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食事と会話・時々暴走

食事は和気あいあいとしたものだった。

それほど緊張感も持たず、他愛もない彼氏の家族の食卓に招待された、という表現がピッタリ当てはまるほどに和やかなものだった。

蘇芳は真織をよほど気に入ったらしく、次から次へと豪華な食事を勧めてくれ、家族の話を延々と聞かされた。

実際、それほど嫌なものではなかった。

緒凛が言った通り、真織が自分の家の実態を話しても、家柄や地位などにこだわることはない。

むしろ、自分たちと真逆の貧乏生活に興味があるらしく、真織の生活を根堀葉堀聞いてきた。


「まぁ、お家にテレビがないの?」

「はい。特に必要ありませんし、私は新聞配達のバイトをしているので、世の中の情報はほとんどそこから。学校へ行けばインターネットもできますし」

「じゃあ、でも芸能人とかには疎いんじゃない?」

「特に興味ありませんから」

「まっ! なんて健気な……」


よよよっ、と泣きながら、食事中にも関わらず真織を抱きしめてくる蘇芳に、真織はなんとも抵抗できないで困っていれば、緒凛が蘇芳を引き剥がしながら言った。


「母さん、真織が困っています」

「だってぇ……あ、そうだ真織ちゃん」

「はい、何でしょう?」

「お食事が終わった後、私に少し時間をくれないかしら?」

「えっと……」


突然の申し出に、真織が戸惑いながら隣に座る緒凛を見れば、緒凛は困ったように眉の両端を下げて小さな声で真織に告げた。


「母さんね、女の子が欲しかったんだよ。五人目までがんばったけど、結局全員男生まれただろ? だから真織の存在が嬉しいんだ。真織さえよければ母さんの我侭に付き合ってやってよ」


