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虚勢頼りの最強青年  作者: 月宮零次
1章 世界の謎
9/12

1‐9 魔物

 街の外に出没するという魔物、それに俺の力が通用するかどうか。

 1度だけ全体強化を使った俺は、常人とは比較にならないほどの力を持っている。

 それで通用しないなら、もう1回使わなければならないだろう。


「(試験の最中に強化は、あまり使いたかないからな)」


 強化中はどうしても隙が出来る。

 試験が決闘方式だとすれば、一瞬の隙が命取りとなってしまうだろう。

 あらかじめ必要な分の強化はしておいて損はないだろう。


 街から適度に離れてみる。距離にして、2、3km離れた時のことだった。


「(複数の気配あり、人間の気配じゃねーな)」


 ここは平地だ。

 隠れる場所などないし、絶好の戦闘地帯だ。

 それでも、やはり警戒はされるだろう、更に街から離れてみる。その間に、魔物の数とやらを推測計算する。


「(3、4匹ってところか)」


 異常に強化された聴覚で呼吸音の数を探った。

 後ろを振り向き、街を見る。

 既にぼやけかけている、強化した視覚でぼやけているならば、相当だろう。

 立ち止まり、襲撃を待つ。



 ──来た!


“グゲァァァァァァァ!”


 複数の魔物の声が重なって聞こえた。

 後ろからの襲撃、遅い。


 最低限の動きで避け、背後を振り向いた。


「(陸型が3匹、鳥型が1匹か)」


 地に足をつけたカエルの変種のような魔物が3匹に、カラスの変種が1匹。

 魔物らしい、残虐な格好立ちをしている。

 機を待つように待ち構える魔物4匹、どうやら、それなりに頭は働くらしい。


「安心しろよ、ガチンコ勝負、下手な小細工は使わねーよ」


 言葉が通じているかは分からない、が。

 その言葉を聞いた瞬間に、魔物4匹は奇声を発しながら襲いかかって来た。


“ゴゲェェェェェェェェ!”

「おおおおおオオオオオオオオオ!!」


 魔物1匹1匹の動作が遅い、敵が大きい口を開ける前に、ボディに一撃叩き込む。


“ゴェア!?”


 奇声を発して倒れた魔物に眼を向ける余地はない。


「まだまだ、物足りねーな!」


 続いて、一瞬驚いたように足を浮かせた、もう1匹の陸型魔物に肘で一発、叩き込む。


“ゴォグァ!?”

「残り、2匹!」


 強化した足が異常な速度で、もう1匹の魔物に近付いた。

 陸型の魔物は俺の姿を見失ったのか、各方向を確認している。


「後ろだよ、バーカ」


 声をかけると反射的に大口を開けてきた。

 開いた口の中にある、ぬるぬるとした舌を掴む。


“オゴッ!?”


 驚異的な握力で、その舌を握りつぶした。

 血は飛び散らない、代わりに黒っぽい魔物の液体が飛び散った。


 残り1匹、鳥型の魔物。


“クェァァァァァ!”


 危険を察知したのか、大空に飛び上がる。

 なるほど、空に逃げるっていう手があったな。


「だが、浅い知恵だな」


 俺の強化した足腰は常人のそれと比較にはならない。

 

 力を入れ、──跳ぶ!


「オラぁぁぁぁぁぁぁ!!」

“ク、クェ!?”

「相手が、悪、かったなぁぁぁぁぁぁ!!」


 驚き空中で動きを停止した魔物の頭部に、最後の一撃を叩き込んだ。

 墜落する前に黒い血しぶきを上げて消滅した魔物、俺はそれを確認した。

 地に着地し、拳を握りしめた。


「(よし、上出来だ)」


 まだまだ俺自身、この力に使い慣れてないせいか、動きに無駄がある。

 それと、偶然、この魔物たちが弱かったという可能性も否定はできない。

 ふと、魔物が消滅した場所に何かあるのを発見した。


「何だ、こりゃ?」


 魔物の死骸、というよりは素材といった方が良いのだろうか。

 鳥型の魔物が消滅した地点から落ちて来た素材も含めて、4つある。

 こういうのはゲームならば交渉などに使えたりもするはずだろう、全て拾う。

 ポケットに入れた素材が、妙にぬるぬるして気持ち悪い。


「後何回か、戦ってから帰るか」


 首を左右に動かし、こきこきと音を鳴らす。



 ──その後、何匹かの魔物と戦ったか忘れたが、苦戦はしなかった。

 素材を全てポケットに入れ、街に向かう。


「(さて、留美奈のところに帰るか)」


 それなりの戦利品をポケットに入れながら、俺は歩き始めた──。


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