メイの心
授業がすべて終わり放課後を迎える。
僕は部活をやっていないから残ってても仕方ないと、いつも通りすぐさま教室を出る。
学校をでると夕方の春風が吹き付ける。
暑くなく、寒くもない丁度いい気温は疲れと合わさって眠気を誘う。
「こんな日には、家に帰ってメイさんの膝枕で寝よう！」
「おい、何勝手なことを言っている。」
「てへっ、ばれちゃいましたか。」
いつから後ろにいたのか．．．。後ろには、考えてもいないことを言うメイさんが居た。
「自分で言ったかどうかわからなくなったら終わりだよ。」
妙にテンションが高いこの女は何を考えているのだろうか。もう家に帰って寝たい。
もうかまうことにも疲れて帰宅路を歩き始めると、住宅街に響き渡る足音が二重に聞こえる。
嫌な予感がする。恐る恐る振り返ると、人一人分あるかどうかの間隔でついてきていた。どうやらメイドに取り付かれてしまったらしい。
「あのぉ～、メイさん。もう少し間隔を空けてもいいのではないでしょうか？」
「シュウジ様、そんなことはできないのです。私はシュウジ様のメイド。なので、近くでお世話をする義務があるのです。」
「意味が分からん。」
にっこりと笑う姿は眩しく、可愛かったが同時に恐怖も覚える。
なんでそこまで僕にこだわるのだろうか。なんでそこまで僕に心を許しているのだろうか。
今日、一日メイさんの様子を見る限り、他の人には丁寧語で話していて、僕と話すような感じで冗談を言うことはなかった。
それに、笑顔を見せなかったような気がする。見せても偽りの笑顔。つまり、作り笑いだった。
それは、理由は分からないが自分には心を許してくれているという気恥ずかしさ、後は．．．僕以外とは関わらないという気持ちが前面に出ているという寂しさを感じられた。
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