なるほど、と真織は小さく頷き、ひたすら返答を待ち続ける蘇芳を改めて見ると、静かに言った。


「私でよければ」

「ありがとう。じゃあ、早速デザートに移りましょうか」

「あ、でもまだこっちのお皿食べ終わってないので……」

「残しちゃいなさいよ」


そう言って真織の後ろに立つ、使用人に合図を送る。

使用人もそれに答えて無言のまま、静かに真織のお皿を下げようと手をかけた時だった。


ザグッ! ――鋭利な音を立てて、フォークが机にぶっ刺さった。

自分の指と指の間に刺さったフォークに使用人は硬直し、使用人に命令を出した蘇芳までもが――いや、そこにいた誰もが硬直した。


「食べ物は残してはいけませんという日本流儀を誰にも教わらなかったのですか? 食事、すなわち太陽の恵み。一瞬でポンと生み出されるものじゃないのですよ」

「で、でもね真織ちゃん……」

「蘇芳さん」

「はひっ」

「お食事はゆっくりと、作ってくださった方に感謝しながら食べるものですよ?」


にっこりと最高の効果音を付けながら真織が微笑めば、蘇芳はただコクコクと頷いて、自分の目の前にある食事に再びフォークとナイフを走らせる。

それを見ていた他の家族も、硬直気味に自分たちの食事を再開し、ぎこちない笑顔を見せていた。

真織もハッと我に返り、またやってしまったと顔を赤くすれば、隣にいる緒凛はクツクツとかみ締めるように笑っていたが。

そのとき、シェフの人達だけは真織の言葉にえらく感動し、自分のエプロンの裾で涙を拭いていたとかいないとか。


 ◇◆◇


食後のデザートもようやく食べ終わり、真織は早々に蘇芳に借り出された。

それをのんびりと見送りながら緒凛が食後の紅茶をすすっていると、興味深々に他の兄弟が緒凛の周りに集まりだした。


「……あのコすごいね。黒澤家の人間に啖呵切るコ初めて見た」


お腹が一杯になり、眠たくなった目をこすりながら夢兎がそうつぶやけば、隣にいた十五が静かにコーヒーに口付けながら言う。


「フォークがテーブルに突き刺さるなんて初めて見ましたよ」


十五の言葉に、激しく同意したのは蝶だ。


「ふんっ。あんな暴力女、やっぱり凛兄には合わないって」

「チョウ……またそんなこと言って」


呆れる茅がため息混じりにそう言うと、まったくだと上の兄弟が皆賛同した。

家族そろっての食事はいつ振りだろう。

五人兄弟という大人数だけあって、なかなか全員そろう機会がない。

久々の一家団欒に、緒凛は何も言わず目を細めて会話を見つめていれば、茅は思い出したように緒凛に振り返り尋ねた。


「そういえば、いつから付き合ってるの? 全然知らなかったんだけど」


茅がそう聞けば、緒凛は紅茶の入ったカップを受け皿の上に置きながら素直に答えた。


「昨日」

『昨日!?』

「うぉっ! て、父さん!?」


声をそろえた中に突然父の姿を見つけ、茅は驚き飛びのいた。

そんなことを気にも留めず、絃は心配そうに緒凛に尋ねた。


「昨日の今日で僕達家族に紹介したの? さすがにそれは……彼女、よく嫌がらなかったね?」

「結婚の意志はあります」

「でも……彼女、納得してないでしょう?」


目を細めて尋ね返してきた絃の言葉に、緒凛は言葉を飲み込んでふっと余裕のない笑みを浮かべる。


「流石……まあでも必ず四ヶ月以内には落とすつもりだよ」

「四ヶ月ってまた具体的な数字だね。大体真織ちゃんの親御さんだって……」


そう言って絃は言葉を詰まらせ、眉をひそめた。


「ちょっと待って……真織ちゃんの苗字って確か……」

「二宮ですよ、お父さん」


即答した緒凛の言葉に、絃はひどく驚いた表情を見せて緒凛に問いただした。


「緒凛っ――お前、先輩の娘さんにっ!」

「ようやく気づきましたか。父さんにしては少し遅かったですね」


にっこりと笑みを浮かべた緒凛に、絃はぐっと顔をこわばらせて睨む。

一方、兄弟達はと言えば、話の意図がつかめず互いに顔を見合わせていたが、一瞬遅れで十五が何かに気づいたように声を上げた。


「二宮……二宮ってもしかして、父さんの先輩の……?」

「察しがいいな十五。教師なんか辞めて俺の補佐になれよ」

「ごまかさないでください兄さん」


緊張感のない言葉を吐く緒凛に、十五がぴしゃりと言う。

その会話を聞いて、他の兄弟たちも勘付いたらしく、ざわめきたった。


「でも二宮、すっごい貧乏人だって……」

「真織の両親の意思で、事実を伝えていないらしい。だから真織は何も知らないんだ」

「それじゃあ、あの女……正真正銘の……」

「まぁ、そういうことだ」


余裕のある緒凛の言葉に、絃は深くため息をついた。

自分の息子ながらやってくれたと、そう言わんばかりの気持ちが込められている。


「緒凛、くれぐれも真織ちゃんを泣かせるような真似をしないでね……それでこそ黒澤財閥は終わりだ」

「当然ですよ。泣かせるのはベッドの上だけにします」

「口の減らない息子だ」

「あなたの息子ですよ」


ニコニコと微笑み合いながらそう語る緒凛と絃の姿を見て、他の兄弟たちは深くため息をついた。


「父さんの血を一番濃く受け継いでるのは間違いなく凛兄だよな……」


 ◇◆◇


一方、真織はと言えば――。


「蘇芳さん……」

「はぁい、なぁに?」

「こ、これはちょっと……」

「えぇっ!? 気に入らなかった? やっぱり私のお古じゃ嫌かしら?」

「そういう意味ではなくて……」


真織は蘇芳につれられ、屋敷内にある洋服部屋へと借り出されていた。

どうやら蘇芳は自分のお古を真織に譲りたいらしく、次から次へと着替えさせては手を叩いて喜んでいる。

それは真織でさえ知っているブランドの名ばかりつく洋服ばかりで、シンプルなものから派手なものまでさまざまだ。

洋服部屋に並んでいる服を見て、真織は一瞬洋服店に来た気分になった。

まともな洋服店すら入ったことのない真織にとっては未知の世界だ。

