するべき償い
するべき償い。それは何なのか。僕はそれが、129回死ぬことだと仮説を立てた。
129人、僕は殺したのだから。
そう思った僕は自分の持っているナイフで自分の首を切り続けた。
その度に黒い男の声が聞こえた。
⦅するべき償いをしろ⦆
と毎回毎回聞こえた。
僕は、吐き気がしても、心がぐちゃぐちゃになっても自分の首を切って切って切り続けた。
「これで、129回目」
ついに、129回目。僕は、自分の首を切った。
これで、楽になれる。そう思った。
**********
「ハッ!死んでない。何で――。」
僕は分からなかった。何で、僕が死ななかったのか。
なぜ死ななかったのか?僕は考えて考えて考えた。
もしかして。
「黒い男の分も入ってる?」
あの時黒い男は死んでいたのかもしれない。そう思った僕は自分を殺そうとした。
⦅するべき償いをしろ⦆
「ああ、言われなくても、そうするよ」
僕は自分の首を切った。
……………
………
…
死ななかった。死ねなかった。このループから抜け出すことができなかった。
絶望感からか、とても、気持ち悪い。
⦅するべき償いをしろ⦆
「したよ!したじゃないか。なのに、なんで!?」
⦅するべき償いをしろ⦆
⦅するべき償いをしろ⦆
⦅するべき償いをしろ⦆
⦅するべき償いをしろ⦆
⦅するべき償いをしろ⦆
⦅するべき償いをしろ⦆
⦅するべき償いをしろ⦆
⦅するべき償いをしろ⦆
⦅するべき償いをしろ⦆
⦅するべき償いをしろ⦆
その言葉頭を埋め尽くす。死ねない。死ぬことができない。
「黒い男!どうやったら死ねる!?」
⦅するべき償いをしろ⦆
「また、それかよ」
もうだめだ。もう死なせてくれ。僕はもう限界なんだ。
「拷問してすみません。殺じ――んっ?」
「拷問だ!」
僕はこのループから抜け出せるということに歓喜し、そして、絶望した。
「自分で、自分を拷問するのか」
僕は自分の家に向かった。そこの地下に拷問部屋がある。
僕が行っていた拷問は、腕を折ったり、――をはがしたり、――を切ったり、――をえぐったり。
それらを、今から行う。
「僕、行くぞ」
始まった。拷問が。
「痛い痛い痛い。痛いっ!」
痛い。とても痛い。僕はこれを130人にやったんだ。
「やめたら、駄目だ。意味がなくなってしまう」
僕はやってきた拷問をそれぞれ思い出した。
そして、死んで、死んで、死んで、死んで、死んで、死んで、死んで、死んで、死んで、死んで……
129回死んだ。
最後の一回は、拷問して生きなければならない。
僕は思い出す。逃がした少女の事を。なぜ逃げられたのか。
あれだ。
僕はそれを実行した。