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第四章 江戸城の影

日本橋から北の空を見上げると、闇の奥に黒い壁のようなものが浮かんでいた。


最初は山かと思った。


だが違う。


石だった。


巨大な石が積み上げられ、その上にさらに建物の影が重なっている。


江戸城だった。


城の姿は夜の中で輪郭を失っている。それでも、その存在は町のすべてを支配しているように見えた。


悠人は思わず言った。


「大きい……」


巫女はうなずいた。


「江戸は、この城の町です」


「城の町」


「はい」


巫女は続けた。


「武士の町」


「将軍の町」


そして少しだけ間を置いた。


「けれど、町を動かしているのは町人です」


日本橋の通りでは、まだ人々が動いている。


商人。

職人。

人足。

女たち。


武士の姿は少ない。


それでも、この町のすべてが城を中心に回っている。


悠人はその構造を理解した。


都市の中心。


権力。


商業。


交通。


すべてがつながっている。


現代の都市と、驚くほど似ていた。


「江戸は、世界一大きな町です」


巫女が言った。


「百万人が住んでいます」


悠人は驚いた。


現代では普通の数字だ。


だが、この時代では信じられない人口だった。


江戸は、すでに巨大都市だった。


そのとき、風がさらに強く吹いた。


火の粉が舞った。


赤い粒が夜空を流れる。


巫女は静かに言った。


「町が動き始めました」


悠人は炎の空を見た。


この火が、江戸を変える。


そして江戸は、やがて東京になる。


悠人は思った。


自分は、都市の誕生を見ている。

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