いつもはスーパーの横にある安売りのワゴン内にある服ぐらいしか買ったことがない。

むしろ、日常のほとんどを制服で過ごしていた真織には、蘇芳の気遣いが申し訳ないほどだ。

真織が貧乏人であるからというわけでは決してない。

ただ純粋に自分と過ごす時間を楽しんでくれているのだとはわかっているのだが、それでも真織には億劫でならなかった。

意気揚々と服を選ぶ蘇芳を横目に、真織は気づかれないようため息をついた。

昨日までは普通に貧乏生活を送ってきた真織にとって、息苦しい場所でしかない。

それでも蘇芳の機嫌を損ねまいと必死になっていたが、いささか疲れが隠せなくなってきていた。


「真織ちゃん、これもどうかしら――あら、ごめんなさい、疲れちゃったかしら?」

「あ、いえ」


新しい服を手にとって振り返った蘇芳が、真織の異変に気づき声をかけるも、真織はどうも素直に答えることができず、反射的にそう答えた。

けれど、蘇芳にそれは通じなかったらしく、近くにあった丸い椅子を持ち出し、ひとつを真織に差し出して、もうひとつは真織に向かい合うような位置に置き、自分が座った。

真織も申し訳ないと思いながらも、素直にそれに座って蘇芳を見つめる。

蘇芳はただもの悲しげに微笑んで、小さく首をかしげた。


「ごめんなさいね。私、少しはしゃぎ過ぎていたわ。よく考えたら迷惑だったわね」

「いえ、とんでもありません! とてもよくして下さって……本当、私にはもったいないくらいで」


即座に否定すれば、蘇芳はふふっと笑って「ありがとう」と真織に告げた。

ああ、やはりこの人は綺麗だ。

容姿もさることながら、心が綺麗だと真織は思った。

お金持ちは皆、それを鼻にかけて嫌味な人ばかりだと思っていた。

実際、身近に一般市民より少し小金持ちのお嬢様がいるが、その子は貧乏な真織を馬鹿にしては鼻で笑っているような子だった。

けれどこの人は違う。

着飾っていても、心を腐らせることはない。

こういう上流階級の人も居るのかと思うだけで、真織は心が穏やかになる。


「緒凛に聞いたかも知れないけれどね、私、女の子が欲しかったの。それでこそ今真織ちゃんにしていたみたいに、自分のお古を着せたり、一緒に買い物に行ったり、女同士でしか語れないようなお話をカフェでしたり……」


そう自分の夢を語りだした蘇芳の表情はとても穏やかでやさしいものだった。


「結果的に全員男の子だったけれど、孫にチャンスがあればいいなぁと思っていて。だからね、知人の娘さんとの縁談話を勝手に進めていた時、流石に緒凛も怒っちゃって。私も絃さんも、子供たちには自由にさせてやろうと決めていたのに、結局押し付けてたのよ」

「そんなこと……」


どう声を出せば理解してもらえるだろうか、と真織が口を開いたが、蘇芳はそれすら否定するかのようにゆるゆると弱弱しく首を横にふった。


「恥ずかしいわ、母親なのに、あの子のことちゃんと見れていなかった自分が居て。緒凛は長男だけれど、別に強引に黒澤財閥を継げと言っていたわけではないの。けれど、あの子は人一倍責任感が強くて、弟達の手本になろうとしていたのね。あまり欲を言わなくなってしまっていて」


そう聞いて真織の胸がなぜかズキンッと痛んだ。


「モノを与えることでしか愛情表現ができなかったから、本当――あの子には手を焼いたわ。けれど今日、真織ちゃんを連れて来たあの子を見て思ったのよ」

「……どう……?」

「とても大切な人を見つけたんだって」


そう言って嬉しそうに微笑む蘇芳の表情を、真織は直視できなかった。

真織は先ほど自分がなぜ胸を痛めたのかが理解できた。

自分は嘘をついている。

実際、真織は緒凛と付き合ってはおらず、ただ雇い主と雇われ側としてこの場に居る。

緒凛が今後どうするかはよくわからないけれど、自分は緒凛と結ばれるつもりはないし、誰が言わずともやはり世間体と言うものは気になるものだ。

それなのにこの人はそれを信じて疑わない。

それどころか大切な話を真織に聞かせてくれている。

綺麗な、心の綺麗なこの人を騙しているという真実が、真織の心を痛めたのだ。

真織は何とも言えなくなって、自分の手元に視線を落としながら、新しい話題を考えていた。


「そう、思っていたのだけれど、真織ちゃんのお名前。とても素敵ね。どなたが付けてくださったの?」


まるで真織の意図を察するように話題を変えてくれた蘇芳を、顔を上げて見ると、穏やかな表情のまま真織に語りかけてくれていた。


「あの……母です。まだ貧乏ではなかった頃、母はいつも着物を着ていて。(まこと)の織物はとても繊細で美しいって……私にはそういう女性になって欲しいって……そういつも言っていました」

「そう、素敵なお母様ね」

「今は居ないんですけどね」

「……あ、ごめんなさい」

「いえ、亡くなったわけではなくて、父の借金を苦に出て行ってしまって。今は本当、顔も思い出すことができない……。母の思い通りの女性にはなれなかったけれど、生んでくれた母には感謝しています」


そう言ってとびっきりの笑顔を見せても、蘇芳の表情は曇ったままで、悲しげに真織を見つめている。

真織はその視線に戸惑いながらも、視線を泳がせて新しい話題を探した。


「そ、そうだっ。私もお聞きしたかったんですが、緒凛……さん、の、お名前はどういう意図があってお付けになられたのですか?」

「緒凛?」


突然の質問に、蘇芳はキョトンとした表情を見せて、それからいたずらっぽく笑うと静かに真織に言った。


「絃君がオリンピック好きだから」

「……へ?」


言われてみればオリンピックから付けたといわれても納得がいくが。


「まあ知ってるかもしれないけれど、緒凛は閏年生まれだからっていうのもあるんだけれど。オリンピックに出る選手って、皆目標を持っていてキラキラしているじゃない? あんな輝かしい人になってほしいって意味もあるのよ」


