ストーカー野郎
「俺の名前は神崎 アツム。南暗高校二年生だ。君の名前は?」
「羽山シュウジ...です。北明高校二年生です。」
「なんだ、同級生だったのか!よかった、ここの地区に来るの初めてだから不安だったんだよ。同じ歳のよしみで案内してくれないか?シュウジ。」
シュ、シュ、シュウジー!?あって2分で呼び捨てだと?
眩しい。眩しすぎる。
やっぱりこいつは...
「苦手だ。」
「えっ!?」
「い、いやー、僕もこの町に来るの初めてで教えるのは難しいっていうかぁー。人に教えるのは苦手っていうかぁー。」
「でもシュウジってこの地区にある北明高校通ってるんじゃ...」
「えっ、あっ、うん。冗談ですよ、冗談...?案内なんてお安い御用ですよ。」
なんの冗談なのか、もう自分でも何を言っているのか分からなくなっているシュウジはとにかく笑顔と勢いで胡麻化していた。
それにしてもアツムという男。もう何年も一緒にいるんだぁ。みたいな軽い感じで話してくるが勘弁してほしい。いや、別にフレンドリーなのはいいと思うよ?大抵の人は、親しみやすくて話しやすいと思うだろうから、こいつのようなタイプは男子女子関係なく、誰とでも仲良くなれるから良いと思う。
ただ僕は、気の合う奴と手順を踏んで絆を深めたいと思うからあまり良い印象を持たないだけなのだ。
要するに、こいつとは気が合わない。
だが、アツムの方はシュウジにお構いないしで話を進めていく。
「じゃあ、さっそくなんだけど...江藤さんの家に案内してほしいんだ。」
「...メイさんの?」
「そう、江藤 メイさんの。」
「ほう...」
「...」
「おまわりさーーーーん!」
さっきは、警察がいなくてホッとしたけど、今は今すぐでもこの場に現れてほしいと思った。
見知らぬ男が、女の子の家を聞いて訪問しようとしている。
こいつ、女子にモテるような顔してるから非モテの男子のように苦労はしていないはずなのに、なんで隣町に来てまでストーカーじみたことをしているのだろうか。
とりあえずヤバいと思った為、大声で叫ぶ。
「キャーッ!この人変なんですぅー。今すぐにでも、この整った顔を崩してやろーと思うくらい羨ましい顔して、彼女ができた回数は両手の指じゃ数えきれない〇〇〇ン野郎なのに、それでも足りないとストーカーじみたことをしようとしていますぅー!リア充破せろ!」
「お、おい。やめてくれ。俺は〇〇〇ン野郎じゃない!〇〇〇ン野郎になるどころか、付き合ったこともない童貞野郎だ!てか、最後の方にシュウジの心の声が漏れてたぞ!今関係ないだろ!?
...俺は...俺は江藤さんに思いを告げに来ただけなんだ!」
「えっ?今なんて?」
大声で叫ぶシュウジにしがみついて、必死に止めに来て弁解をするアツムの言葉の一部にシュウジは敏感に反応した。
「だから、俺は江藤さんに告白しにこの町へ来たんだよ。」