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 中学を卒業した俺は東京に上京。

 無事に高校受験も終え、荷下ろしも終え、全てが順調に進み、本日は入学式。


 俺は中高一貫の私立高校に入学をした。

 

 優等生になるにはどうすれば良いか……そう考えたら特待生じゃないか?

 そう結論づけた。

 勉強がそこそこできた。努力の甲斐あって特待生として合格できたので、この学校に入学することにした。


 公立校の方がいいかと思ったが、親のことを考えたら学費がタダになるし、自宅からも歩きで通える距離だから決定した。


 新天地で誰も俺のことを知らないゼロで始まる学校生活。

 俺は胸を高鳴らせた。

 

 しかも特待生の外部入学者。

 注目はいやでも集まる。だから俺はやりやすいと思った。


 何故かって?……人間第一印象で全てが決まるのだ。

 

 まず、特待生って事態でこいつ真面目な奴なんだな……そういう印象は持たれるものだ。

 そして、自己紹介の時にでも、ユーモアあふれる自己紹介をすれば完璧だ。

 

 勉強ができて真面目、人当たりが良い人物……これが俺が思う優等生だ。


 だが、一つ問題点が俺には存在していた。残念ながら俺はユーモアさが不足している。面白いことを言えと話を振られても即座に答えられない。だが、幸いなことに俺はこういう時に使える自虐ネタを持っていた。


 それは容姿。俺は自分で言ったらなんだが、強面イケメンだ。容姿は整っているが、目つきが少し悪いと思う。身長も180を超えているので、第一印象は怖い人……そう思われる事が多い。


 だか、それを逆手に取ればアドバンテージになる。だから、俺は自己紹介の内容を必死に考えた。

 

 そして入学式が終わりはじめてのホームルームも終わり、自己紹介の時間となった。

 席は男女混合の名前の順なので、自己紹介の時間はすぐに回ってきた。


 俺はみんなと同じように教卓の前に移動する。

 やはりというべきか。

 少し騒がしかった教室内が静かになる。

 

 俺はそんな雰囲気を気にせずに話し始める。

 まずは第一印象を良くするため、さわやかに元気よく挨拶。


「はじめまして。俺は伊賀中出身、片桐司と言います」


 よし、最初の出だしはいいだろう。

 暗くなっていた雰囲気に一つの亀裂が入ったかのようにクラスメイトに疑問が生まれた。

 そして少しユーモアを入れつつ、俺のことを知ってもらう言葉を続ける。

 

「クラスメイトの皆さんの中には俺に……少し怖そうな人……そういう印象を持った方がいるかもしれません」


 そういうと少し首を縦に振る生徒がちらほら見えた。


「しかし!自分でいうのは何ですが、俺は皆さんが思ったような印象とは真逆……見た目に反して優しい性格をしていると自負しております!」


 それをいうとクラスメイトはくすくすと笑い始めた。

 自分で言うのかよ……そう言いたげな表情をしている。


「ですので、気軽に話してください!実は俺、自慢ですが、運が良く入試で良い点を取れ、特待生でこの学校に入学しました。ですので勉強には自信ありなので、勉強でわからないことがあればお力に慣れるかと思います。また、外部入学のためこの学校について右も左もわかりません。この学校は広いので、移動教室の時とか迷子になってしまうかもしれません」


 優等生と共に親しみやすい人間だとアピール。

 みんなの表情が穏やかになった。

 ……よし、ここまでは順調だ。


 後はこれで締めくくるか。


「長くなってしまいましたが、これから一年、皆さんと切磋琢磨しあえるようなクラスになれると嬉しいです。……どうか皆さん、よろしくお願いします。ご清聴ありがとうございました!」


 全てを言い終えるとみんな拍手をしてくれた。

 席に戻る最中「よかったよ片桐くん!」「勉強困ったら教えてくれよ!」と話しかけてくれる人が何人かいたので、最初の掴みはバッチリだろう。


 後は有言実行あるのみ。

 

 みんなに認められる優等生になるために、努力するだけだ!


 頑張るぞ!

 

 俺は内心で決意を改めつつ、クラスメイトの自己紹介を聞いていた。

 俺の作った流れがよかったのか、俺に続く生徒は少し冗談を挟んだり、趣味や特技をアピールするようになった。


 クラスの雰囲気は鰻登り、これで俺のクラスの立ち位置は確保されたはず。

 

 成功したことによりるんるん気分でいた。

 だが、この雰囲気はすぐに断ち切られた。

 

「初めまして……西園寺美玲と言います」


 彼女が現れるまでは。


 西園寺美玲、癖のない綺麗な長髪、光を反射するような綺麗な肌。誰もが息を呑むような綺麗な容姿。

 その人物が立ち上がった瞬間クラスメイトの誰もが息を呑み黙ってしまった。

 その中には俺も含まれる。

 ……やられた。


 のちに判明したことなのだが、西園寺玲奈は俺の同じ外部入学の主席だそうだ。


 容姿端麗、才色兼備、文武両道。


 人当たりも良く、みんなの憧れの存在となった彼女はこの現実にいるから疑わしいほどの完璧超人。

 少なくとも一年生の間ではマドンナと皆に認知されるようになった。



読んでいただきありがとうございます。

次回は明日投稿したいと思います。


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら差支えなければブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


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