表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/10

メルヘンチックワールド

今回のお題は中世!

鶏「迷える少年少女よ。」


放し飼いにされた鶏がツァンたちに上から目線で話す。


遊斗「(もう何もツッコミたくない!)」



時は遡ること三日前、ノーチラス号から出て名もなき大陸を放浪していた所....


ツァン「(なんで恐竜時代なのにお菓子の城とか、畑とかが広がってるの...?

時間軸可笑しくない?)」


鶏2「ここは『フランベルージュ王国』ですぞ。


強くて可愛くてわがままな末っ子『ユートピア姫』はこの国の広告塔と言っても過言ではないのですぞ?」



一発殴りてぇ...


こいつら.....




おじいさん「これ!全くまた蘊蓄垂れおってからに...」


突然、ハイジのおじいさんそっくりの姿をしたおじいさんが現れ鶏を捕まえると...


鶏「キェェェェェェアァァァァァァ!!!!!!」


断末魔をあげる鶏を公開斬首しやがった...。



おじいさん...鬼畜!!!



おじいさん「今日は鶏をご馳走してやる。」


ツァン&遊斗「は...はぁ。」




*********


遊斗「ありがとうございます。」


成り行きでツァンたちは鶏の丸焼きとパンをご馳走になった。


ツァン「ごちそうさまでした。」


おじいさん「客人をもてなすのが私たちの生きがいですよ。」


ツァン「そうなんですか...」



おじいさん「しかし最近、お隣りの『ノーブルデン帝国』が勢力を伸ばしておりまして...我が国もいつ飲み込まれても可笑しくないのです。」


遊斗「ちなみに...」


おじいさん「?」


遊斗「この国の財宝は何ですか?」



*********


ツァン「だからなんでこんな成り行きで盗みに入ってるのよ!

ボクも引き連れて!」



遊斗「いいの、いいの。


こんな生っちょろい鉄の門が天下の大泥棒に通用するかな~♪」



遊斗は『銭形平次』の主題歌を口ずさみながら(渋っ!?しかも岡っ引のテーマだし!?)門の周りに特殊な油を注していく...。



遊斗「はい。おしまい。」


遊斗は門をやすやすと開けてしまった。


しかも、門特有のギギギ...という音すら鳴らない。



ツァン「すごい...」


そういえば...遊斗は歩きつつも煙りを廊下に撒き散らせていた。


何だろう...?



遊斗「お宝回収~♪」


遊斗はフランベルージュ王国の財宝『金のオーブ』を手早く回収するとさっさと帰ってしまった...。




ツァンを置いて...。


ツァン「ちょっ!!!

待って!待ってったら!!!」


ツァンは間もなくやって来た番兵に捕まってしまった...。


ツァン「はぁ...なんでこんな目に...」




*********


遊斗は敵国『ノーブルデン帝国』に向かった。



遊斗「さてさて...どうなるかなぁ♪」


遊斗はノーブルデン帝国の兵士を一人気絶させるとその兵士の服を着て帝国の城に入った。


遊斗「王様!すぐに謁見願いたい!!」


大臣「何事だ!?」


遊斗「私はフランベルージュ王国の城に忍び込み、奴らの財宝を盗み出しました!!!」


大臣「なんだと!?」


遊斗「王様には私の存在は明かさないで下さい。


分かりましたね?」


大臣「分かった。

これで奴らに王手がかかったぞ!!!ハハハハ!!!」


大臣はゆっくりと王の間に向かったのを確認すると帝国を脱して今度はフランベルージュ王国の兵士を一人気絶させてその服をボロボロにして城に入った。


遊斗「王...様...」


大臣「何事じゃ!?」


老齢の男が現れる。


遊斗「奴らが...ノーブルデン帝国の兵士がオーブを盗み出しました...」


大臣「なんと!?あの女ではなかったのか!?」


遊斗「あの女...?」





*********


ツァンは牢屋でゴロッと横になった。


ツァン「なんでこんなことに...」


遊斗「ハロー♪ツァン♪」


ツァン「遊斗!」


遊斗「し~っ。今から私はツァンに惚れて君と結婚するという形で君を解放する。


君は私の事を知らないふりをしろ...。」


ツァン「わ...分かった。」



大臣「約束通り、お前に褒美をやろう。


何が欲しい?」


遊斗「この女が欲しい...是非この女と結婚させて欲しい。」


大臣「よいだろう。彼女も冤罪だからな。」


大臣はツァンを解放した。



遊斗「よくやったわ。ツァン。」


遊斗は帰りがけにツァンを褒めた。


ツァン「酷いよ!置いてくなんて!」


遊斗「ごめん...頭巾と仮面は被ったままだったんだな。」


遊斗は嬉しそうに言った。


ツァン「なんとか素顔だけは守り抜いたからね。計画だったから...。」



遊斗「よし、では君の初陣よ。」


遊斗はツァンに帝国から帰る途中に立ち寄った名工の鎧とマントを渡した。




*********



ツァンは女騎士、遊斗はローブを纏った男に変装して改めてフランベルージュ王国に入った。



城に入ると番兵たちが立ち塞がる。


番兵「何者だ?」


遊斗「我々はさすらいの傭兵でございます...。」


ツァン「もうすぐノーブルデン帝国と戦争を行うと聞き、参上しました。」


番兵「腕は立つのか?


