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「おかあさんー、このはなしやぁ。いつもの話してっ!」
「えー、でも話してって言ったじゃない」
「不幸でおわる話ははだめなのぅ!」
「じゃぁまた明日読んであげるから」
「うぅ。やくそくだよぉ?」
子供がじぶんのベッドへ向かうと、それまで黙っていた夫が口を開いた。
「ずいぶん、初期の童話みたく救えない話だったな」
「初期の童話ですもの」
夫は苦笑した。
「ちなみに、その少女はなんで処刑されたの?」
嫁はうーん、としばらく考えた。やがてにこりと笑う。
「少女はね、多重人格だったんだって」
「......?」
いまいちぴんとこない、という顔をしている夫に嫁はさらに言う。
「夜だけ、変態的な思考を持った、少女のもうひとつの人格が現れるのよ」
骨を食べたいと強く思っていた少女が。
「......後味悪い話だな」
「でも、確かにそんなこと考えてたら、本物の魔女よね」
嫁は話終えた。と大きく伸びをした。
「さ。寝ましょ? 遅くまで起きていると、魔女が食べに来るわ」
嫁は朗らかに笑った。