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リピートライフ  作者: 花畑 空間
第3章
21/86

#20キイック

「ただいま~…アオイックから聞いたよ…」

キイックが帰ってきた。

「みんなごめん…アオイックも悪いやつじゃないんだけど、守れなかった…」

キイックはすごい責任を感じているようだ、今更だけどキイック達は僕達をここへ閉じ込めた()()のはずなのに、ここまで落ち込んでいると味方なのかなんなのか分からなくなってくる。

響子さんは下を向いたままこう言った。

「まあ、ちゃんとやらなかった蒼ちゃんも…いけなかったからね…」

その通りでもある、だけど、僕が…僕が…

「おい、稗田っち、震えてるぞ、安心しろ」

砕がそっと抱きしめてくれた。

「あの、さっきウコイック達と話し合ってて()()()()()があるんだ~…」

決めたこと…?

「良いことと悪いこと、どっちから聞きたい?」

「じゃあ先に良い方で、少しでも元気になるはずよ」

櫻さんはそう言った。

「行方不明になってた2人が見つかったんだ、いや、()()()()()()んだ~…」

ついに話すのか、解決したのだろうか。

「良かったわね、それで…悪い方は?」

「申し訳ないけど、今会わすことは出来ないんだ」

それも言うのか。

「ちなみにそれは、なんで?」

櫻さんは冷静に質問している、櫻さんは僕から聞いているから冷静でいられるのだろう。

「…ごめん、稗田君、あれ、名前合ってるよね?」

キイックが僕に話しかけてきた。

「合ってるけど…」

「君にもまだ伝えてない()があるんだ」

「嘘…?」

「それはね…あの二人は…もう()()()()()()()()()…」

えっ…

「ごめんねみんな、今まで黙っていて、僕の部屋に元々あの二人は隠れてて、それで、えーと、あの…」

キイックは焦りながらも説明を続けた。

「2人の様子がおかしくなってね、あの、稗田君は目撃したって言ってたから先に伝えてて、その、解決法が無くて…落としちゃったんだ…」

「ていうことは…もう洋一さんは戻ってこないんですか…?」

南島さんが青ざめた顔でキイックに問いかけた。

「うん…ほんとにごめん…これで責任が晴れるか分からないけどさ…」

キイックは涙を堪えた顔で正面を向いた。

「みんな…()()()()

…パカッ

…キイックは…()()()いった。

「嘘だろぉ…」

砕は唖然とした表情で穴を見ていた。

櫻さんは両手で口を抑え驚いた表情だった、日向ちゃんは櫻さんの背中にしがみついていて表情すら見えない。

逆に僕は意識が戻った、色々ありすぎて。

少し経つと穴は閉じていった。

「お~いみんな~、あれ~?キイックは~?」

ウコイックが部屋に入ってきた。

「どうしたのみんな~、暗い顔して~」

「キイックが()()()…」

「…はぁ~?いや、そんなん無い無い、絶対無~い」

ウコイックは少し動揺した様子だ。

「えーっと、こうか」

ウコイックは右耳を軽く捻った、何をしてるのだろう。

「あれ~?これでキイックと繋がるはずなのにな~()()

ウコイックはまだ信じていないようだ。

「え……ねえ、ほんとなの?」

ウコイックは真剣な表情に変わった。

「うん…」

「…くっ…何やってんだよキイック…優しすぎるんだよ…参加者にはあくまで同情するなって言ったのに…」

ウコイックはポツリと呟いた。

「えーと、それで、キイックからは聞いたの?行方不明の話…」

「もう聞いたぜ、それも驚いたけど、まさかキイックが()()()だなんてよぉ…」

「はぁ…もうしょうがないから僕が今日からリーダーね~…キイック…」

ウコイックはキイックが()()()ダメージが大きいようだ。

「もう明日本番でしょ、今やらないと…う~ん、どうしよう~」

「正直目安の人数まで達したし、これ以上追加で落とすのは無しね~、でも演技はやってもらうよ~、せっかく今まで頑張ったのに全部中止って訳にはいかないでしょ~?」

この状況でまた準備を再開できるのだろうか…

「う~ん、ほんと困ったなぁ~、キイックが落ちるなんてなぁ~、はぁ~あ」

ウコイックも想定してなかったのだろう、いつもの調子が出てない。

「台本はもう終わってるの~?」

「え、あ、はい」

台本班の女性が答えた。

「道具班…だっけ~?それは~?」

「こちらも終わりました」

次は南島さんが答えた。

「じゃあ演技する人たちは~?」

「まだ衣装は合わせてないわ」

櫻さんがそう言うと、ウコイックは机にあった服を一気に全て持ち上げて、櫻さん達の前に置いた。

「じゃ、衣装合わせようか~」

ウコイックはもう切り替えれたようだ、機械だからだろうか。

「ええ、さあみんな!もうこの際やりきっちゃいましょうー!!」

櫻さんは大声で叫んだ。

「うおおおぉぉ!!!…あれ?」

砕が叫んだ、が、他に誰も叫んだ人はいなかった。

「じゃ、なんかみんな乗り気じゃなさそうだけど、エイエイオーしとく~?」

ウコイックがみんなを手招きした。

みんなでとりあえず円陣を組んだ。

「えーと、あいつ(キイック)に変わりまして、リーダーになりました~っ、ウコイックで~す、みんな~、明日までの練習頑張っていくぞぉ~!エイ!エイ~?!!」

「「お…おおおおお!!!」」

円陣って本番の前にやるんじゃないのか、と思ったけど、まあいいか。

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