そこまで聞いて、真織はようやく素直に納得ができた。

そう考えれば緒凛とは素敵な名前だな、と素直にそう思える。


「緒凛のこと、これからもよろしくね」


にこやかに微笑む蘇芳の言葉に、真織は素直に頷くことで答えた。


 ◇◆◇


バタバタと夜の学校に足音が響く。

どうしようもないほど慌しいその足音は、ひとつの扉の前で止まった。


「佐倉!」

「……あ、直弥さん。どうしたの?」


勢いよくドアを開けて入ってきた途端に叫びだした小汚い男に、中に居たスーツ姿の女性はキョトンとしながら答える。


「どうしたじゃないっ! お前、真織の情報を黒澤緒凛に売ったろ?!」

「教えただけだけど?」

「教えただけって! ……お前、それでも校長か。個人情報保護法って知ってるか?」

「聴き慣れない言葉だな。僕の辞書にはないようだ」

「そんな不備のある辞書捨ててしまえ」

「まま、落ち着け。座って座って」

「……ソファに寝転んであやとりしながら客人に言う台詞ではないな」


小汚い男がそう悪態吐くと、女はケラケラと笑った。

黒澤家の食事と時同じくして、場所は真織と茅の通う神市高等学校へと変わる。

ここの校長である佐倉は一風変わった教師だった。

サングラスに、昔流行ったフワフワとした羽のついた扇を持ち、それにスーツを着るという奇人的な服装を好み、けれどそこからは考えられないほどの指導力で、生徒から絶大の支持を集めている。

この人こそ理解できないと思った人は一人、二人だけにはとどまらないはずだ。

今まさにこの場に駆け込んだ直弥でさえ、この女の考えていることがわからない。

直弥は落ち着くように反対側のソファに座り、寝転んだままで居る佐倉を睨めば、横から静かに湯気の立つお茶を差し出され、ビクリと体を振るわせた。


「粗茶ですが」

「ああ……ありがとう」


いつの間にか横に立ち、お茶を差し出した男は無表情で無愛想な少年のような男だった。

佐倉は器用に一人あやとりを楽しみながら二人の方を見ようともせずに紹介する。


「柚に会うのは初めてですよね。直弥さん、これは僕の私用の秘書である柚里(ゆずり)君。柚里、こちらはデザイン科二年二宮真織の父親だ」

「よろしく」


柚里は佐倉の紹介に、即座に直弥に会釈するとすぐにきびすを返して別の部屋へと消えていく。

それを見送ったあと、直弥は伺うように佐倉に言った。


「で、黒澤緒凛に真織のことを言った真相を聞かせてもらおうか?」

「真相だなんて大げさな。ただ知りたいというから教えただけだ」

「誰が六千万も借金があるって?」

「直弥さんが真織ちゃんに吐き続けている嘘をそのまま教えただけだろ? 何をそんなツンケンと……」

「やられたよ……黒澤緒凛に真織を連れて行かれた。借金肩代わりする担保として真織を差し出せと半ば強制的にな」

「身から出た錆だね。僕が悪いわけじゃないじゃないか。文句言われる筋合いはない」

「真織は何も事情を知らないんだ! それなのにあんな男と関わって真実を知ったらっ――」

「知ったら知った時だ。今あせっても仕方ない。それに……」


そういいながら佐倉は身を起こし、手に絡まった毛糸を面倒くさそうに放り出しながら静かに直弥に尋ねた。


「面白そうなことになっているじゃないか。黒澤緒凛がそこまでして真織ちゃんを手に入れたかったんだろう。直弥さんもそれに従ったってことは何か取引をしたんだろう。違うか?」


ニヤニヤと笑みを漏らす佐倉に、直弥はグッと息を詰まらせ、次の瞬間には盛大なため息を吐いて苦笑した。


「アンタには隠し事できねぇな」

「当然だろ。僕に隠し事をすることに無理があるんだよ」

「ったく……。先々週、親父が急に倒れた。脳卒中で半身マヒになっちまってよ。実家の方がパニックになってるからそれを落ち着かせにいかなきゃならなくなった」

「親父さん、大丈夫かい?」

「あんなナリして、ロレツの回らない口調でたいしたことねぇってほざいてんだから大丈夫だろ。ただ復帰は無理だ。俺が家を継ぐことになる」

「……家を継ぐの、あれほど嫌がってたのに」


佐倉がボソリと零せば、直弥はまったくだといわんばかりに天井を仰ぐように見上げていった。


「確かに、嫌だ嫌だと思っていたが。あんなにおっかなかった親父が病院のベッドの上で小さくなってんの見たら、誰だって決意するさ」

「だから黒澤緒凛からの話を受けたのか……家を継ぐのにお金が必要なんだね」

「あとは親父の入院費とな」

「なるほどね」


仕方なさそうに、けれど決意のこもった直弥の言葉に、佐倉は納得したように笑った。


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