遺跡にて
「ふむ、ここは足止めをしますのでリリスは逃げて下さい。」
どこにでもいそうな平凡な顔であえていうなればボサボサ頭がトレードマ−クの男が努めて冷静に
呟いた。
「でも、リッキ−は?そもそもこんなに囲まれてるのにどうやって逃げるの!?」
リリスという名で呼ばれた金髪碧眼のロングヘアーの整った顔立ちの美少女はおろおろしながらも涙を目一杯溜めて叫び返した。
「こうするんです」
男は突然、天井に手をかざし
「我、親愛なるものに道を開け!リフレイン」
かざした手から光が溢れ出しそれは少女を包み込んだ。
「え、まさか!転移魔術!ダメ〜」
少女は焦ったように叫んだが既に遅し。あっという間に少女は掻き消えた。
「これって便利なんですが自分に掛けれないのが不便なんですよね〜」
男はどこか気が抜けた感じで独りごちた。
「さて、勇者様も逃がしたことですし、そろそろ本気でいきますか。」
男の雰囲気が突然、鋭い刃のような殺気を醸し出す。
そんな雰囲気に当てられたか、モンスターが一斉に殺到した。
「我、呼び出す冥王の苦痛。無音に帰す、亡者の呻き。”殺界“ プルートデジョン」
周囲に突然現れた黒い霧がモンスター達を包み込む。
「がぁ!!!」
呻きながらモンスターの姿が薄らぎ、 跡形もなく消失。
「後はあのデカぶつですか。」
目の前の岩の塊に手足が生えたようなゴ−レムを見て溜息をつく。
「ごぉぉぉ!!」
岩の塊が震えだし、辺りに地鳴りが鳴る。
「とりあえず、相手さんもやる気満々みたいですし、私も久々に”アレ”をやるますか。」
男は手を前に翳し地鳴りを鳴らしながら走ってくるゴ−レムに向かって
「我、開く禁断の柩、魔も神もすべからく滅する。赤光 ”ア−クライト゛ 」
翳した手から辺り一面を覆い尽くすほどの光が溢れ出し、光の奔流は一気にゴ−レムを押しつつみ、呻くことすらできず
消滅した。
「ふ〜やれやれ、終わりましたか。とりあえず入口に飛ばしたリリスに合流しないとダメですね。
怒ってるのが目に見えてるんですが仕方ないですよね〜」
やっぱりどこか気が抜けた感じで溜息をつきながら入口に足を進める。