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夏休み①

千夏にとって小学校生活最初の夏休みが始まった。

千夏は、夏休みが来るのを心待ちにしていた。

千夏は明久時代の記憶が残っているため、非常に小学校の授業に退屈していた。


しかし、夏休みは非常に楽しみだった。

理由は、従妹で11歳年上の従妹である綾女が祖父母の家に泊まりにやってくるからである。

綾女は非常に容姿端麗で、道を歩くとよくナンパされたりスカウトされるくらいである。

もちろん、千夏も綾女同様美人であるが、年齢もありあまりナンパはされないが、綾女と一緒に歩くと同時にスカウトされたこともある。


綾女は非常に面倒見の良い姉のような性格でよく千夏とおままごとで遊んでくれており、夏休みには一緒に家の近くの祭りに行く関係だった。

今年は、昨年まで大流行していた感染症が収束してきていたため、マスクは必須であるものの、浴衣を着て屋台を回ろうと約束をしていた。

綾女はその祭りが終わるまでの約二週間祖父母の家に宿泊するのが定番となっている。

綾女がやってくるたびによく千夏は祖父母の家に行き一緒に遊んだりお出かけをしていた。


綾女は18歳という事もあり運転免許を取得していた。

去年は叔父の迎えで自動車に乗って祖父母の家に遊びに来ていたが、18歳となり運転免許を取得した彼女は自分の車で通うようになっていた。

しかし、今回の宿泊では綾女は車ではなくなんとバイクに乗ってやってきた。

たまたま彼女が祖父母宅に宿泊する日に祖父母宅で祖父母とお茶を飲みながら談笑しているとバイクの排気音が聞こえてきた。

千夏は最初は近くによくあらわれる暴走族のメンバーが家の近くを通ったのかと思っていたが、その音は祖父母宅の前でやんだ。

千夏はその音の主が気になり玄関まで見に行くことにした。

すると、革ジャンにフルフェイスのヘルメットを着用した人物が玄関の前のインターフォンを鳴らそうとしているのに気付いた。

千夏は知らない誰かが来たと勘違いし、大急ぎで祖母の所へ行った。

祖母と一緒に玄関を開けると、そこには先ほどのフルフェイスのヘルメットを脱いだ美女が立っていた。

彼女こそが綾女である。

千夏はまさか綾女だとは思っていなかったのでしばらく呆然と口を開けたまま固まっていた。

綾女は千夏に気づくと、

「よお、久しぶり。元気にしているか?」

と、関西なまりのイントネーションで話しかけてきた。

綾女は今親元を離れ関西のある大学に通っている。

数か月関西に居ただけでこんなにイントネーションが変わるものかと千夏は驚いた。


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