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真実

「お前が翼を出すと、皆が不幸になる」

「お前の翼はけがれている」

「お前は何人の同類たちを殺した」


 違う、ボクじゃない。ボクじゃありません!


「こっちに近寄らないで。気持ち悪い」


 ボクじゃないのに。信じて。誰か。


「だったらお前のその手の色はなんだ」

「鎌の色はなんだ」


 赤い。赤い。紅い。


 だけど、それでも。

 


 ボクじゃ、ない。





「…やっぱりな」

 引きちぎったルキの翼を見ながら、俺は独りごちた。黒い翼の根元には昆虫の脚のようなものが4本生えていて、カサカサと空を蹴っている。俺はその翼を地面に置くと、脚で何度も踏みつぶした。翼はギギッ!!という声を何回か出し、やがて動かなくなった。


 この翼は、ルキの本当の翼ではなかった。俺は何度か死神と対峙したことがあったから知っていたけれど、どの死神の翼も、その形はわしの翼に似ていた。コウモリのような尖った形ではなく。


 死神に凶暴な寄生虫が宿ることがある、というのは文献で読んだ話だ。我ながらよく覚えていたと思う。この寄生虫は夜行性で、日中はたたんでいるが夜になると羽を広げる。寄生虫が羽を広げている間は、寄生されている死神は寄生虫に操られてしまう…。

 俺は、気を失っているルキを見た。先ほどの様子からして、あの寄生虫は天使だろうが人間だろうが死神だろうが構わず攻撃していただろう。多分、ルキが死神界を追い出された原因もこいつにあるのだと思う。

 ルキの目から、涙が一粒、零れて落ちた。


「…ちくしょう」


 俺はもう一度、寄生虫を踏んだ。


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