#5対抗戦1
…うん、僕がリーダーか。
嫌な予感はしていた、砕が択から消えた時から。
「じゃ、頑張ってね、1君っ」
櫻さんにウインクされた、がんばる
「頑張ります」
一瞬気が緩んだが後に関わってきそうな大事な場面…のはず、ちゃんとしよう。
弱そうな相手は…あっ!服を着替えたところにいた小柄の少年!
僕はその子の元へ向かった
「あのー、戦わない?」
「俺の見た目で決めたでしょ、まあいいよ」
心にグサッときたが、これも勝つため。
僕は握手を交わした。
「みんなー、決まったよー」
少年が後ろの方に声をかけた。
「…ん?」
どう見ても強そうで体の大きな男が1人と筋肉の付いた女性1人に細身の女性1人…
「…これがチームメイト?…ですかぁ?」
少し震えながら言った。
「そうだよ、俺はこの人たちが凄く優しい人だと思って話しかけたんだ、そしたらみんな来てくれた、ほんとに良い人達だよ」
チームメイトはちょっと照れているようだ。
「ちょっとこっち」
握手したままの手を引っ張られた。
「実はとりあえず体強そうな人に声をかけてみたらいけたんだよね、くくく」
と小さい声で笑いながら言ってきた、ずる賢いのか、なんなのか。
「じゃあ、えーと、あっちでやろうか」
左を少年が指差し、少年のチームメイトは机の方に向かった。
「特別に1体1で戦う相手は君のチームに選ばせてあげるね、じゃあまた後でね」
僕はミスしてしまった。
見た目で判断してしまっ…いや、あの子自体は小さいか。
でもミスをしてしまったのは間違いない。
落ち込みながらみんなの元へ戻った。
「やっちゃった…」
「どうしたぁ!何があったぁ!!」
砕が大声で僕に声をかけてくれた、でも声が大きすぎて周りの目が少し気になった。
「リーダーは小さかったんだけど、チームメイトが筋肉あったり強そうで…」
「大丈夫!倒せるさぁ!」
必死に砕が励ましてくれる。優しいな。
「仕方ないわね…まあ、力より速さが必要よね」
櫻さんも励ましてくれている。
「がんば…ろう…」
日向ちゃんまで。
戦う場所とか色々説明をしながらみんなで机を移動させていた。
「あ、ちなみに力の差もあるだろうし、対戦相手は同じ性別の人ね~」
ウコイックが思い出したかのように言った。
とりあえず机を運びながらした作戦会議はこう。
僕と少年、砕と強そうな男、あとは細身の人を日向ちゃん、筋肉のある女性を櫻さんが担当という話になった。
「さあここからの進行は僕の分身がやってくれるよ~」
ウコイックがやるんじゃないのか。
「やあぁ~!僕はアカイックさぁ~!!よ~ろしくねぇ~!!」
アカイック、見た目のまんまだ。
ウコイックは警官帽をいつも被っているが、その色が真っ赤だ、服もウコイックは僕らと一緒だがアカイックは赤いバージョン、帽子の金のバッチも赤。
そして顔はウコイックそっくり。
「じゃ、あとはアカイック、任せたよ~」
ウコイックはまた警官に抱えられ、どこかに消えた。
「じゃあ、準備はいいかな~?1回戦目!いぃぃくよぉぉぉ~!!!!」
最初は櫻さんの戦い。
「スタートぉぉ~!!」
アカイックは思いっきり叫んだ、体は小さいのに声は響く。
静まり返った空間の中に、積み木を重ねる音だけが響く。
向こうが1つ置く度、櫻さんも負けじと置く。
相当な接戦だ。
…
「さあ!カウントいきますよぉ!3!2!1っ!」
「しゅ~!りょ~!!」
アカイックはまた叫んだ、機械だから喉は枯れないんだな。
結果は…2つのブロックの差で櫻さんが負けた…
「ごめんねみんな」
「謝らないでください、絶対取り返しますから」
ちょっとカッコつけてみた。
「ふぅ~、ちょっと警官、喉用の油持ってきて~。」
2回戦は僕と少年だ。
僕は緊張を抑えるため、思いっきり深呼吸した。