女と不気味な男...よし、兵士長と大臣を呼ぼう。」


番兵は間もなく、大臣と兵士長を連れて来た。


大臣「ふむ...なかなかの面構えをした騎士じゃな。


そちらの男!


お前は何をするのじゃ。」


遊斗「私は...雷を操る魔術師でございます。」


ある意味間違ってはいない。



兵士長「何事も実戦第一!!!


よし、抜き打ちテストをしてやろう。


俺が騎士と、魔術師は...野生のトロールとゴブリンを。


よいな?」


ツァンは頭を下げた。




*********


二人が向かった先は荒野。


ツァンは兵士長と対峙する。


ツァン「(ボクだって魔法が使えるんだ。


遊斗との特訓が実を結んだなぁ。)」



機関銃との戦いを幾度となくシュミレーションしてきたツァンにとって、兵士長が振るう剣はかなり遅く見えた。


太刀筋を見切り、剣で受け流し...


兵士長「かはっ!!!」


拳を鳩尾に叩き込んで決着。




圧勝だった...。



兵士長「見事...」


遊斗「(成長したな...ツァン。)」



大臣「次は魔術師。


お前の番だ。」




兵士たちは牢屋から家ほどの大きさを誇るトロールと殺意をプンプンと漂わせるゴブリンを連れて来て、全員に武器を持たせた。


大臣「魔術師にトロールたちは倒せるかな?(彼らには雷に耐性がある甲冑をつけてもらいました...勝てるかな?)」


怒り狂ったトロールたちが一斉に襲い掛かった。


遊斗「(雷耐性か...だが!!!)」


遊斗はローブを宙に放り投げた瞬間腰からキューを抜き出し、全員の鎧の隙間に風穴を開けてしまった...。



トロールたちは内部感電を起こして絶命。


兵士たちからどよめきが巻き起こった。


大臣「強い...」


遊斗は落ちてきたローブを掴み、再び纏った。


遊斗「我々を雇っていただけますね?」


兵士長「当たり前だ...お前たちのような強い者はこの国にはいない。」


ツァンはここで一番言いたかったことを言った。


ツァン「だが俺はレアだぜ。」





*********


ツァンと遊斗はパンをのんびりと食べていると突然、金と白の鎧を纏った少女が襲い掛かってきた。


ツァンはランスを精製して攻撃を受け止めた。


ツァン「(三日月刀...風変わりな武器を使うのね...)」


ツァンは力で押し切って吹き飛ばした。


?????「きゃあああああ!!!」


少女は尻餅をついた。


?????「なかなかやるわね。」


ツァン「名前を名乗ったらどうなの?」


?????「この私に向かって...恥を知りなさい!!!」


遊斗「ユートピア姫だね?」


ユートピア「ゲ!ばれてた!」


遊斗「ツァン、お仕置きしてやりなさい。」


ツァン「了解!!」


ユートピア姫の我が儘を改善すべくツァンは戦うことにした。


開始三分でツァンの振るうランスが三日月刀を質量で叩き割った。


ユートピア「甘いわね!刀はもう一本あるのよ!!!」


腰から二本目を抜くと鍔ぜり合いする。



ツァンから鮫のようなオーラが溢れ出る。


ツァン「鮫は!」


振るったランスが三日月刀を弾き飛ばす。


ツァン「骨の髄までかみ砕く!!!」


ユートピア「かはっ!!!」


柄で鳩尾を殴りつけ決着がついた。




ユートピア「参りました...」


ユートピア姫は白旗を振った...。





遊斗はユートピアを座らせ、説教を始めた。


遊斗「大体なんで―」


遊斗の説教にユートピア姫は半泣きになった...。


ユートピア「私...看板娘だけど...何年経っても私の心を見てくれなくて...自己主張したくて剣を振るってたの...。」



遊斗「...なら私たちと戦争に出ないか?すっきりするぞ....?


