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捏造エッセイ  作者: 里見
1/10

1.鳥について

※このエッセイは捏造です。

 実在の人物・団体・動物・行動・自然現象等には一切関係ありません。


 ある日某所にて、『シマエナガ』なる鳥(以降、エナガさんとする)の存在を知った私は驚愕した。


 かわいい。


 ありえないほど、かわいい。


 捕まえて内ポケットに押し込んで帰宅し、自室内で撫でくりまわし、頬ずりしまくりたいほどの愛らしさだ。

 嘘だと思うのであれば、鳥類図鑑やネットやバードウォッチングで確認してほしい。

 ともかく、エナガさんのおかげで、私は、小鳥は愛らしい生き物だということを思い出すことになった。



 我が家の家族の一員にはセキセイインコがいる。

 いちおう小鳥の部類に含まれるはず。

 雛の頃から家人(私ではない)が大切に育てたので、人間に非常に懐いている。

 どれくらい懐こいかというと、初対面の他人に全く人見知りをせず、何のためらいもなく手に乗ってリラックスするレベル。

 飼い主が、もやっとした気分になるレベルだ。


 そんな我が家のインコであるが、いちおう家人とヨソ様の区別はしている。

 ヨソ様に無礼をはたらくことはない(生ぬるい落し物については、生物学上しかたないことなので見逃してほしい)が、家人に対しては気の置けない態度を貫いている。

 どんな態度かって? それはだね・・・。



 ☆食べ物の好き嫌いが激しい。


 ☆気に入らないことがあると、御近所から虐待を疑われかねない鳴き声をあげる。


 ☆インコ本来の鳴き声って、どんなんだっけと思わせる、不思議な声を出す。


 ☆家人のことは、踏んでも蹴っても噛んでもいい、と思っている。



 といった具合だ。

 そう、インコ飼育本に書いてある『1羽のみを雛から育てると非常に懐きます』という内容が事実であることを、私はここに証言する(涙)


 これからインコを飼ってみたいと思っておられる皆様には是非、飼育本に従った事前の準備と、覚悟、をお願いしたいところである。

 正しく育てれば、正しくかわいく育つはず。

 なお、エサは国内産の有機無農薬栽培のものをお勧めする。

 エンゲル係数を激しく押し上げることになるが、人間の食費を削減すれば体脂肪も削減できるので、一石二鳥でもある。




 つい、インコについて語るのに熱が入ってしまったが、他の鳥についても述べたい。

 私は地方都市に住んでいる。

 360度どこを見ても必ず視界に山が入る、風光明媚な土地である。

 住所に『郡』とか『村』とか『字』が含まれるのではないか、といった追及は許さない。

 そんな緑豊かな土地柄ではあるが……。

 生活圏内においては、スズメ、ヒバリ、ハト、カラス、トンビ、カモ、キジ、シラサギ等はよくいる。

 なのに、他の鳥はあまり見かけない。

 なぜエナガさんがいないのだ。納得がいかない。

 なぜだ。

 な―ぜ―だ――!

 小さいから見付けにくいだけだと信じたい。いや、信じることにしよう。




 話は変わるが、数年前のこと。

 自宅の近所の私鉄沿線の柵が老朽化したため、新たに鉄条網に建て替えられた。

 それが原因かどうかは分からないが、旧時代(建て替え前)の間伐材製の柵を止まり木にしていたスズメとヒバリとハトが、今では自宅の目の前の電線をたまり場にするようになった。


