一話:堕落
体育館裏って…、わかりやすい。大抵は告白か、決闘だ(昔から感性がオカシイといわれる)。
もらった手紙からは、五十%の可愛らしさと、四十%の不安。あとは希望やら気合いやら…。
はぁ…
「告白…か」
見るたびに憂うつと自己嫌悪、可哀想という感情が襲ってくる。
なぜなら、僕の答は決まっている。 昔からそうしてきた。
好きですという女の子。好きという言葉。意味が分からない。好き。好意を示す言葉。恋愛感情。僕にはわからない。人を好きになったことすらない。
こんな僕を好きなんだ。
でも、僕は、〔この人が好きだ〕なんて、思えない
「考えさせて…ください…」
この言葉を、使った。いつものことだ。この言葉で考えて、何年になるのだろう?何人にそういったのだろう?なにを考えるのだろう?
これらの答を、いつまで考える?
「バカは死ぬまで治らない、か…」
終わりのない、苦悩。答のない、問題。僕の業。いや、僕の苦しさは自業自得。悲劇のヒーロー気取りの最低なクソッタレ野郎だな…。
希望を持たせておいて、問題を先送りにするな……。
彼女達に悪いとは想っている。だけどさ、悪いと想っても、なにも変わらないのは、痛いほどわかっている。
わかっているからなんなんだ?
彼女達の痛みがわかるなら、なんでYESかNOすら言ってやれない!
下唇をかみしめる。血が出る。紅い。温かい。いつものことだ。いつもこうやって、罪をかみしめる。
そうやって、自分を否定しながら、僕は帰路につく。