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04 瞳に映るのは

クグイ、いないんだけど。


「うん。出掛けてるからね」


えぇ………。

仕事なら外出は付き添うもんじゃないの?


「クグイの目は生まれつきだから、晴眼者が失明したのとは違うよ。

環世界って知ってるかな?蝙蝠は音波の、蛇は熱源の、土竜は振動の世界で生きているっていう考え方だよ。

人間は情報の8割を視覚から得ているからね。目が見えないと不便と思うだろうけど。

例えば、犬の嗅覚は人間の100万倍で、犬からしてみれば人間の嗅覚は無いも同然。鼻が利かないのに生きて行けるのかと心配されているかも知れないよ。アユムがクグイを心配するみたいに」


想像もつかない。

なら、クグイはどんな世界で生きているのだろうか。


「それを、クグイが説明できないからね」


それもそうか。

目の見えない人に見えた世界を伝えられるだろうか?形があれば触れるけど、色の説明なんて検討もつかない。会話が成立するだけで奇跡的かも。


「日常生活に支障がない程度には適応出来てると思うよ。それでも、生きる世界が違うと生き辛いからね。偶然通りかかった僕が雇われたんだ」


偶然?


「うん。運命の方が僕も都合が良かったんだけど」


“ねぇ、君。僕の目になってよ”

某魔法少女のオープニングみたいな偶然が頭の中で再生される。ループと戦う二人にとってかなり運命的な出会いじゃないのかな?そうか、クグイの世界ではループが見えていて…、


「たっ、だいま〜」


買い出しに行っていたらしいクグイとコアが帰って来た。お邪魔してます、手伝いましょうか?と繕ってみたら断られた。買い物袋をタクマとコアに渡すと、


「準備しておくから、後で屋上に来て」


「きてね~」


コアとタクマに置いて行かれてしまった。クグイと二人って正直きつい。準備って、これから予定があるのかな。


「元の生活には戻れたか?」


クグイと話すのはまだ緊張するなぁ。敬語じゃなきゃダメ?

少し間を置いて『“強制ボランティア生活”でかなり変わったかな』なんて嫌味を言ってみる。クグイが俺親に有る事無い事話してるから、元の生活には戻れそうにない。


あとは……、

ループ中に周りの奴等の秘密やら裏の顔やらを知っちゃったからなぁ…。まぁその辺は御互い様と割り切って行くっきゃないし。次回の対策の為にここに居るわけだし……。


あとは……、

それくらいだろうかと切り上げると、クグイは“そうか”と緩んだ雰囲気で答えた。

あ、これ。ため口で行けるやつだ。


クグイの後に続いて屋上への階段を登る。

大量の本はタクマの私物らしい。あと、部屋は好きに使って良いけど散らかさないように。それと、不特定の人の出入りがあるから気を付ける事。そんな感じの説明をされた。


屋上の扉を開けると、外は薄暗くなってて月が出てた。もうそんな時間か。


「明日、学校は休みだろ。親御さんには遅くなるって連絡してあるから心配しなくていい」




拒否権はないらしい。

今度はどんな強制ボランティアだろう?



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