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するべき償い  作者: kai
2/3

「おーい、黒い男。どこにいるんだ!殺してやるから出て来いよ。はあ、やっぱりいないか」


僕は森の奥まで来ていた。黒い男は見つからず、適当に探しているのが現状だ。


「明日にするか」


今日はやめとくが、明日は見つけて、殺してやる。僕は諦めの悪い人間なのだ。


⦅するべき償いをしろ⦆


「どこだ!」


見つけることのできなかった黒い男の声が聞こえ、僕は思わず大声を出す。


「あっち、か?」


僕は、黒い男がいるかもしれない方向へ走る。


⦅するべき償いをしろ⦆


「やっぱりあっちか!」


僕は走った。獲物を狙うチーターのように。


「え?」


足元に感覚がない。下は……崖だった。


「うわああああー!」


僕は落ちてゆく。


―グシャリッ―


そんな鈍い音がして、僕は、死んだ。


**********


「ハッ!ここは……」


ここは、僕と黒い男と出会った場所か。


さっきのは、夢?


「グフッ、グヘェ、グエェェェ」


僕は吐いた。汚物を。


「夢にしちゃ。現実感がすげえな」


あれが死、なのか。ったく。吐いたのは久しぶりだな。血や臓物を見て吐かなかったてのに。


「まあいい。黒い男を探すか」


**********


「グフッ、グヘェ、グエェェェ」


また死んだ。これで、36回目か。


僕は何回も死んだ。あれは夢なんかじゃなかった。死ぬたびに、黒い男会った場所に戻ってくる。黒い男を追いかけず、生きおうと思ったが、食事がのどに通らなくて餓死した。


僕はいろんな死に方をした。崖から落ちたり、水中でおぼれたり、餓死だったり、自殺だってした。


でも、死んでも死ぬことはできなかった。


これが、黒い男な言っていた償いなのか。僕にはわからない。


でも、一つ分かった。死は何よりも恐ろしいと。


慣れない。いくら死んでも慣れない。慣れていいものではない。


僕は、黒い男の言っていた、「するべき償い」をしないといけないと、悟った。


⦅するべき償いをしろ⦆


その声が、頭に響き続けた。


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