プロローグ・後半
午後の召喚の儀は何事もなく行われていった
クラスメイトは各々と相性の良い使い魔を召喚していた
珍しいのもちらほらと召喚されていた様だ
中でも妖精種のケット・シーが召喚されていた
まぁそれを召喚のは…
「ケット・シーを召喚するとは…流石としか言えないなフィーラ」
「そうかな?まぁ僕の家系は猫種系に好かれてるからそのせいかもね」
俺の親友であるフィーラ・シャロンだ
フィーラの家は治癒魔法や支援魔法を得意とするシャロン伯爵家だ
爵位は二つ下になるがノーチェス家と並ぶ実力を持っている家系で両親共に学友だったらしい、今でも仲が良く愛称で呼ぶ仲だ
俺もフィーラとは幼少の頃からの付き合いだ、もちろん妹達もだ。
「フィーラ昔から猫好きだもんな、しかもケット・シーは治癒と支援系の魔法の使い手だったな…相性バッチリじゃないか」
「そうだね、家族も喜んでくれるよ」
そう言いながらケット・シーを優しく撫でる親友
ケット・シーも親友の優しさが分かるのか膝の上で眠りながらも尾を腕に絡めていた
ある意味羨ましいな、早く俺も相棒が欲しいな
「あら珍しい、妖精種を召喚なさったのですね」
「あ…こ、これは…」
「やぁ久しぶりルーナ様」
「お久しぶりです、愛称で構いませんよブラッド」
1人のクラスメイトの女子がクスクス笑いながら話しかけてくる
俺の従姉妹に当たる人物、姫君のルーナ・ヴァイアス
この国ヴァイアス、王の娘である
「そうかい?ルナが学院にいるのは久々じゃないか」
「えぇ、やっと姫としての仕事が終わりましたの」
「そうだったのか、お疲れ様だね」
「えぇ召喚の儀に間に合ってよかったです」
平然と会話している俺の横では王族に対して固まってしまった親友
知らない仲ではないのだが…幼少の頃とは違い立場がはっきりわかっている為か中々昔のように楽に話せない様だ…やれやれ…
「お久しぶりですフィーラ様」
「あ、い、いえ…ルーナ様、お久しぶりです」
「そんな緊張なさらずに昔の様にしてください」
「そ、そんな恐れ多い…僕は伯爵家の者ですので…」
「この学院では身分は関係ありません、皆平等ですわ」
「あ、あはははは…」
これは苦笑するしかない
いくら学院だからと言ってもルーナは王族だし、もし外で学院内と同じ事になってしまったら…考えるだけでも恐ろしい…と思ってしまうだろうなぁ…
「それよりルナは召喚出来たのかい?」
「はい、私にはこの子が来てくれました」
嬉しそうに言いながら召喚された使い魔を見せてくれる
ルナが抱えているのは…
「ドラゴン…ルーナ様凄いですね」
「はい、幼体ですがドラゴンです」
国王も父様と同じ竜種の適正があるのは知っていた
その娘であるルーナ様も竜種がくるだろうと思っていたが…
まさか竜の中でも珍しい種族の金剛竜と白銀竜の幼竜だ
力に特化した金剛竜
魔法に特化した白銀竜
父様が言っていた、この2匹はかなり犬猿で力こそ全ての金剛竜は白銀竜を馬鹿にしていると…逆も同じである
この2匹が子を作った事は無いとすら書物に載っていたのを俺は知っている…
だが今目の前にいるのは紛れもなくその2匹の子竜、子竜の目は片方が金、もう片方は銀
竜の子竜は親の力を必ず受け継ぐ為かなり強くなるだろう
「いや…本当に凄い…大切にしないとね」
「はい、これからは家族ですからね…キュリウス」
子竜はキューと鳴くとルナの胸に頭を擦りつけていた
…余談だがルナの大きな胸が揺れたのだが…流石に見るのはまずいだろう、俺と親友の目線はしっかりと外したのだった
さてそろそろ俺も呼ばれるだろうし準備しておくかな
周りわ見れば殆どが召喚を終えており、見せ合う者や仲良くなろうとスキンシップをとる者と分かれていた
「そろそろブラッドの番じゃないかな?」
「ブラッドの事です、きっと私よりも凄いのでしょうね」
「あんまり期待しないでくれよ、父様や母様と同じさ」
「最後ブラッディ・ノーチェス、召喚の儀を始める」
おっと俺が最後だったか
「行ってくるよ」
それだけ言って俺は召喚の儀の為に隣の部屋へ移動した
俺もルナと同じ竜種なのか、それとも狼種なのか楽しみだ
部屋に入ると中央に魔法陣と横に置かれた水の入った杯が置いてある
「これから召喚の儀を行います、手順は説明してある通りにしてください」
1,杯に自身の血を一滴垂らす
2,血の入った杯を持ち魔法陣の上に立つ
3,召喚の詠唱を唱え最後に杯を魔法陣にかける
4,召喚された使い魔と契約を交わして終了
よしっと…
はてさて…どんな使い魔が現れるか…
魔法陣が光だした、光は強くなり視界を真っ白に染める
徐々に光が収まってくるが、そんな俺の眼前に現れるのは竜の鱗でも狼種の体毛でもない…
目の前には…召喚されたのは人、しかし人間ではない
真っ赤なドレスに身を包んだ女性…頭には2本の黒い角、背中には天使の様なしかし真逆の真っ黒な翼
これは…いや,彼女は魔族だ
俺がそう理解するのは遅くはなかった…だが学院始まって以来の大事件、まさかここから俺と彼女の物語は始まるとは思いもしなかった
色々と迷走しながら書いてます