#52飛行機
「よし、全部解けたぁ!!」
京君の叫び声が後ろの方から聞こえた。
「これで飛行機が開くはずだよね!」
京君は嬉しそうに僕らに話しかけてきた。
「そうだと思うけど…」
「え~解けたようなのでまもなく着陸しま~す」
アナウンスが流れた。
「シートベルトは外しちゃダメだからね~っ」
「あれ、シートベルト外してるけど大丈夫かな…うおっと」
飛行機が激しく揺れて京君がよろめいた。
「大丈夫かぁ?」
「あっぶな、転ぶとこだった」
「とりあえず、京君のおかげで飛行機は開くっぽいね」
「ね!凄いでしょ!へへっ」
京君は軽くポンっと胸を叩いた。
揺れも収まり、飛行機の扉の前に行くと人が何人かいた、早く出て話が聞きたいのだろう、僕もそうだ。
「は~い、今開けま~っ…押さないで押さないで~っ!」
みんな溢れるようにして外に出た。
「焦るなって、今話すからさ~」
ピンキックはみんなを並べ、話を始めた。
「まず、乗る前と同じ光景だよね~あなたたちが言いたいことは分かってるよ、飛行機嘘じゃんってことでしょ~?」
そうだ、いや、それよりも何故閉じ込めたか。
「あと閉じ込めたのはあなたたちに少しでも飛行機を楽しんでもらうためで~」
「そうそう~っあの人がそうやっ…」
急にダイダイックが力が抜けたように倒れ込んだ。
「ちょっとダイダイックは色々喋りすぎちゃうから私一人で喋りま~す」
ダイダイックはピンキックによって急停止?されたようだ。
「えっと、そう、それで今から向かう先にあなたたちが3日過ごす場所があるから、付いてきて~あ、ダイダイックは放っておいて~」
僕達が入ってきた方とは逆の扉へ入っていった。
ダイダイックを横目に僕達も後を付いていく。
しばらく歩いた、だが景色は変わらずにずっと白い壁が続く。
あるといえば階段の上り下りがあるぐらいだ。
「もうそろそろ着くわ、飛行機は楽しめたかな~?」
「楽しかったぜぇ!」
「お、元気だね~」
「おうぅ!」
砕は元気に反応した。
たしかに閉じ込められたのは不本意だが、少し楽しめたかもしれない。
「この扉の先でちょっと待ってて~」
ピンキックは来た道を逆走していった。
扉を開けるとそこはまるで遊園地。
「ダイダイック連れてきた~」
いつの間にかピンキックが後ろにいた
「あなたたち~っ怒られちゃったからもう喋るの控えるわね~っ」
怒られて反省してるようだ、というかさっきダイダイックが言ってたあの人って…?
「じゃあ説明するわね、さっきも言った通り、ここで3日間過ごしてもらう~そしてその3日間の内にその日に出されるミッションをクリア出来なかった人はその日の晩に落ちる、でもそんなに難しいのは無いと思うから安心して~」
毎日何かミッションが課せられるのか。
「そして今からあなたたちの住む場所を教えるわ、あなたたちの住む場所は1人1軒、どこの家かはもう決まっているわ~、他の家に行き来することも可能だけど、寝る時は絶対自分の家であること~」
1人1軒か、どんな家なんだろう。
「施設を説明するから付いてらっしゃい」
ピンキックは僕らを連れて歩いていった。
「ここがチャレンジゾーン、体育館みたいなもんだけど、まあミッションとかでよく使われるわね」
まずチャレンジゾーンという場所に来た、中は見えないが広さは結構広めのようだ、形はドーム型の大きな施設だ。
「ここら辺はほとんどアトラクション、自由に遊べる場所よ~」
本当の遊園地のようなものばかり、ジェットコースターもあるし観覧車もある。
「そして噴水広場、ここはチャレンジゾーンぐらい広いわね~アトラクションとかいらない!って人におすすめ~ここならアトラクションの音も聞こえてこないしちっちゃな図書館もある~」
真ん中に大きな噴水があって、奥側の隅に図書館がある、そこまで大きさは無いが、噴水の周りに椅子が置いてあってくつろげそうだ。
「さあ、ここが住宅街、あなたたちの住む場所よ」
まさに住宅街って感じの家しかない場所だ、まるで迷路のように家が並んでいる。
「後で一人一人に鍵を渡していくわね~」
「といった感じで探検終了~今から自由時間よ~でも一人一人に声掛けていくからその時は家にまず向かってね~」
全員にここの地図が渡された、現在地は地図のちょうど1番真ん中の下、そして真ん中にチャレンジゾーンがあって右奥に住宅街、左奥に噴水、あとはアトラクションだ。
自由時間、どうしようか……
「うおおおおぉぉぉ!!!稗田っちすげえなぁぁぁ!!」
「楽しいぃ!ジェットコースター最高ぅぅ!!」
「最高だなぁぁぁ!!」
まさに幸せの空間、ここに3日居れるなんて…と油断させておいて急にミッションが来たり…
「砕ぃぃ、危ないってぇぇー」
「そうかぁ?もっともっとぉぉ!!」
次は砕とコーヒーカップに乗った、砕が調子に乗って回しすぎている、ううっ…吐き気が。
「なんかこれもこれで良いよなぁ!」
「そうだね、落ち着くよね」
次はメリーゴーランドに乗った、辺りを見るとピンキックが手を振っていた、鍵を渡しに来たのだろう。
「はい、2人の鍵ね、鍵に家の番号書いてあるから番号と同じ家に入ってね、もちろん他の家はその鍵だと開かないから」
僕と砕はそれぞれ家へ向かった。
番号はたしかここの…はず……
「ここって…僕の家?」