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ゴミ箱は魔女の宝物 ~ゴミばかり集めてたら最強魔女っ娘になってました~  作者: 嬉々ゆう


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9/22

(9)ゴミから生まれた逸品は、大金貨23枚の価値!

今回は、ルーナが作った魔導具の価値を巡って、

本人を差し置いて交渉が進んでいくお話です。

気がつけば、話はどんどん大きくなっていて……。

 


 交渉というものは、たいてい静かに始まる。

 だが、その静けさの裏では、必ず誰かが得をし、

 誰かが取り返しのつかない何かを失う。

 ルーナは、そのことを――

 まだ、この時は知らなかった。



「で、結局のところ…」



 行商人ゲパックは、満面の笑みを浮かべたまま、

 例の魔導具から、ついと視線を外さなかった。



「その魔女の発明、

 いくらでお譲りいただけるのでしょう?」


「えっ?! ああええと、そうですねぇ…」



 ルーナは腕を組み、右手を口元に寄せて考え込む。

 


『やはり、ゲパックの言う大金貨10枚で良いのでは?

 いや、しかし…何も深く考えずに作った…

 いや、出来てしまった、言わば粗悪品だ。

 まだまだ改良の余地はあるはず。

 そんなモノを大金貨10枚なんて、法外な…

 でも、せっかくだから…』(心の声)



 などと考えて返事を渋っていた。

 でもルーナは、ゲパックの気が変わらないうちに、

 大金貨10枚で、手を打とうと思いきや…



「やはり、ゲパックさんの言う…」


「ゲパック殿!」


「?!…」



 村長がまた、でしゃばってくる。

 (出端(ではな)(くじ)かれるルーナ)

 ゲパックは、村長へ体を向ける。



「はい、なんでしょう?」


「?!…」

 (口をパクパクさせるルーナ)


「この魔導具は、ルーナさんが血のにじむ努力にて

 ようやく作り上げた至極の逸品なのです!

 それに、この村でも必要なもの」


「ううむ まあ、そうですなぁ…」


「…(汗)」


「そんな逸品を、この村から出すこの意味を、

 ゲパック殿は、どうお考えでしょうか?」


「ううむ……」


「!……」

 (村長の言わんとする事を察すルーナ)


「つまり、世に出すか出さないかで、

 世界の常識が変わるか変わらないかという事なのです!」


「うむ 確かに」


『そんな、ご大層な…(汗)』(心の声)


「それほどのモノを、ゲパック殿は言い値で

 手にしてしまおうとしている。

 私の言いたいこと、解りますよね?」


「うっ、ゴホン! そうですなぁ…」


『やめてぇ! それ以上持ち上げないでぇ(汗)』



 なんだか、話が大きくなってない?!

 ソレ、ただのゴミからできたモノですけどぉ?

 

 村長の暴走は、まだ続く。



「では、大金貨30枚は、どうでしょうか?」


『なぁんば言うとっとぉ~~~?!』

 (熊本弁の心の声)


「うええっ?! 流石に、大金貨30枚は…(汗)」


『そうですぜ旦那? それを世間一般的には、

 ”ヤカラ”言いますねんけど?』

 (心の中でなぜか、えせ関西弁で突っ込むルーナ)


「ふむ 先程も言いましたが、

 この逸品は、世界の常識を変えてしまう…」


「15枚っ!! 大金貨15枚ならいかがでしょう!!」


「ふん! まだ、解ってないようですな?」


「んんっ! で、では、大金貨20枚!

 20枚ですよ?! どうです?!」


『うっひょお~~~(焦)』

 (もはや心の悲鳴)


「うんや! 何を言ってるのかねゲパック殿!

 どうせ王都の大貴族には、この倍以上の言い値で

 ふっかけるのではないのかね? うぅん?」


「んぎぎっ…で、では…大金貨22枚!」


「いんや! 大金貨25枚ですな!

 いや、オークションなら、もっと上がる可能性も?」


「あああううう…こ、これ以上わぁ~~~(焦)」


「ちょっと、アンタら…(焦)」



 村長とゲパックとの間に挟まれ、

 オロオロするばかりのルーナ。

 この時のルーナは、完全に蚊帳の外だった。

 やたら背の低いルーナは、2人の間に挟まれ、

 ただ下から見上げてキョロキョロするだけ。

 完全に視界に入ってはいなかった。


 ルーナが作ったはずの、ゴミから生まれたモノが、

 いつの間にか、ひとり歩きを始めていて、

 気がつけば、手の届かない所まで行ってしまった?

 いつしか、そんな逸品とされた魔導具を持つ手が震えていた。



「ん…んん~~~~~~

 わっ、わかりました!!

 大金貨22枚と金貨5枚!

 もうこれ以上は無理ですよ村長ぉっ!!」


「…ま、いいでしょう?

 では、大金貨23枚で、お譲りしましょう!」


「はあっ?!…ああもう!

 仕方ありませんね!」


「あの~~~コレ、私のですよねぇ?(汗)」



 どうやらルーナの頭の上で交渉は成立したようだ。

 ルーナのゴミから作った、空間拡張収納魔導具は、

 大金貨23枚で取引きされた。

 ルーナを、差し置いて……



「ところで、ルーナさん?」


「ふぇ? あ、はい?」


「この魔導具には名前はあるのでしょうか?」


「名前…ですか?

 うう~~~ん…………

 駐車場が必要ない魔導具だから…

 えっと、じゃあ、”車庫いらず”ではどうかな?

 車庫とは、車を保管しておく倉庫施設って意味ですね」


「車庫いらず? ふぅん 面白いですな?

 なるほど! そんな意味があるんですね?」


「ええ、まあ」



 この時、この魔導具の鑑定結果では、

 「車庫いらず」という、正式名称となった。



まさかの蚊帳の外で、取引成立。

ゴミから生まれたはずの魔導具は、

いつの間にか「逸品」になっていました。

次回も、よろしくお願いします。

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