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虚勢頼りの最強青年  作者: 月宮零次
1章 世界の謎
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1‐1 プロローグ

勢いで書いてしまった…。


初めての異世界物ですが、頑張ってみたいと思います。

どうか、よろしくお願いします。

 唐突ですが、手前は現在、とても優しそうな方々に金をせびられています。

 学校帰りの昼頃、彼等はこう言って来たのです。


「持ってるだけ、金出せよ」


 手の平をこちらに差し出す優しい方々、手前は遠慮するように後退する。

 ところが、執拗に壁際まで追い詰めて来る方々に、新垣(あらがき)月夜(げつや)は、こう返す。


「お前等に渡す金はない」


 ドスを利かせて威圧する。

 優しそうなお兄さん方が、顔を見合わせる。やばい奴を引っ掛けちまったかという声。

 彼等は示し合わせると、一目散に逃げて行った。


「(さっき財布落としたから…渡す金とか本当にないし…)」


 空のポケットに目を通し、自分の金銭を確認する。

 現在の所持金は0円だ、下手なRPGの主人公でもこうはなるまい。


 先ほども、調子に乗っているからという理由で活を入れて下さるという優しいお兄様に、


“怪我しても知らないぜ…?”


 そう返すと、一目散に逃げられた。

 ああ、無論、怪我するのは手前のことですが。


 とまぁ、俺(敬語はもう終わり)の日常を語ると、これが通常になる。

 特徴のない普遍的な高校生なので、容姿は適当に村人A辺りを引き合いに出すといい。


 こういう暮らし方が原因なのか、俺はある日の朝、変な爺に出会った。

 時間はまだ午前3時頃、皆が寝静まっている頃に、俺は起こされたのだ。

 そこは俺が寝ていた布団の上ではない、典型的な異世界っぽい真っ白な空間だ。


『ちょ、お前マジで気に入った』


 そして、人を指差して来る爺。

 こいつは親に、人に向かって指を差すなと教わらなかったのか、親の顔が見てみたい。いや、きっともう没しているから、見るとしたら仏様の顔になるのか、残念だ。


 よし、興味本位に殴ってみよう。


「せいやっ!」

『あ痛っ!?』


 俺の正拳突きまがいの一撃をみぞおち付近に食らった爺が項垂れる。


「ちゃらららーん。俺は経験知1、それと爺の毛根を手に入れた!」


 爺の白髪を2、3本、根元から引きちぎる。


『うぎゃあああああ!?』

「爺、もう起こすなよ。次に起こしたら皮膚を剥ぎ取るからな」


 そして、俺は真っ白な世界で横になる、布団がないから寝づらいが問題ない。人間、寝ようと思ったら何処ででも寝られるはずだ。


『ちょ、ちょっと待て! 起きろ、小僧!』

「…うっせーな、殺すぞ爺」

『ま、まぁ聞け! お前にとって良い話だ! 聞いて損はないぞ!』


 必死に懇願して来る爺を相手に、俺は自然に舌打ちする。

 仕方ないから起き上がった。


「つまらない話だったら眼球剥ぎ取るぞ」

『ぶぶ、物騒なことを言うな! まあ良い、それでは自己紹介からしようか』


 コホン、と咳をついた。

 どうでもいいが、こういう爺に限って“自分は神だ”などというクソみたいな発言をするからな、もし予想が当たっていたら残り少ない毛根をもう一度剥ぎ取ってやろう。


『ワシは、神だ』

「ずりゃあああああああ!」

『アギャアアアアア!?』


 毛根を丸ごと剥ぎ取った、少ない髪の毛は、今の俺の一撃によって完全に消滅した。

 数え切れない髪の毛を全て床に落とす、そして改めてハゲになった爺を見渡す。


「あ、意外にダンディーになった。良かったな、爺。」

『こ…小僧、キサマぁ…神にこのようなことをして、タダで済むとでも…!』

「無駄に足りない髪の毛を大事にするより、正直なハゲの方がモテるぞ」

『あ…そう!?』


 バカだな、下手な不良でも引っ掛からない話術だ。

 しかし、今の話を本当とするのなら、これが神か、人間をやめたい気分だ。


「それで、神様が何の用だ」

『うむ、では話そう』


 真剣な顔つきになる。


『ワシはお前を気に入った。お前のその人生、この世界には勿体ない』


 この世界、今、俺のいる世界という解釈で間違いないだろう。


『今からお前に、物凄い力を付与してやろう。そして、別の世界で生きるといい』

「ちょい待て」

『ふむ、どうした…?』

「爺、俺は冗談が嫌いだ、非常に嫌いだ。ついでに言うとお前は大嫌いだ」

『う、うむ…!? そ、そうなのか』

「詐欺は犯罪だ、そこは理解しているか」

『詐欺などではない、真実だ。見ていろ!』


 そうすると、爺は天を仰いだ。

 大層なポーズで天に向かって祈る、どこかの教祖様みたいな爺だな。


『ぱっぱらぱー!』


 爺のクソみたいな祈りが終わり、俺の周りを眩い光が包み込む。

 うわ、何か加齢臭っぽい匂いのする光だな、何とかならないものか。


『今の光で、お前は《最終改変》という力を手に入れた』

「ふむ、厨二病っぽい名前だが、具体的には、どういう力だ」

『うむ、単純に言うと自身の肉体を強化する力だな』

「それは爺を一撃で殺せる力なのか」

『ワシは神だ、たかが人間の一撃では死なない』

「…使い方は」

『念じるだけじゃ、ただ、使いすぎると──』

「どれどれ…」


 ひたすらに念じる、肉体の強化、腕辺りでいいか…。

 細胞が活性化するように、体内中の循環が早まった気がした。

 先ほどのように眩い光が俺を包み込む、今度は淡い緑色の光だ、加齢臭はしない。

 身体全体の光が俺から抜け去った、まず、爺めがけて一撃放つ。


「ふんっ!」


 ──結論から語ろう、爺は俺の眼前から消滅した。

 爺の顔面目がけて放ったその一撃は、俺の目では捉え切れずに、いつの間にか爺の顔面を潰すように直撃したのだ。

 ゲボアッ!? という悲鳴と共に、爺が遥か彼方に吹っ飛び去ったということは言うまでもない、俺は右腕を見つめる。


「おお、本当の話だったのか」


 主が消失したその空間で、俺はただ1人その力に酔いしれていた。


『ぐ…ぶ…』


 何処かから聞こえて来る声、何か死にかけているが、気のせいだろう。


『も、もう…お前に関わっていると命が足りない…さっさと異世界に送ってやる』

「はぁ…そうですか」

『これは、忠告だ。その力は、使いすぎると肉体を損傷し、やがては死に陥る…使いどころを選び、生きるのだぞ…!』

「…なに、爺、ちょっと待──!」


 次の瞬間、俺の身体は既にその空間になかった。


 満ちる草原、高々とこちらを見下す山、青々しい空。

 ああ、異世界に来ちまったのか。


「…で、俺はこれからどうしろと…?」

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