2.モーターショーについて
※このエッセイは捏造です。
実在の人物・団体・動物・行動・自然現象等には一切関係ありません。
TVでモーターショーのニュースを見るたびに思うのだが、公共交通網の発達した都会で開催しているにも関わらず、一般人にアンケートすることに意味はあるのだろうか。
「興味ありますが買う予定はありません」
「電車しか利用しません」
「買っても維持費がかかるだけで、運転する機会がないですね」
といった意見しか集まらないだろうと想像してしまうのは、地方在住者のひがみではない。ないぞよ。
都会での開催自体については、主要輸出品目に車関係が大きな割合を占めているから、世界に向けてアピールするため必要ではあるのだろう。
一般客がいるかどうかは分からないが。
もっと地方の都市で開催した方が、集客力があるのではないかと思うのだ。
どことは言わないが私の住む町で。
農閑期に小規模に。ぜひとも。
娯楽施設と言えばホームセンターか隣町の大型ショッピングセンターしかない我が町ならば、会場は毎日満員御礼になるに違いない。
但しくれぐれも農閑期に限る。
我が町において黄金週間などは存在しない。
代わりに第一次産業専従期間ならば存在する。期間明けにはこんがり小麦色になっている。
他地域の人に旅行先を聞かれた場合は、日本人らしくあいまいに微笑んで、
「いい汗かいたよ」
とごまかすよう代々言い伝えられている。
今もいい汗をかいている。
目から汗が出ている。汗が止まらない。ちょっと水で流してくるので待ってほしい。
洗顔してさっぱりしたような気がするので話を続ける。
地方都市では公共交通機関があまり充実していない(少し謙虚に表現してみた)。
これは国内における暗黙の事実である。
移動手段は徒歩か自転車という地域もあるのである。
最寄りのバス停は2キロ先である。いい汗がかける。すまない、もういちど洗顔してくる。
例にもれず、我が町も公共交通機関の充実度が低い。
このあたりでは1家に2台以上は常識である。
1台目は軽トラ、2台目以降が普通乗用車。
ヘビーユースされるのは当然ながら軽トラである。
コンパクトなのに荷物がいっぱい乗せられるという優れもの。全開にした窓から流れ込んでくるさわやかな風。荷台で揺れるみずみずしい緑色をした苗。
軽トラ素敵!引っ越しにも使えて超便利!
近所(山ひとつむこう)の自動車販売店に勤める知人によると、その店の年間売上第1位は軽トラである。
ワースト1はオープンカー。ここ数年1台も売れていないらしい。
地元の語り部によると、その昔、都会に出てオープンカーを買ったのはいいが、帰郷するとき峠で猛吹雪に見舞われ、あわや凍死しかけたワカモノがいたらしい。
かつては挑戦者魂あふれるワカモノがいたようだ。
うむ、いつの時代であろうと未開の地に踏み出す勇気は必要だ。
私と私の身内を除いてどこかの誰かが挑戦してくれることを望む。
なお、スポーツカーは全般において売上低迷が続いている。
積雪の多いこの地域においては、車高の低さが致命的欠点であるとのこと。
私としては、誰かが、改造スポーツカーで除雪してくれた道路を運転したいものである。
ここまで書いておいてなんだが、モーターショーから遥か彼方にきてしまっている。申し訳ない。
モーターショーでは、未来の購買層に向けた最新モデルを発表しているわけだが、確かに心惹かれるデザインと機能をしている。
実際に行ったことはない。
ニュースを見た妄想いや感想である。
いちど行ってみたいが、大人の経済的な事情(妻に怒られる)で断念している。
これからはハイブリッドだけでなく、電気や水素を燃料とした車が増えるようなので、エコや燃費の良さが前面に押し出されている。
ふっ、私もそのうち買うつもりでいる。そう、宝くじが当たったら。きっとそのうち買えるはず。
だが車に関して、低燃費などよりも先に、声を大にして言いたいことがある。
近所にガソリンスタンドを造ってほしい。
一番近いスタンドまでの往復で1リットル必要なのだ。
※上記の文章は全て捏造です。