−天才に偽り無し④−
「先ずは貴女の経歴。肉体とにまるでズレがあるような精神と経歴。流石に違和感は拭えなかったわ。そもそもその歳で軍人になっているなんて事情から怪しみはしたけど」
実績だけで言えば歴戦の戦士、いや軍人だ。万人と比べるのも変な話だが織宮さんやアリスさんを引き合いに出しても遥かに超えている。それを二人よりも短い時間で抜いてしまった。魔法や知識ならともかく純粋な実戦の経験まで抜ける筈がないし有り得ない。
仮にそんな死闘を経てしまうなら先ず命が幾つあっても足りはしないだろう。
そう。命が幾つあってもだ。
「次に先ほどから不死鳥の如く繰り返す絶対死からの不可思議復活。どれを切り取っても説明するのに単純な回復や再生の問題ではおかしな点が多かった」
首から上が吹き飛ぼうが怨嗟と業火の渦に呑み込まれようが全てがなかったことになって完全に復活。今更だがやはり首が飛んだら鮮血は舞ったし、燃えてもいたのだから衣類まで元通りになるなんて治癒だけじゃ理屈が通らない。そしてユリス先輩の時には閃光を間近で浴びて視力を一時的に失った。あれは自然回復に頼っていたのも疑問だ。
「そして今貴女がこの場にいる理由。これが一番にして最大の根拠」
反射を使う悪魔すら無力化した力に対抗する後出しが可能であり、引き金となる条件が発生した際に発動するある意味で私の魔法以上に反則的な力。
それは魔法だがまた特殊で厄介なもの。
「ああ、そうさ」
彼女から笑みも形相も消えた。
ただ荒々しい口調を残してーー。
「私は死なない。何故なら死ねば勝手に時間が巻き戻るから」
「………」
「代償は自身の肉体活動の停滞。つまり私はこの状態からずっと時が止まったままなのさ」
代償。
これは所謂ーー。
「【リバイバルシフト】。それが私にかけられた魔法の………否、呪いだよ異端の天才?」
特別な者は特別な境遇を得たから特別になってしまうのではないのかとこの時ばかりは意識せざるを得なかった。




