#39讓渡
僕達はもう恨みっこなしということで鬼ごっこ形式になった。
ジョーさんがまず鬼だ。
「触らせろぉぉぉ!!!」
まずい!肩を触られたら代表になる!
僕達は逃げ回った。
ジョーさんが追いかけ、僕達は必死に逃げる。
でもこのままだとジョーさんが落ちることになる。
ジョーさんが立ち止まった、そしてミドリックの方へ向かって叫んだ。
「なあミドリック!ちょっと聞きたいことあるんだけど大声で話せないから近づいてきてくれないか!」
まさか?
ジョーさんの方を見ているとジョーさんがミドリックの耳元で話していた。
…あ、肩に触った、やっぱりそういうことか。
「なんて卑怯なんだ~!見損なったわ~!」
ミドリックは大声で叫ぶと、片腕を持ちあげて前に向けた。
「誰にしようかな~じゃあお前な~」
ミドリックは手のひらを京君に向けた。
「ん?俺?どういうこ…」
京君がそう言った瞬間、京君の肩にミドリックの手が乗っていた。
「えっ…」
みんな驚いて止まってしまった、追いかけていた女性も動きが止まったようだ。
「いぇ~い」
京君の肩に乗った手はピースしながらミドリックの元に戻った。
「これでやり直しなんだわ~お前ら頑張れ~」
ミドリックにすぐ返されてしまった。
「…え、あ、待てぇぇぇ!!」
京君は思い出したかのように僕達を追いかけてきた。
今代表なのは京君で、時間は残り15分といったところだろうか、校舎に付いてる時計が追いかけられててちらっとしか見えない
「ねえ!みんな!」
遠くから櫻さんの声が聞こえた。
「私分かっちゃったわ!そこの男性達追いかけてる子!落ち着いて聞いてね!」
櫻さんは何か分かったらしい。
櫻さんは僕達の方に走ってきた、一応日向ちゃんも付いてきたようだ。
「いい?よく聞いてね?」
櫻さんは京君に向かって喋ろうとした。
「あ、でも不安だったら稗田君に渡してもいいわよ」
「じゃあ頼むよ」
すぐ僕に渡したな、でも何か考えがあるなら受けようかな。
「じゃあ稗田君、聞いてね」
「稗田君は指定覚えてる?讓渡は無理でも指定ならいけるんじゃないかなって思ったんだけど」
肩にばっかり気が向いてて指定を忘れてた、指定はたしか指を差せばいいだけだった。
じゃあミドリックを……あれ、ミドリックがいない。
まさかもう逃げたのか?ウコイックもいないし。
「あれ、どっちも逃げちゃったわね、ちなみに今私が代表だからウコイック指差そうと思ってたのよね」
「お前ら聞こえるか~」
急にアナウンスが流れた。
「お前らが気づく前に俺らは逃げたんだわ~でも俺らはここのどっかに隠れてるんだわ~だから見つけたらお前らの勝ちな~」
またかくれんぼか…
でも次は2人だし、僕には探す仲間がいる。
「ウコイックは女、俺は男が見つけないと意味ないからそこは注意するんだわ~投票は…まあいいや~代表が俺ら見つけたら勝ちな~」
投票はもういいのか、でも僕が見つけないと意味無いのは少し厄介かもしれない。
「じゃ~頑張れな~」
アナウンスは終わった。
正直理不尽だな、でもミドリックは理不尽な性格ってことなのかもしれない、なら納得はできる。
「稗田君、なんか変なことになっちゃったわね、でも頑張りましょ」
櫻さんはそう言うとウコイックを探しに向かった。
僕らもミドリックを探しに向かった。