ショッピングモール
今日は日曜日。明日から、学校が始まると思うと憂鬱な気持ちだ。
今日は何をしようか?そう考えてみるが、ゴロゴロするという選択肢の他は考えられなかった。
金曜日の夜から土曜日は、「次の日はやすみだから!」と思って、どこかに出かけたいという気分になるのだが日曜日はどうしても出かけるという気持ちにはなれない。
別に絶対に遊びたくないというわけではない。
仲のいい友達から遊びの誘いがくれば、喜んで行こう。だが、そういったことは極力避けたい。
次の日から、しんどい授業が始まると考えると「今日はゆっくり休んで明日に備えよう」と、なってしまう。
それらの事から、一度は起こした体を再度ベットで休ませる。
「この居心地の良さ、最高すぎる。」
この体温で暖まった布団の中からは、もう抜け出せないかもしれない。
そんな感じで、ベットの虜となった僕のもとにメイさんがやってくる。
「はいはい、起きてください!今日は約束した日ですよ!まさか、忘れてたとか言いませんよね?」
若干、機嫌を損ねているメイドのメイさん。
相変わらず、胸の強調がすごいメイド服を着ていらっしゃる。そう思って、ボーッと見た後僕は再度眠りにつこうと布団を顔までかける。
そこにメイさんは、布団の上にジャンプして体重を乗っけると僕の体を揺らす。
「シュージさーん、おーきーてーくーだーさーい。」
今思い出した。そういえば、メイさんと買い物の約束してたんだった。さすがに、約束したのに
「やっぱり行かない。」なんて言えるはずもなく、顔に被せていた布団をめくり、起きようとした。
だが、ある障害物が僕をこの体勢から起こさせまいと邪魔をしてきたのだ。
僕の目線の先には、綺麗な曲線を描くものが2つあり、メイさんが動くたびに若干だが形を変えて左、右へと揺れている。
どうしてだろう。僕の細胞という細胞がこの体勢を崩してはならないと叫んでいる。
「ちょっ、シュウジさん、何見てるんですか。...えっと...はははっ。じゃあ私、下で待ってますね!」
メイさんは視線を感じ、その場から即座に退散した。
くっ、もうあんなアングルから見ることは、もう一生ないだろう。記憶にちゃんと残しておかなければ…
そうして僕は、「仕方ないか。」と呟き、ベットという楽園から抜け出すことにしたのだ。
「で、どこにいくの?」
今僕は、台所でメイさんが作った朝食を食べていた。メイさんは、もう食べたらしく手を顎に添え僕の顔をマジマジと見ながら答える。
「そうですねぇー、最近出来た大型ショッピングモールなんてどうですか?あそこなら、ご飯の材料やシュウジさんが見たいものだってあると思いますよ。」
メイさんが提案するのはすべて仕事のことと僕の事だった。もっと自分の事も考えたらいいのに、朝から仕事を始めて夜までの間は学校で授業や課題、夜には晩ご飯を作る。
そんな忙しい毎日を少しでも楽になれるよう、僕も手伝おうとするができることより、できないことの方が多く、あまり力になれなかった。
だから、僕はメイさんに提案する。
「うん!そこにしよう。そのショッピングモールなら色々な物あるし、いいかも。
そうだメイさん、一通り買い物が終わったらそれぞれ行きたい店に行くっていうのはどうかな?」
「別に構いませんが、何を買うんですか?」
「え、えーと。それはプライバシーの問題ということで...深く聞かないでくれるとありがたいかな。」
「...はっ!でででで、ですよね!シュウジさんもお年頃ですしそういったものを買ったりしますよね!」
なんでそうなるんだよ!と、ツッコミたいところだがこの勘違いが悪化しかねないと考え、今回はスルーすることにしよう。
「じゃあ、そろそろ行こう。ショッピングモールに。」
僕は立ち上がり、皿を片付けて、外に出て待つことにした。
「はやっ、ちょっ待ってくださいよー」
◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇
やはり人が多かった。
中は、小さい子供からお年寄りまでの幅広い年齢の客が集まり、人波ができていた。
なんてこった。せっかくの休日だというのに、こんな人ゴミ…おっと失敬。人込みの中を切り抜けて目当ての店に行かなければならないのか。
人は多いと思っていたけど、流石に、この人の多さは...
流石にメイさんも人の多さに引いたんじゃ...
そう思い、目線をメイさんに向けてみるが嫌がるどころか、むしろ目を輝かせていた。
「見てくださいシュウジさん、人がこんなに居ますよ!凄い!私、田舎育ちだったのでもう、もう、興奮しちゃってます!」
「全然平気そうだな...。まぁあいっか、メイさん早く買い物おあわらせちゃおう。まだこれから人も増えていくだろうし。」
メイさんは、右、左と顔の向きを変えて喜んでいる。その姿を見ると、僕の考えは少し変わり、来て良かったかな?と思わせられる。
それにしても、本当に人が多い。まぁ、規模が規模だしな。
今月出来たばかりのショッピングモールは、有名店が集まり、東〇ドーム2個の広さという全国のショッピングモールと見比べても圧倒的な規模を持つ。
人が集まらないはずがないのだ。
僕は酔いそうな気分を抑えながら、目的の一つである洋服店に向かうのだった。
そして、数分後。
「うっ、吐き気が...。ちょっと休まない?」
さっきまで感じでいた酔いは、いよいよ限界値を超えようとしていた。
「ちょっ、シュウジさん大丈夫ですか?まだ、歩いて10分も経ってないのに。もしかして、私の気合の入った服装に悩殺されました?」
「うん、されたされた歩いても歩いても人の顔が連続で視界に運ばれて悩まされた挙句、殺される寸前だった。つまり、何が言いたいかっていうと、休ませてください!」
「はあ...仕方ないですね。あそこ休憩スペースで少し休みましょ。」
「めんぼくない。」
そうして、一階にあるオープンスペースで休むことになったのだった。
オープンスペースには10つのテーブルと、一つのテーブルにつき4つの椅子が設置されていた。
僕は、その中から適当に選び腰をかけてテーブルに張り付く。
「はぁー、人多すぎるだろ。酔うわ!」
「確かに人多いですよね?まあ、初めての経験だし全然OKって感じなんですけどね。」
「いいよなぁ、メイさんは楽しそうで。もう一層、僕にバル○してくれない?もう今日は視界なしでいいや。」
「なに言ってるんですかまったく、ちょっと待ってて下さい、何か飲み物買ってきますから早く通常のシュウジさんに戻って下さい。戻ったら、買い物行きますよ!」
「いや、いいよ。自分で...」
自分で買いに行くと言いかけた時にはもう遅く、メイさんは人込みの中へと消えてしまっていた。
僕はもう一度顔を伏せ独り言を呟く。
「また、やってしまった…今日はメイさんの息抜きが目的で来てたのに、飲み物を買わせに行かせてしまった…僕の馬鹿野郎。」
ぶつぶつと独り言を呟くシュウジの横を通る人は全員視線を向けていく。当の本人は、そのことに全く気付いていない様子で気づかず自分に対して色々言っていた。
そんな矢先、誰かがシュウジの肩をポンポンと軽く叩く。メイさん、もう帰ってきたのかな?そう思い、伏せていた顔を上げ、振り向く。
目線の先には、見慣れた胸部ではなく、また一回り程大きいものが見える。
「あれ?カナ先輩?」
「やあやあ、シュウくん。久しぶり。ちょっと!どこ見て私だと判断した?」
そこには、知り合いの女性が立っていた。