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果歩ちゃん、愛の手紙  作者: 天然ヘイタン
小説
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1

よし、この場を借りて、文を書かせていただきます


文を書くのは苦手だな...よし、まずはこんなかんじ。

僕は中学三年生です。



受験勉強そっちのけで、恋愛しています。

果歩ちゃんが同じクラスになって、どれだけ喜んだことか。


かと言って、喜びを外気に触れさせることはありませんでした。


僕に友達はいない。



周りのみんなに僕が少しでも変なことをしているところを見られたら、恥ずかしいです。


かと言って、髪は長くありません。

逆に目立つことは分かるでしょ?



かと言って、僕の顔に、良い印象はありません。

むしろ短髪は似合っていないと思います。




小学生の頃は髪長かったんです。まあ、めんどくさかった。切りに行くのが。


だから、半年に二、三回、お母さんに家で切ってもらっていました。

切られた後の自分を見るのが好きでした。

新しい自分、ていうか。



かと言って、お母さんは僕をしっかり育ててくれるわけではありませんでした。



中学生になったら、お母さんに

「そろそろ自分で髪切りに行きなさいよ?」

と言われました。




めんどくさかったので、中一の頃は一度も髪を切らないつもりでした。

でも、聞こえてしまったんです。


周りの声は僕を罵っている可能性があるので、聞こえないようにしていました。

でも、聞こえてしまったんです。

どっかの女子でしょうか。


「〇〇ってさ、きも...」


きも、までしか聞こえませんでした。


それでも僕は、しばらく胸が苦しくて、

自分の髪の毛を噛み殺すようにしていました。




中三になってから、僕は完全に空気です。

この状況が実に心地いいです。


好きな本を読みます。


給食もちゃんと食べます。


給食は、とても美味しかったですが、オカワリすると笑われそうなので、我慢していました。


でも、毎日まともな食事を食える機会なので、慎重に、残さず食べていました。




さて、今、僕の隣は果歩ちゃんなんです。

実は、小学生の頃から恋をしています。


いつもジロジロ見ているので、バレているかもしれませんが、諦めません。




隣になってから二十六日経ちました。


まずい、一度も喋っていない。

一ヶ月経ったら席替えです。どうしよう。


あぁ、今日も...

今日も...


今日も...



今日も...




今日も...





今日も...






今日は十一月一日。

やはり席替えをするみたいです。


みんなが喜んでいる。


悲しんでいるのは、僕だけではなさそう。



僕は人間観察が好きです。

だから、何となくわかりました。

あそこの人とか、そこの人が好きな人も、何となく知っています。



あぁ、どうなるだろう...


あみだくじなようで、僕は適当な場所に名前を書きます。


まあ、無意識に一番端を選んでいました。



結果は.....



ーーーーー離れた。


真反対の席でした。

果歩ちゃんの顔は、僕の悪い瞳では、ぼやけてしか見えません。


しかし、仕草、表情、毛穴

全て見えてますよ。




遠くだからって、果歩ちゃんをずっと見ていました。

もう、クソ喰らえ。

バレてもいいです。


感情を表現するのは難しいですが、僕はとにかく落ち込んでいたのです。



.....見ています。


何を話しているんだろう。



すると急に、かほちゃんの前に知らない女子が2人くらい集まりました。

邪魔くさい女ども。お前らも果歩ちゃんを狙ってるのか?

変態のクソビッチが。僕がレイプでもしてやろうか、おい...


見えなくなっても、

隙間からなんとか見ようとします。


奴らはこちらと一瞬目が合いましたが、あっちは何事も無かったかのようにするし、僕も気にしませんでした。


もっと、もっと見ます...


隙間から見ようとします...




“気持ち悪い”



“気持ち悪い”



“気持ち悪い”







ん、なんだこれ。

なんか、え?、聴こえる。


“気持ち悪い”


“気持ち悪い”


声じゃない、何か、聴こえます。

なぜかハッキリと、その僕の心をぐちゃぐちゃに踏み荒らすかのような言葉が、


耳?

脳?

どこに...どこに届いているのかわかりませんが、

.....聴こえました。




何かハッとして、目を閉じて耳を塞ぎました。




すると、聴こえなくなりました。




もしかして、超能力?


そういう本が好きな僕は、そんなことを思い始めました。




次に、ほかの男子を見てみました。



一瞬、目が合いました。


すると



“気持ち悪い”


“気持ち悪い”




うるさいうるさい、うるさい、うるさい...




超能力だとしたらなぜ、「気持ち悪い」としか

言わない?




気持ち悪い...気持ち悪いといったら.....僕なのかな...


そういえば、さっきから目が合ってからこうなります




他の人を見ても、



他の人を見ても、



目が合ってから、




“気持ち悪い”

“気持ち悪い”

“気持ち悪い”

“気持ち悪い”

“気持ち悪い”



どいつもこいつも、あぁ...やっぱり...

僕だけに聴こえる、僕への言葉です。


確信しました。




なんというか、この非日常のおかげか

それほど傷つきはしませんが、


いつ、アドレナリンが消えるかわかりません。



今のうちにやるべき事があります。

僕は果歩ちゃんに近づきました。


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