13話 これから
第11話 朝
気づけば、一日が終わっていた。
何をしたかは、よく覚えていない。
ただ、言われた通りに過ごしただけだった。
それでも――
久しぶりに、まともに眠れた気がする。
―――――
目が覚める。
静かだ。
少しだけ、体が軽い。
「……」
腹が鳴る。
ゆっくりと体を起こし、部屋を出る。
階段を降りる。
下から、声が聞こえた。
―――――
「うわ、なにこれ。すっげえ量」
「味も申し分ありません」
「いや、マジでうまいなこれ」
「当然です。この程度のことは」
「いやいや、レベルおかしいって」
楽しそうな声。
少しだけ、足が止まる。
―――――
キッチン。
見知らぬ料理が並んでいる。
そして、その前で。
あの男と、もう一人の女性が話していた。
「……」
どう声をかけていいか、分からない。
立ち尽くす。
すると。
「あ、起きた?」
軽い声で、男が振り向く。
「ちょうどいいとこ」
「飯、食う?」
「……」
少しだけ迷って、口を開く。
「……何か、食べ物……」
「あるある」
男はあっさりと頷く。
「好きなの取っていいよ」
「……」
テーブルの上を見る。
どれも、ちゃんとした料理だった。
「……」
手が、少しだけ震える。
「……いただきます」
小さく、そう言った。
「……」
皿に手を伸ばしかけて、止まる。
「……あの」
声が出る。
二人が、こちらを見る。
「なんで……俺……ここに」
少しだけ、言葉が詰まる。
「その……お金とか……」
「請求とか、されるんですか」
―――――
「あー」
タカシは少しだけ考える。
「いや、しないけど」
あっさりと言う。
「説明してなかったね。まず一つ」
指を一本立てる。
「君が助けを求めたこと」
「……」
「倒れていい場所、欲しかっただろ」
静かに言う。
図星だった。
「……」
「で、二つ目」
もう一本、指を立てる。
「俺が人欲しかった」
「……は?」
「別に誰でもよかったんだけどさ」
軽く肩をすくめる。
「そのタイミングで、君を見つけた」
一拍。
「だから連れてきた」
あまりにも軽い。
「……」
言葉が出ない。
―――――
「で、協力してほしいことが一つ」
タカシは続ける。
「ここで生活しててさ」
「不便なこととか、足りないものとか」
「思ったら教えて」
「……」
「それ、用意するから」
「……え」
「増やしてく」
「この場所」
さらっと言う。
―――――
「まあ」
タカシは箸を動かしながら言う。
「何かやろうとしなくてもいいよ」
「いたけりゃ、いればいいし」
「行きたけりゃ、行けばいいし」
「帰りたいなら帰ってもいい」
「その辺は君の自由だよ」
一拍。
「そういうやつ、もう少し増やそうかなって思ってるだけ」
「……」
理解が、追いつかない。
―――――
「……なんで」
小さく、漏れる。
タカシは少しだけ考えて、
「あー」
と、軽く声を出す。
「面白そうだから」
それだけだった。




