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◇旋律と蒼天のブライニクル◇  作者: 天弥 迅
第ニ章 ただそうしたかったから
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−天才だからこそ⑤−


彼女が人間を装おって現れたのは何の為か? 何を企んでいるのか?

模索していて再び違和感が押し寄せた。喉から出そうな所にあって中々言葉に出来ないこの嫌な感覚。後もう少しで解けるのでは、と思わせ混乱する。

振り返すが、見落としがある。時間の経過と共にどんどん数は増えてる気もして早く見付けなければ踏み場もない落とし穴だけが周りに残ってしまってそうな状態。

何なの?

そんな私の苦悩を知らずに菖蒲の少女はふと声を上げる。

どうしたのか? と尋ねてみるとーー。


「今誰かの人影があったよ。もしかしたら悪魔なんじゃ………」

「ま、まさか………」


早計過ぎる意見に半信半疑で答える。

が、こんな時間に生徒が単独で徘徊しているのもおかしな話だと疑念も抱く。

いやいや、そんなに都合良く敵である相手が判りやすく尻尾を見せるだろうか? しかももし本物だった場合だとこれは明らかな罠と考えるべきか? 此方が気付いているのなら向こうも気付いているなんてのはありがちだ。寧ろ誘い込む為に姿をチラつかせたと思う方がしっくりくる。

前回も悪魔には先手を取られているから疑い深くなってしまう。

ここは様子を見るのか一先ずは残りの皆と合流してからにするのか?

判断に悩む自身。

そんな私を尻目にーー。


「行くよッ、シェリーちゃん」

「ーーって、ちょっ………えー?」


ノーライズ・フィアナは果敢にも、いや無謀にもその人影を追って走り出すのだ。

決断力の速さと無鉄砲さに舌を捲き出遅れて後を追う羽目になり、彼女は瞬く間に曲がり角へと消えて行く。結局悩んでいた時間が無駄だった。

ある意味で天才だわ。

それとも悪魔だと言いながらそうでないと思っているからこその行動なのか?

まさかーーね。

変に何もかもを怪しんでしまう自分の愚かさを内心でだけ一喝して同じ道筋を辿る。

その先に通じていたのは地下への階段であった。普段なら素通りするあまり身に覚えもない立ち入らない場所。いかもにもな怪しげな雰囲気を漂わせる闇の道にも見えそうだ。しかし、間違いなく菖蒲の少女はそこへと駆けたのだろう。一本道しか続かないのだから壁でもすり抜けない限り絶対に見失ないはしないし今も足音も響いているので確実だ。

続く私は慎重を期しながら階段を下る。

コツン、コツンと自らの靴の裏の反響しか聞こえなくなった。恐らくは先陣した馬鹿な友人が動きを止めたと思われる。それが何を意味するのかは判らない。と言うかあまり想像したくはない。

最悪なんて事態だけはごめんだ。

ただ、肌を貫くような重圧等の類であるものを一切感じないので多分危険はない。

結局の正体は何なのか?

上からの自然光が届かなくなり、壁に設置場所れた人工灯によるものだけで支配される。その薄暗さに少しばかり億劫になりながらも一息吐いて落ち着く。

そうして階段が終わりを見せた。


「………」


眼前には扉。多少の巨人ならば易々と潜れるくらいには大きく、重々しさもある古びたもの。魔法陣を施した跡が薄っすらと目に入るが、もう使われていない。これこそ正にとしか思えない別世界に誘うような雰囲気が佇む。

まず学園にこんなのがあったのか? と改めて知った発見もさることながら気配は普通ながらも常識的に怪し過ぎる展開。明らかに立ち入り禁止な場所であろう。

やはり誘い込まれているのではないか? 幾ら何でも不自然だ。

となるとフィアナが見た人影の正体は悪魔。即ちエルド・ジュリアになる。流れ的に有力な目測。

もしそれが真実ならば中には現在フィアナが一緒の空間に居る事になり、とんでもなく危険な状況なのだ。

迷っている暇はないだろう。

本当にこの扉の向こう側がそんな事態なのかは定かではない。けども手を拱いていては彼女が無謀だった結末になるやもしれぬ。

後はこの眼で確かめるしかないのだ。

私は決心して冷たく堅い壁のような扉に手を当ててーー。


「………行くわよカナリア・シェリー」


自身に言い聞かせながらその先を開いた。


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