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不死の館  作者: ドラノール
プロローグ
1/4

〜目覚め〜

「ん……うぅ……。」


目が覚めた……久々に開いた気がするその目は真っ白な天井を見上げていた。目を覚ました俺は、ベッドから起き上がり床に立つ。起き上がって一度周りを見渡した俺はまず一言呟く。


「なんだよ…ここ……何処だ?」


まだ朦朧とする意識の中、自然と俺の口は動いていた。


何故、口が勝手に動いたかと聞かれると、それは間違いなく自分にとってこの部屋が見知らぬ場所だと理解したから。


幾ら寝起きで意識が朦朧としていたとしても、自分がいつも寝たり起きたりしている自室を見間違える事はないはずだ。少なくとも基本的に自宅にいる時は自室で過ごしている俺は、自室とこの謎の部屋を見間違える事はないと自負していた。そして突然起きた不可思議な現象のせいで驚愕に包まれた俺はもう一度呟く。


「いやいや……本当、何処だよ…ここ……。」


完全に混乱した俺はこんがらがった頭をフル回転させ必死にこの状況を理解しようとする。


俺は何をしていた?


何故こんなところにいる?


そもそもここは何処だ?


眠りから覚めた俺はまるで記憶が喪失したばかりの人間みたいに色んな事を考える。だが、一向に答えは出てこず余計に頭は混乱していく。混乱した頭を落ち着ける為に俺は自分の名前やプロフィールを思い浮かべる。


俺の名前は阿里谷 拓人。


年齢は今年で17歳、そこそこ私立校では有名な海松高等学校の高校2年生で部活は帰宅部。


好きな食べ物はパスタ全般。嫌いな食べ物はスナック菓子や洋菓子など、とにかくスイーツやお菓子といった部類が大の苦手。


好きな動物は猫で、嫌いな動物は昆虫全般。正直な話、昆虫類だけは地球にいなくてもいいのではないかと考える程、俺は昆虫は嫌いだ。


一通り思い出せる限りの事を考えた俺は今度はここに来る前の出来事を思い出そうとする。だが………


「あれ?俺、何してたっけ??」


思い出せなかった……


思い出そうとするとまるで脳味噌に真っ白な靄がかかったかのように思考が途切れ、邪魔された。


俺はその事に気づくと少しずつだが焦り始める。


「なんでだ…なんで思い出せないんだよ。」


焦る俺は苛立ちの篭った声を吐き出し更に考える……


そんな時、俺は自分の着ている服に気づく。


「これ……俺の学校の制服か?」


上は長袖のカッターシャツを着て、下は黒に近い青色をした学生ズボンを履いていた。


その事に気付いた俺は少しだけ自分が何をしていたのか思い出す。


「学校……そうだ俺、学校から帰ってたんだ。」


確かその日は6限で面倒くさい数学を終えた後、放課後にクラスメイト数人と教室でたわいない話をしていた……その後、夕方になってそいつらと別れて一人で家まで歩いて帰っていたはずだ。それから………


「くそっ!!なんでここで思い出せなくなるんだよ!!」


そこまで思い出せた俺は、ここで続きが思い出せなくなり再び苛立ちの篭った声で愚痴る。


だが、いつまでもこうしてイラついていても仕方がない。俺は少し深呼吸をしてゆっくりと思考を落ち着かせる。


しばらくして、落ち着いた俺はこの真っ白な部屋を見回しながら一人喋る。


「とにかくここから出ねえと何も分からねえよな?あそこの扉から出られるのか?」


俺はこの真っ白な部屋には不釣り合いな茶色の扉を見つける。その扉を見つけた俺はここから出ようと扉に向かって歩き出す。その時だった……


ガチャ


「っ!!?」


突然扉のドアノブが動き、俺は咄嗟に身構える。すると扉はギィーという音を立てながらゆっくり開かれ始める。俺は突然の出来事に更に混乱しながらも考える。


(どうなってる!?俺以外にも誰かいるのか!?もしかしてそいつが俺をここに連れてきたのか!?なんでだ?何の為に俺をこんな場所に連れ去ったんだ!!?)


俺は混乱しながらも必死に頭を回転させ思考を続ける。だが次の瞬間、扉を開けた人物から俺は声をかけられすぐにその人物に考える事を妨害される。


「あれ?起きてたんだ??」


「なっ……!?」


その声の人物は俺よりも更に若く見えた。身長は150cm前後ぐらいで中学生ぐらいだろうか……金髪で水色のパーカーを着ていて緑色のズボンを履いているその少年は俺を笑顔のまま見つめている。


まさかこんな少年に俺はここに連れてこられたというのだろうか、それとも共にここに連れてこられた単なる被害者なのだろうか……予想外の出来事の立て続けで俺の頭はパンク寸前、俺はもう何が何だか分からずその場に一人で棒立ちする。そんな俺を小馬鹿にするようにゆっくり両手を広げると少年は満面の笑みで喋り出した。


「歓迎するよお兄さん、ようこそ不死の館へ。」


不死の館……少年は確かにそう言った。そして、この言葉を聞いた俺はこの日を境に自分の生活が毎日地獄と隣り合わせになるような日々になる事をまだ知らなかった。



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