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1話 ある日目覚めたら、森羅万象を手にしていた


俺はある日、ベッドの上で目を覚ました。

そのとき、不思議な声を聞いた。

――おめでとう。これは君のものだ。どう使うかは気にしない。この世界を楽しみたまえ。

声はそれだけ言って、消えた。

……なんだったんだ、今の。

そう思いながら体を起こす。

特に変わった様子はない。いつもの部屋、いつもの朝。

結局、夢だろうと結論づけて、俺はスマホを手に取った。

適当にアプリを開く。いつものSNSだ。

この現代日本において、「ダンジョン」というものが発生してから、早五年。

世界は大きく変わった。

ダンジョンから採取される資源は、新たなエネルギーを生み出した。

それは従来の常識を覆すほどの効率を持っていた。

当初こそ、石油などの既存エネルギーに頼る場面も多かった。

急激な転換は、世界経済に大きな打撃を与えかねなかったからだ。

しかし、ダンジョン産の特定鉱物が放つエネルギーは、現代科学では測りきれないほど高効率だった。

ごくわずかな量でも、核エネルギーを凌駕する出力を叩き出す。

人々はそれを生活に応用し、次々と新たな製品を生み出していった。

だが、それ以上に進んだのは――兵器開発だ。

各国は競うように、ダンジョン由来のエネルギーを利用した武装を強化していった。

他国が開発するから、自国も開発せざるを得ない。

そんな事情もあっただろう。

だが本当の理由は、別にある。

今、世界を脅かしているのは――ダンジョンから現れる「魔物」だ。

それらは一度あふれ出せば、都市一つを崩壊させる力を持つ。

既存兵器でも対処は可能だが、問題は生産コストと供給量だ。

魔物の発生速度に対して、兵器の生産が追いつかない。

だからこそ、人は戦い方を変えた。

ダンジョンで得られる鉱石のエネルギーを用いた装備――武器や防具を身につけ、直接戦う者たち。

彼らはダンジョンを攻略し、魔物と戦う。

まあ、ありきたりな呼び名だが――「冒険者」と呼ばれている。

正確な正式名称もあった気がするが、正直覚えていない。


朝、聞いたあの声を思い出す。

……幻聴?

いや、違う。幻でもない。

理由はわからない。

それでも、何かが“本物だ”と確信させていた。

心のままに、感じたままに、俺は口にする。

「――アーカーシャ」

その言葉を発した瞬間、確信が現実へと変わった。

違和感は、知識によって埋められていく。

なぜそれを持っているのか。

なぜ自分が使えるのか。

なぜ“選ばれた”のか。

そのすべてに、説明はいらなかった。

ただ、理解している。

すべての事象。

すべての現象。

あらゆる森羅万象を操る力――それが、ここにある。

初めて使う力に、俺は静かに命じた。

「アーカーシャ――俺を、保護してくれ」

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