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 中間考査……勉強嫌いの高校生なら誰だって「やだなぁ」……なんて呟くだろう。特に高校入学後、はじめてのテストだ。中学の頃と比べ難易度も上がる。

 テスト勉強の要領もどのくらいのものかもわからない状況。

 余計に緊張する。


 だが、それは努力してこなかったものの反応であり、日々の予習復習を欠かさない者にとっては問題ないのだ。


 俺がどちらかと問われればどちらにも当てはまらない。

 今回の中間考査……俺はある目標を掲げているため緊張している。

 ちなみに学年一位をとる……そのような高難易度なことは目指していない。


 俺が目指していること……それは特定教科で満点を取ることだ。

 残念ながら俺は学年一位を狙おうとすれば可能かもしれないが、 生憎とそこまで追い込む努力はできない。

  

 宣言しよう……現代社会で満点を取る。


 理由は教師の宣言……西園寺の発言からだ。

 

 西園寺美玲はマドンナだ。

 彼女が会話始めると周りでは何故か会話の音量が小さくなり、自然と彼女の会話を聴こうとする人が出てくる。


 人気が高い彼女はさまざまな噂がある。

 どこかの会社の社長令嬢かも知れない、いいところのお嬢様ETC……。


 色々と噂に尾鰭がつきまくっている状況で、俺はある一つの噂に興味を持った。


「常勝無敗の才女」


 学生生活を送る上で何か挑戦したいと思っていた。このまま優等生を目指すだけではつまらない。何か刺激になるようなことをしたいと。


 


 一教科だけでもあいつに黒星をつけたいなぁと言うちょっとした思いつきからこの計画は始まった。


 とある日……現社の先生がテスト範囲の授業を終わらせた日……宣言されたのだ。

「私は満点を取らせる気はないけど、普通に授業でやったところ勉強すれば七割八割は取れる内容だから頑張って!」……と。


 そして、もう一つ。

 これは西園寺が友人との会話から出た発言「ねぇ、西園寺さんってすっごく頭がいいけど、苦手教科ってないの?」


 この質問に対して西園寺はこう答えた。

「そうですね……強いて言うなら暗記科目が苦手かもしれません。基礎ができれば応用の効く科目と違い、暗記科目は苦手ではありませんが、覚えていない範囲から出されてしまったら私でも答えられませんから」と発言した。


 どういう意味でこう言ったかは不明だが、少しでも可能性がある科目。


 だから、俺は他の教科はそこそこに、現代社会はテスト範囲を組まなく、センターや有名大学の赤本を勉強した。


 そして中間考査当日となった。

 俺は一生懸命に問題を解き続けた。





 






 時は流れテスト返却当日。


「えぇ……ではテストを返す前に平均点と最高点を黒板にかくから」


 先生はそう言ってから黒板に点数を書いた。

 俺はそれを見て……驚く。



ーーーーーーーーーー


平均点 82.5点

最高点 100点



ーーーーーーー


「……まさか満点を取る生徒がいるとは思わなかったわ」


 現社満点を取った生徒が現れた。

 先生は呆れるも、それ以上は何も言わずにテスト返却を開始した。


 ……だが、俺は素直に喜べない。

 

 その満点は何人か、誰が取ったのか。それを知らなければ。


「片桐」

「はい」


 テスト返却の順番が回ってきたので呼ばれる。

 俺は緊張の中ゆっくりと歩く。


 周りのクラスメイトたちはテストを見せ合いがやがやとしていた。 

 先生の前に立つと、なぜかため息をしながら渡してきた。


「満点はお前だけだ。よく頑張ったな、過去の入試を参考にした難問だったのに」

「……はい」


 そう小声で言われ渡されたテストを見るとバツ一つない100と書かれたテスト。


 よし!俺は内心ガッツポーズをした。

  

 全体のテスト結果は総合順位の上位30名の名簿が記載された。


 西園寺玲奈の横には1位 496点と記載され満点を逃していた。


 ちなみに俺の順位は9位の467点。


 特待生としては十分な結果。西園寺に唯一黒星をつけられたことに自己満足しながらも、優等生としての始まりには十分すぎる結果に満足したのだった。


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