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satori~さとり~

作者: 白狐

電車の中

若い女性の話声が聞こえてくる。

「同じクラスのみずきちゃん、話をしても全然私

の方見てくれないんだよね。私って嫌われてるのかなあ」

「あ~。私と話てもそうだよ・・・てことは私も嫌われてる?」

どうやら友達についての話らしい。

次の駅のアナウンスがはいり終わった後少年は女性達に向かい独り言のように話始めた

「相手の顔を見ないのは気が弱いから。目を見ると自分がどういう人か知られてしまう、評価されるのが怖いから、だから嫌われてる訳じゃない。だから時間がたてば心をひらくさ」

女性達は驚いたようすで少年を見ている。

少年は立ち上がるとちょうど電車の扉が開き平然と立ち去っていった。




「今日からこのクラスになった転校生だ。」

先生の紹介に少年は口を開く

「北海道・・・北山さとり・・・よろしく」

さとりの自己紹介は短く小さめの声でクラスの注目を集めた。最初はだれもが馴染まなさそうだと思っていたがそんな考えが消えるのも時間の問題だった

「あっ、やべ・・・しまったなあ」

困った顔をした男性がいればすぐにさとりは話かけ

「これ・・教科書・・俺は最初だし忘れたって言うから」

「えっああ、ありがとう」

しばらくすると今度は別の男子の会話が

「なあ、この間貸したマンガもう読み終わっただろ?」

「あ、ああ、あれな、面白いから読みなおしてるんだよ」

マンガを借りた男子は右斜め上に目線をやりながら答えている

「右斜め上を見るのは嘘を付いてる証拠・・・正直にはなしたら?」

さとりは急に話に入り言った。観念したのか嘘をついた男子は左斜め上を見てはなし始めた

「実はな、あの本面白かったもんだから別の友達に貸したんだ・・・ごめん」

もう一人の男子はさとりに目をやった

「左斜め上に目線をやるのは過去を思い出そうとしてる証拠・・・だからホントのこと言ってると思う・・」

こんな感じで昼休みになるとまわりの話題はさとりの話でもちきりだ

さとりは心が読めるなんて騒ぎだす人まで出てきた

さとりに興味を持つ人もたくさんだ

とうの本人は全く気にしてないが

むしろいつもの事だった

そんな彼に話しかける一人の女子

「あ、あの!・・・さとり君って言うんだよね?・・わ・・私・・秋野ちずる・・・と・友達に」

ちずるはちらちらとさとりを見て話すがにしても目をそらしてる時間が長すぎる。ぱちぱちと瞬きも多い

「まばたき・・・気が弱い人ほど多い・・あと相手の目を見ないのは自分を評価されるのが怖いから目が合わせられない、ちらちらと見るのは興味がある証拠・・」

さとりはキッパリとちずるに言った

ちずるは涙目だ

「はい・・私・・気が弱いから友達できなくって・・転校生ならって思って・・・話かけるんじゃなかった・・・やっぱり私・・」

泣きながら立ち去ろうとするちずる

「スッキリしたか?全部自分の気持ち話したらスッキリするだろ?それにもう隠す事もないだろ?」

「えっ?」

うるうるとした目で見つめるちずる

「友達・・俺とお前はもう友達だ」

「うん!・・・」

「目、見て話せるんじゃねえか」

ちずるは自分でも不思議だった。今まで目をあわせて話した事なんてなかったのに今確かにあいての目をみているのだから




転校二日目

ちずるは朝からさとりの側に入りびたりだ

なんといっても中学生活で初めての友達だ

「さとり君ってスゴいよね!なんたって仕草で心がわかっちゃうんだから」

この言葉がさとりにとって一番言われたくないことだった

「そんなことない・・・心がわかるってのは・・・・そろそろか・・」

とてもさみしそうな顔にちずるには見えた

「何がそろそろなの?」

その言葉の意味を理解するのはすぐ先の事だった




転校三日目

教室さとりの机

「え、なにこれ」

ちずるが見たもの

さとりの机に落書き

引き裂かれた教科書、落書きにはきもい、うざい、心読めるもんならよんでみろなど酷いものだった

「酷い・・・」

そんな中なにも知らず登校してくるさとり

「おは」

「あ、さとり君・・・」

ちずるは友達としてさとりになんて声をかけていいかわからなかった

悔しかった、自分は友達としてなにもしてあげられない事が。そんな自分に返ってきたさとりの意外な言葉

「ありがとな」

自分がいじめの標的になっている

それを理解してなお笑って私に声をかけてくれる。辛いはずなのに

