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28話 そんなもん
NOAの工場が稼働し始めてしばらく。
現場は、妙に安定していた。
「人手、足りてますね」
理恵が言う。
「ああ」
タカシは軽く頷く。
元々は派遣で集めた人員だった。
だが――
「良い条件出したら、全員来てくれたよ」
タカシはさらっと言う。
理恵が一瞬固まる。
「……それ、大丈夫なんですか?」
「大丈夫だと思うよ」
即答だった。
「そもそも派遣って、そういう働き方だし」
「こっちの方が条件、良かったんだよ」
その時だった。
外から、慌ただしい声が聞こえる。
「タカシって人はどこだ!」
工場の入口に、スーツ姿の男たちが現れる。
明らかに空気が違う。
「……派遣会社の人たちですね」
理恵が小さく呟く。
男の一人が前に出る。
「うちの社員を、どういうつもりで引き抜いたんですか!」
タカシは少し考えてから答える。
「どういうつもり……ですか。難しいことをお聞きになりますね」
一拍置く。
「しいて言うなら、いい条件の場所にいてほしかった、って感じですかね」
「あと、普通に募集をかけました」
「そしたら、全員来てくれました」
一瞬、沈黙。
「……ふざけてるのか?」
空気が張り詰める。
だがタカシは、特に気にした様子もなく言う。
「強制はしてないので、大丈夫だと思うんですけどね」
正論だった。
だからこそ、厄介だった。
いい条件を提示すれば、案外人は来ますよ




