表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【本編完結】攫われ姫ゼシカの実記 ~攫われる姫に転生しましたがこの国はもう駄目なのでこのまま嫁いで記録官として生きますね!~  作者: 縁代まと
番外編章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

56/61

【番外編】ゼシカ、推しの軌跡を辿る聖地巡礼に出る 前編

作中の時期:最終回後

出演キャラ:ゼシカ、アズラニカ、アスター、サヤツミ


簡単なあらすじ:

子育てが少し落ち着いたタイミングで前世での推し、偉人三人組の聖地巡礼(推し活)を計画したゼシカ。

しかし推しは名前すらふわふわとしか覚えていない状態で……?



 ナクロヴィアには歴史の立役者ともいえる偉人三人組が存在していた。


 ゲーム本編で直接絡んでくることはなかったけれど、彼らの逸話は特典の小冊子に綴られている。世界観の説明をするためのナビ役といった扱いだった。

 それがなぜ本編に出てこないのかはファンの間でも長らく最大の謎扱いされていた気がする。


(でも……たしか真相は雑誌のインタビューで明かされたのよね。あの三人組は本当は本編に絡む予定だったけど、小冊子の発注後にばっさりボツになったって)


 さぞかし凄まじい修羅場が繰り広げられていたことでしょうね……。

 私も纏めている最中の本の根底に関わる情報が覆されたら一週間はヘコむわ。


 そんなこんなで三人の偉人は小冊子とフレーバーテキストくらいにしか残らなかったのだけれど、当時の私は彼らを一番に推していた。

 子供ながら刺さるところがあったんだと思う。

 魔王に自ら嫁入りしてナクロヴィアに行くことにした時も、そうすれば腐った母国から逃げ出せるだけでなく聖地巡礼ができるからっていうのも理由のひとつだった。


 まあ、もちろんメインの理由じゃないからドタバタの連続で聖地巡礼なんて頭の中からきれいさっぱり忘れ去られていたわけだけれど。


 ――でも!

 古代の神の事件から何年も経って!

 子育ても落ち着いた今なら! 旅行も兼ねて聖地巡礼できる気づいたのよね!


 息子のアスターも五歳になり、今は城の魔導師たちに魔法を習ったり他にも色々な勉強をしている。今度は東の霊峰で魔力を練る特訓をするそうだ。

 五歳児にそれはちょっと過酷なんじゃ? っと思いはしたけれど、魔族の血が流れているアスターは色々と規格外なので大丈夫みたい。


 むしろアスターは魔導師の才能があるらしく、そのため膨大な魔力のコントロールを早くできるようにならないと危険だそうだ。

 こういうところはプロに任せておくに限るわよね。


 そんなこんなで霊峰へ行っている間に私たちも久々に旅行に行かないかという話が出た時、さっきの偉人三人組のことを思い出したわけだ。

 寝室でアズラニカに髪を梳かしてもらいながらそれとなく訊ねてみる。


「アズラニカ、ナクロヴィアで三人組の偉人といえば誰が思い浮かぶ?」

「ひとりではなく三人組なのか? ……今の私から言わせるなら父とオトとサヤツミが該当するが」

「あ、そういえばサヤツミたちも三人組ね」


 しかし年代的に彼らは小冊子の三人ではないと思う。


 もう昔すぎて名前もぼんやりとしか思い出せない、けれど惹かれていた懐かしい記憶だけがある偉人三人。

 彼らが活躍したのは冒頭のナレーション的に一万年は前だった気がするから、いくら魔族が長生きでもさすがに前すぎる。……はず。

 びっくりするくらい長生きな魔族がいないとも言いきれないのが怖いところね。


 覚えている限りでは――ひとり目は赤い髪の男性。見た目は一番若かった。

 名前は一文字も覚えていないのだけれど、三文字か四文字だった気がするわ。

 元気系のボケ担当ね。とにかく腕っぷしが強いキャラよ。

 ナクロヴィアのどこかの火山で噴火を止め、そのエネルギーを自分の力にして巨大ハリケーンを切り裂いた功績がある。


 ふたり目は水色をしたポニーテールの男性。

 クール系だけどツッコミ担当だったかしら。真顔でキレのある言葉を放っていたのだけ覚えている。名前はミ……ミス……ミスなんとかよ!

 こちらは悪さをしていた巨大湖の水龍を倒して眷属にした功績がある。

 その水龍が亡くなった時に亡骸が大きな山になったんだったかしら……?


 最後は金髪の可愛らしい少年。でも三人の中では一番年上だった。

 名前はヨから始まるものだったと思うけれど、文字数も含めてはっきりしていない。オカン担当でポニーテールの人とはまた違ったツッコミを入れていたはず。

 未知の鍾乳洞で人知れず育っていた巨大魔石が暴発するのを防いで、魔力を分散させて周囲の土地を潤わせた功績があるわ。


 なんで三人とも名前だけ覚えていない確率が高いかっていうと、フレーバーテキストでは一回しか名前が出てこないし小冊子でも最初の名乗りだけだったからよ。

 もう少し大きくなった頃にハマって二次創作でもしていたら覚えていたかもしれないのが惜しいわね。


 そんなわけで、この覚えている情報的にサヤツミたちは該当しないわけだ。

 メタな部分を伏せながらその情報を伝えると、アズラニカはいくつか心当たりがあったようだった。


「ふむ……しかしなぜそんな昔の偉人について知りたくなったのだ?」

「えっと、修繕中の歴史書に出てきたのよ。それでとっても気に入っちゃって! そんな人たちが関わった土地を見てみたいと思ったのよね」

「そうなのか。――しかしゼシカがそこまで興味を引かれるとは。私も歴史書に載るくらい頑張らねばならんな」


 あなたは本当に突然可愛いことを言い出すわね。

 あと古代の神の再封印に関わったんだからしっかりと載せてるわよ、書いたのは私だけれど良い出来になったわ。


 アズラニカはブラシを置いて微笑む。


「ならば次の旅行はその偉人の関わりのある土地を巡るとしよう」

「! ありがとう、アズラニカ!」

「なに、私が行きたいところも混じっているからな」


 アズラニカの行きたいところ?

 一体どこかしら。見当もつかないでいるとアズラニカは「現地で驚かせたいから内緒だ」と再び笑ってみせた。


     ***


 アスターを見送った後、私たちも纏めておいた荷物を持ってドラゴンに跨る。


 ドラゴンでの移動にもだいぶ慣れてきたから怖くはない。

 ただ荷物が落っこちないかどうかだけは気掛かりね、しっかりと取り付けられた専用のカゴを使っているから大丈夫だとは思うけれど、少し長旅だから量が多いのよ。


 そんなこんなで出発した私たちが最初に向かったのは――ナクロヴィア一番の温泉地、ガイアクロード!


 前世が日本人な身としては温泉も気になるけど、近くに火山も多いということで偉人三人組の赤髪の逸話が脳裏を過る。

 ここで彼のことがはっきりしたら嬉しいわね。


 そう思いながら到着した私を出迎えてくれたのは、ガイアクロードに存在するすべての温泉の位置と効能が書かれた巨大な看板だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