「拳を握りしめるのは怒ってるときや悔しさを押し殺す時。」

こんなときまでさとりは自分の心をよんで理解しようとしている

「こうなるのはわかってた、だから最初から覚悟してた」

そう

人の心や気持ちを読みとれる事が人にとってどんなに気味のわるいことか最初からさとりにはわかっていた

「さとり君・・・どうしていじめられるのがわかってて心よむの止めなかったの?どうして」

`心を読めるのを隠せば虐められることはなかった

自ら虐められるのを望んだっていうの?さとり君`

さとりは何も答えない

授業のチャイムがなってしまった

ちずるは席に戻る

クラスの一部からいい気味だと言わんばかりの視線がさとりに送られているのがわかる

一時間目の授業は国語

意見発表の日だった

テーマは友達と感謝

みんなの前にでて話さなくてはいけない

最初の発表者はさとりだった

「俺はここに来てまだ三日だが一人友達が出来た。今日はそいつについて話そうと思う」

ちずるは驚いた

今自分について話すと言ったのだ

「俺は知っての通り人の心を仕草から読みとる事ができる

。昔っからそのせいで虐められるのなんて日常茶飯事だ」

ちずるはこのときさとりが昨日言ったそろそろかって言葉の意味を理解した

「さっき友達になんで虐められるのがわかってて心が読めるのを隠さなかったんだって聞かれた。今その返事を返そうと思う。俺は自分を偽って手に入れる友達なんかはっきり言っていらない。本当の友達ってのは相手のいいところも悪いとこも見せあって相手の嫌な所を知ってもなお側にいてくれる。それが友達ってもんだと思ってるからだ。俺はそいつのいいところも悪いところも知ってるしあいつは人のために泣けるいいやつだ、だから俺もお前に本当の自分を知ってほしい。いいとこも悪いとこもみてほしいとおもっている・・・以上だ」

ちずるは涙が止まらなかった

本当の友達ってのがこんなにも暖かいものだなんて知らなかった

まわりを見るとさとりの話を聞い感動して泣いている人がちらほらと見えた

こうしてさとりの発表はまるでなかったかのように進んでいった

ちずるは6番目

すぐに出番が来た

「わたしは最近出来た友達について話そうと思います」

ちずるの発表は明らかにさとりについての話でさとりが名前を伏せた意味がなくなっていた

「心を読めるなんて関係ない。私は彼のおかげでホントの意味での友達を知りました、彼のおかげで自分に自信のなかった自分でも相手の目をみて話したり出来るようになったしまだまだ緊張もするし他の人とは話せない事も多いけど今はまず今いる友達を大切にしたいしもっともっと私の事見てほしいです。もう自分を知られる事を私はおそれません」

ちずるの発表はクラスのみんなから驚かれるほどはっきりとそしてどうどうとしていた

なんてったってあの引っ込み思案のちずるがどうどうとしているのだ

それほどちずるにとってさとりの教えてくれたこと友達の存在は大きくたったの数日だがちずるを大きく成長させたのだ

「けっ!さとりの友達ってお前かよ」

言ったのはクラスの男子でガキ大将みたいなもんだ

ちずるは黙って席につく

少し涙目で言い返せないのが悔しそうだった

一部で笑い声が聞こえてくる

次はガキ大将の番

さとりは黙って席から立ち上がるとガキ大将の元に行き耳元で何かをつぶやいて戻っていく

ガキ大将の様子が明らかにおかしくなった

まるで怯えているようだ

いったい何に

それからさとりは数人の男子の元にいき耳元で何かをつぶやいていく

つぶやかれた人たちは皆発表を辞退した

もちろん皆先生にこっぴどく怒られた

授業終わりのチャイムがなる

「あの、さっき男子たちに何言ったの?」

ちずるはすぐにさとりに聞いた

「ああ、お前みたいなやつが友達語るならお前の秘密を言いふらすって言ったんだ」

「そんなんでああなるものかなあ」

「なるんだよ、あいつらはみんな俺達を笑ったやつらだ、みんな心が読めると信じてるんだよ」

「そっか、さとり君ならではだね」



転校一ヶ月

こんにちは

ちずるです

あの日いらいさとり君いじめはなくなりクラスの雰囲気もよくなりました

それからね

私友達がたくさんとまではいかないけど増えて一緒にお弁当食べたり毎日が楽しいです。私とさとり君?

もちろん今も友達、今では休みの日に遊んだりもしてるよ

さとり君は私にとっての最高の友達です!

                     END


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