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12.理想のヒロイン

ガチで胸くそ悪いモブ回なのでスルー推奨……

読み飛ばす人用に一応後書きにあらすじ書いときます

カオルコが女学校の2学年を修了し、最終学年を控えた冬休み。

貞操観念の厳しい水の国へ帰省するニナは、余計な心配をされないためにカヅキとの交際を家族にはまだ隠しておくと言っていた。

カヅキの方でも、色々と嗅ぎ回られるのが嫌でニナとの交際をカオルコ以外には秘密にしていた。

親しい友人たちに自慢したい気持ちもあったが、兄の耳に入ると厄介なことになりそうだったからだ。


そんなわけで目立たないように交際を続けていたカヅキだが、ニナが卒業して兄とカオルコが結婚したら、自分たちもすぐに結婚したいと考えていた。

ニナとはまだ将来の具体的な話をしていないが、ニナがこちらへ嫁ぐのでも、自分があちらへ婿入りするのでも、いっそ駆け落ちになるとしても、カヅキにはもうニナと別れる選択肢などありえなかった。


今まで女学校の生徒などに告白されることも何度かあったが、どの女も兄の恋人たちと比較して見劣りするので付き合おうと思えなかった。

遊び相手と割り切って妥協すれば、自分まで格が下がりそうで嫌だった。

数多の美女を恋人にしている兄のことを軽蔑し、自分は兄と違って誠実な純愛を貫くのだと志し、必ず兄より優れた恋人を得ると決めていた。


美しく頭も良く、愛情深く、色気はあるが清楚で上品で、男慣れしていない箱入り令嬢のニナ。

ニナほどの女ならば、兄の侍らせるどの女にも勝てる。カヅキの満足できる相手に違いなかった。

完璧で唯一の女だ。


***


回想。


あれはまだカオルコの長兄イブキと次兄ハツハルが独身だった頃、彼らと親しかったカヅキは3人で馴染みの料亭へ出かけた。

そこは上流階級の者だけが入れる高級料亭だったのだが、隣の個室は随分と盛り上がって騒がしく、聞こえてくる酔っ払いたちの下卑た笑い声に若い3人は思わず顔を顰める。


ワハハハハハハハハ‼︎


『いやあ、先生のおっしゃる通り! 男として生まれたならば、色んな種類の女を抱き比べるのが嗜みであり人生そのものですよ!』


『そうだろう、そうだろう。そこで今度書く小説では多様なヒロインを登場させようと考えていてね、君たちの意見も聞いてみたいんだ。自分の人生にどんな女が必要か、今夜は大いに語り合おうじゃないか』


『ははは! そりゃあ愉快なお題だ。しかし理想の女がたくさんいるものだから、どれから語っていいか迷ってしまうよ。ふぅむ?』


『それなら……まず第一に絶対押さえておかなくてはならないのは、生涯夫以外の男を知らない処女の妻だろう。勿論年下が良い、10歳以上若い妻が望ましい。そうすれば妻が老いても自分はそれ以上に老いているのだから寛容になれる』


『なるほど! その方が先立たれて悲しい思いをしたりせずに済みますからねぇ』


『いや、妻は自分よりも早く、まだ美しさが残って醜くなる前に死ぬべきだね。理想の妻とは夫を喜ばせる為だけに存在する女のことだ。夫より後に残って他の男の手に渡る心配のないように、間違い無く夫だけに完全に消費されて、夫を安心させるべきだろう。専用の女だ。欲を言えば、父親や男兄弟すらいないといいね』


『処女を自分好みに躾けるだけでは退屈だからな、愛人には男慣れした女も持つべきだ! 自分の知らぬ技を学べる機会でもあるし、他の男の物を奪って自分が上書きすれば優越感が味わえる。自分の方が他の男より良いと言わせる愉悦よ。特に、誰かにとって1番大切な女を犯し、しかし自分にとっては大した女でもなかったと見下すとき、堪らなく勝ち誇った気分になるだろう。最愛の女を寝取るのは、2番手以下を寝取るのとは全然違うからな』


『たまには性に無知で無関心な女を犯すのも、一方的に快楽を搾取する愉しさがあると思わないか? 子供のような女を支配するのもいい。幼妻を得て、少女から女へ変わっていく成長過程をじっくり堪能してみたいものだ』


『愛情に飢えているのに甘え方がわからないような子供は可愛いね。他に居場所が無いと思わせて、こちらに依存させるのは楽しいものさ。見捨てられ不安を上手く手の平で転がしてやるんだ』


『虐げられて育った不幸な女ほど、男の好みに合いそうだ。勿論バカではいけない。賢く思慮深く、周囲の顔色を常に伺って遠慮しているような女は唆るよ。実親の元で安心して甘やかされて育つより、里親の元など常に緊張した環境で育つほうが優秀になるとも聞く』


『残念ながら女は劣化する。長持ちさせたい女には無闇に産ませ過ぎない方がいいだろう。沢山の子を成すのは早死にしてもいい女の役目だな。焦らずとも、古い女の死後に新しい女と幸せに暮らせば良い』


『一途な夫など愚かでしょう。安心してしまうと堕落するのが女ですからね、常に競争相手を意識させて不安を煽ることで女磨きを促してやらないと。それが女のためというもの』


『皆さん面白い意見だ。では自分は奇を衒って、処女のままの妻というものを提案してみよう。妻にしておきながら敢えて口吸いや胴体への愛撫すらせず、裸すら見ることなく、夫婦の床でもただ親子のように添い寝だけし続けるのです。いつまでも無垢で清楚な処女を傍らに置いておくというのも一興では?』


『はっ。バカげている』


『健全どころか不健全が過ぎるね』


『女を何だと思っているのか』


『ははは! 自分が余命幾許も無い老人になって幼妻でも得たなら試みよう』


『しかしまあ、女というのは感情的で厄介なものでもありますな。過去に捨てた女から粘着されて痛い目を見たというある男は、それ以降、自分以外に貰い手の無い女に手を付けてしまったときは用心してそれも囲っていましたよ。下手に放流して悪評の元とするよりは、飽きた物も全て囲ってコレクションしている方が自身の為に決まりが良いからと。どうせ金が有り余って使い切れないのならそれもそうですかねぇ』


『大勢の女を囲ってやるのは我々の権利よりも義務であり、優しさですな。愛情とは幾ら金を掛けてやるかなのですから、貧乏人には人を愛すことなどできはしない。財力のある者が愛人を増やすのは、褒め称えられるべき善性による人助けでしょう』


『その通り。意志も責任も無い者たちは、指導者が管理してやらねば何も成せない。女子供や凡夫どもは、優れた主人に縋る以外に生きる道は無いものだ。それなのに自身の苦境を我々のせいであるように責任転嫁する無能どももいる。嘆かわしいね』


『弱者には嫉妬しかできないのですよ。我々強者こそ正義なのですから、弱者搾取も無罪です。惨めな生き物と笑い飛ばしてやりましょう!』


ワハハハハハハハハ‼︎


傲慢な自惚れ者どもは酒にも己にも酔った下劣で醜悪な笑い声を響かせる。

その後も女を物としか思っていないような発想ばかりが上がり、すっかり気分の悪くなった隣室の若者3人は早々に切り上げて帰ることにした。



読み飛ばした人用あらすじ

金持ちのスケベジジイどもが酔っ払って女や庶民を見下しまくった発言してて、隣室でたまたま聞いたカヅキたちがドン引き

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