序章
初投稿です。今回かなり短いですが次回から長くしていきます。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ」
もう、どれぐらい走っただろうか。もう、どれぐらいの時間がたっただろうか。わからない。
とても長く走っている気もするし、まだ数分しか経っていない気もする。
「はぁっ、はぁっ、っっ!」
足がもつれて転びそうになる。けれど、一刻も早くあんな場所から離れたいという思いが、自分の体を突き動かす。
もっと早く、もっと遠く。そんな思いだけが自分の体を動かしていた。
「はぁっ、うわっ!」
けれど、流石に体は限界なようで木の根に足を取られて転んでしまった。もう体を動かそうにも、足が棒のようでピクリとも動かない。
立ち上がることも出来なさそうだ。
「はぁっ、ふぅっ、ふぅー」
なので、少しだけ休むことにした。幸いここは森の中であり、寄りかかれそうな物はそこらじゅうにあった。
近くの木に寄りかかり、体を休める。ふと上を見上げると、木々の隙間からは星のひとつも見えない曇天の夜空が覗いていた。
「・・・・・・どうして」
じっとしていると、頭に浮かんでくるのはつい先程のこと。今までで最悪の出来事であろう、そんな光景。
「どうして、こんな目に・・・・・・」
ポツリと、そんなことを呟く。当然、それに答える者は誰も居なかった。
「なんでだよぉ・・・なんでなんだよぉ・・・」
気づけばぽつり、ぽつりと雨が降り出し、次第に雨脚を強めていき、
木の葉から水が滴り始めた。
けれど、自分の顔を濡らしているのが雨なのか涙なのか、分からなかった。