樹海に隠すと、『ばす』という羊羹のような乗り物を使ってここまで移動をした。
ちなみにフクロウは、「山梨から東京都心への移動はバスが1番お財布に優しいのです!ほっほー!」
とか言っていた。
そんなことはどうでもいいの。
それより今の妾の周りにはたくさんの巨大建造物。高速で移動する巨大な羊羹。歩く人々の手には誰もが光る紋所を持っていることが大事。
いつの間にか妾の知っている世界の面影はもはや存在しないレベルまで変化していたの。
「フクロウ! これからどこに連れてってくれるの?」
わくわくしながらフクロウに詰め寄っていると、『ぐーっ』とお腹が鳴った。
「ホッホー。丁度お昼の時間ですね。下界のことを知り尽くすワタクシにお任せ下さい!新宿駅に着いたらまず初めにミャクドナルドで腹ごしらえをするのが紳士の嗜みなのです。」
「ミャクドナルド??」
「こちらのお店のことです!さぁさぁ!入りましょう!」
フクロウの指さす方向には赤と黄色の看板のいい匂いがするお店があった。
『いらっしゃいませ。お決まりでしたらご注文をどうぞ!』
「ミネルヴァ様、注文はワタクシにおまかせを。
あの、ラッキーセットを2つお願いします。あ、オモチャは2つとも車のやつで。」
フクロウがよく分からない事をずっと言っている。
妾はフクロウが注文をしている間ボーッとレジの奥を見ていた。
レジの奥では見たことない音を鳴らす物体や、せかせかと作業をする人達がいた。
『ラッキーセット2つでおまちのお客様ー!』
妾が全てを見渡す前にもう料理が出来上がっていた。
早すぎる。作り置きの冷めたものを出してるの?
「さぁ、ミネルヴァ様!これがミャクドナルドのヒャンバーガーとピョテトというものです!あ、お飲み物はコーラにしました。お気に召すとよいのですが!」
「全て聞いた事のない食べ物なの…。うん、食べてみるの!」
「「いただきます!」」
まずはヒャンバーガーというものを1口食べてみることにする。
はむっ。
こ…これはっ!?
トマトのソースと熱々のお肉がマッチしていて、作り置きの粗悪品とは思えない味がする。夢中になりバクバクと1つを食べてしまった。
「ミネルヴァ様、ヒャンバーガーばかりですと喉が渇きませんか?」
「うむ。確かに口の中のがカラカラするの……。」
「ホッホッ。そんな時こそコーラです!」
フクロウの差し出すこーらという飲み物に手を伸ばしてみる。
その後、教えられるがまま、ストローという道具に口につけ息を吸った。
すると、口の中に不思議なシュワっとした甘い液体が広がった。
それは今まで飲んだことがない不思議な味だった。
「フクロウっ!いますぐコレを天界に持ち帰るリストに追加するの!」
「ホッ!?そんなリストないです!ミネルヴァ様!」
「ないなら作るの!」
言い終えると目をキラキラさせてコーラを再び飲み始めるミネルヴァだった。
ミネルヴァ様の天界に持ち帰っちゃおうリスト!
byフクロウ
NO.1
コーラ
黒い飲み物。ヘドロではない。
味は甘く、しゅわしゅわする。毒物ではない。
スポーツ観戦の際にはコーラを飲まなければいけない義務があるらしい。
材料は恐らく、シュガー、げっぷ草、こーらいにんじん、黒色着色料etc……