 私の小学生時代には、山裾(自宅から離れている)の電線が、野鳥たちの社交場だった。

 朝晩は木々に鳥が鈴生りになり、そこから落下されるフン害に、付近住民が被害をこうむっていた。

 ううむ、懐かしい思い出だ。

 あの頃は完全にヒトゴトだと思っていたのだが、それが町内でも発生することになろうとは予想もしていなかった。

 かつての学友(山のそばに在住)よ。笑いごとにしてすまなかった。今、心の底から謝りたい。


 早朝から、スズメとヒバリの鳴き声がうるさいことは許そう。

 ポッポーと鳴く、重々しい羽音のハトもまあ許そう。

 それらを狙ってやってくるカラスも、自然の摂理だから仕方ないとギリギリ許そう。

 だが、鳥たちが落下させる落し物は許しがたい。

 我が町における必要不可欠な移動手段である『自家用車』に落下させることは、罪だ。

 特にフロントガラスへの落下は、初犯であっても執行猶予無しの大罪だ。

 朝一番でそれを発見した時のガックリ度ときたら、言葉では表現しがたい。


 なお、近郊の大型ショッピングセンターの、屋内駐車場に生息するハトポッポにも、厳重注意を促したい。

 たまに駐車中の車の上で喧嘩をしている。


 本音を言うと鳥たちを水鉄砲で追い払いたいくらいだが、なんとか条例違反とか以前に、御近所から白い目で見られるやもしれぬので自重している。

 実はいちどだけ、人目が無いことを確かめたうえで、賞味期限の切れたパン粉を投げつけて追い払おうとしたことがある。

 けれど、逆に喜ばせてしまったので、もう二度としない。




 今思い出したのだが、昔々、某県の某神社の近くでハトが群れなしているのを見たとき、ついその中央付近を目指して駆け込んで彼らを追い散らしたことがある。

 あれは圧巻であった。ちなみにその某神社ではハトは神様のお使いっぽい扱いをされている。

 その時のツレには頭の中身を危ぶまれたのであるが、残念ながら正気である。


 だが、釈明することを許してもらいたい。


 昔々の大昔。白亜紀よりは現在に近いころ。

 まだ純真だったかもしれない幼かった私は、家族旅行の途中で、鶏卵を採取する鶏小屋へ行ったことがある。

 そこの経営者は父の友人であり、完全なる御厚意で、生まれて間もないヒヨコを見せていただけることになった。

 そこで見たのは小屋を埋め尽くす黄色いヒヨコの群れ。

 そのときの私は、軽い車酔いで気分が悪かった。

 鶏小屋に入り、密集する黄色い小物体、やかましい鳴き声、特有の臭気を認識した後、私は記憶がプツリと途切れている。

 父母はそのときの事をあいまいにぼかし、決して私に真実を告げてはくれない。


 それ以来、私は生卵、特に、黄身と白身が分離した状態の卵が大嫌いになった。

 温泉卵などはもってのほか。

 でも、中まで完全に火の通った卵焼きは好物だ。

 全世界の卵農家の皆様と、卵料理好きの皆様には全面的に謝罪するので、苦情はご勘弁願いたい。

 当方に生卵を着払い郵送したりするのは止めていただきたい。



 そんなわけで、大量の鳥の群れというものがちょっとトラウマになっているのだ。

 けれど想像してみてほしい。

 もしこのハトを、ローマ字表記では頭文字がGの黒い奴らに置き換えてみたとしたら、どうであろう。

 納得いただけるのではないだろうか。

 但しその場合は、私も含めてもれなく皆様が、全力撤退するに違いないと確信している。

 うむ。撤退は恥ではない。

 殺虫剤を武器に特攻するのはお勧めしない。

 



 かなり話が鳥からそれてしまったので、元に戻そう。

 まだ、トンビ、キジ、カモ、シラサギについて書いていなかった。

 カモについては、毎年カルガモの親子のニュースが流れるので省く。

 トンビも皆さんお馴染みであろう。

 キジは山に行けば居るし、シラサギは田園地帯ではよく見かけるので省くとするか。

 おや。もう書くことが無くなってしまったな。


 うん、何だって? どの鳥も良く知らないって?

 ハハハハハ、御冗談を。

 めったに見かけないと主張する、大都市に住む皆様の意見は聞こえない。聞こえないったら聞こえない。

 私の勤務先付近の空き地でよくキジを見かけるのだが、田舎ではないと思い込むことにする。


 田舎者の僻みではない。僻みではないのだ絶対に。

 倒置法を使ってみた。




 ここまで長々と述べてきたが、最後にこれだけは言っておきたい。


 鳥だけでなく野生動物は勝手に飼ったり狩ったりしてはいけない。

 なんちゃら条例違反になるのでくれぐれも注意が必要である。

 もし怪我した野生動物を保護した場合は動物病院へ急行し、速やかに自治体へ連絡していただきたい。

 小型動物の場合は、そのまま連絡者の自宅にて保護して治癒後に自然にかえすよう指示されるかもしれないのだが、その場合はあきらめて、威嚇にくじけず、看護に努めていただきたい。



参考資料:シマエナガさん

挿絵(By みてみん)

※上記の文章は全て捏造です。


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