生きて帰っても家族に叱られるし、死んだらその先でいっぱい構ってもらえるよ?」


ユートピア「...そっか!私も戦えばいいのね!!!」


ユートピア姫はなぜか納得して大喜びで折れた刀を持って城に帰っていった...。


ツァン「あれでいいの?」


遊斗「可愛い姫には戦争をさせよってね♪」


遊斗はウインクした...。




*********


三日後、ついに戦争が勃発した。


遊斗「ふふ~ん♪」


遊斗は上機嫌でパンをかじっている。


ツァン「ちょっと!何調子こいてんのよ!!!」


遊斗「俺が戦場で戦うとでも?」


ツァン「!?」


遊斗「俺の役目は帝国に秘宝を渡してフランベルージュ王国の怒りと復讐を増幅させてけしかけることさ。」


男モードになっている遊斗が余裕の顔で言ってのけた。


ツァン「!?」


遊斗「そして戦争中に秘宝を取り返して王に献上することで彼らの士気高揚に繋がるって訳。」


ツァン「遊斗のやり方は腑に落ちないけど...」


ツァンはランスを呼び出して一凪する。


ツァン「ボクは戦場で舞い踊るよ。


漆黒のエイとして...」




*********


遊斗はノーブルデン帝国に気配を消して侵入すると財宝を隠した倉庫にいた兵士を音も立てず全て気絶させると鍵をさっさと開けてしまった。



遊斗はさっさとオーブを回収すると城壁から飛び降りた...。




*********


ツァンは遊斗から教わったランス捌きで大型のランスをステッキのように振り回して弓矢を防ぎ、ランスで敵兵士を殴り倒した。


さらに矢の雨を水属性の魔法で動きをスローモーションに変え、ランスで突撃する。


その姿は逃げ惑う魚を追い詰め、トドメを刺す鮫のようだった。


ツァン「くっ!」


ランスが金切り声を上げて折れた。


金属疲労で砕けたらしい...。


ツァン「なら!」


今度はツーハンデッド・ソードを精製して突撃しに行った。




*********


遊斗「っと!?」


遊斗は軽い足取りで矢の雨をくぐり抜けると戦禍の中央でオーブを掲げた。


遊斗「オーブは我らフランベルージュ王国が取り返した!!!!」


遊斗の声にフランベルージュ王国の兵士たちがその闘志をいつも以上にあげて戦い始める。


気迫に押されたノーブルデン帝国の兵士たちは次々と撤退していく...。


フランベルージュ王「行け!そのまま占領するのだ!!!」


ツァンはこの戦いに勝てる!そう確信していた...。



*********



ツァン「知ってるならなんで言わなかったの!!!」


ツァンは泣きながら遊斗に怒った。


遊斗「君がその事実を知ったとしても結果は同じだ。」



結局、フランベルージュ王国は総攻撃を仕掛けたものの、用意されていた落とし穴や沼に嵌まり、待ち構えていた弓矢兵によって全滅してしまったのだ。



泣きじゃくるユートピア姫とツァンと遊斗は除いて。


遊斗「分かった所で王様に敵の情報をむやみやたらに伝えてみろ。


逆に怪しまれるぞ。


あくまで俺たちは傭兵という立場だということを忘れるな。


発言権は何もないからな。」


ユートピア「結局...私...何もできなかった...」


遊斗「なーんてさ♪


ハハハハハ!!!」


ツァン&ユートピア「!?」


遊斗「ちょっとしたビックリ企画さ♪」


遊斗がフィンガースナップをすると....。




いつの間にかノーブルデン帝国は占領されていた。


遊斗「雷属性の魔法には、視覚をパニックに陥らせる能力もある。


それで君たち二人とノーブルデン帝国の人間の視覚からフランベルージュ王国の兵士たちを消したのさ!」


ツァン「....」


よくわからないけど...とにかく...。


ユートピア「やった~!!!


フランベルージュ王国が大国ノーブルデン帝国に勝ちました~!」



ツァン「ハハハハハ...なんてオチ...」


ツァンは渇いた笑い声をあげた...。




*********


ユートピア「ご結婚!おめでとうございます!」


ユートピア姫の祝福でボクたちは無事結婚式を挙げた。



ユートピア姫の独断でボクたちは結婚式の衣装を纏い、向かい合う。


遊斗「綺麗だよ...ステキなツァンに一目惚れ♪」


ツァン「遊斗だって...」



終始甘い雰囲気の中、式は無事に終了した...。




夜...遊斗は早速旅立つ用意をした。


ツァン「え?もう出るの?」


遊斗「ツァンにはもう少し純潔でいて欲しい...。」


ツァン「な、何でそうなるのよ!?」


遊斗「初夜権って知ってる?王様は花嫁と寝ていいという腑に落ちない権限を」


ツァン「ゲ」


確か王様は太っちょで顔はイマイチだった...。


ツァン「早く逃げよう!!!」


遊斗「指輪は忘れずにね!!!」


遊斗とツァンは宿屋を飛び出すとまだ先の見えない森へと向かった.....。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