(25)ルーナ、検索する
今回は少し短めのお話です。
ルーナが、とある魔導具を作ります。
便利すぎる予感しかしません。
・⋯━☞ ハンドール公爵領 ☜━⋯・
・⋯━☞通称商業街マイーヤ☜━⋯・
・⋯━☞宿屋ヤタクの大部屋☜━⋯・
ボルバ一家と、
明日また会いに来ると約束して別れ、
ルーナとサミは、宿屋に戻って来ていた。
ベッドの上で、
ルーナは今日1日あったことを、
ビデオ動画のように、
繰り返し思い出していた。
「はは……。今日は濃い1日だったなぁ~」
「くかぁー……くかぁー……」
「もうイビキが聞こえる。ふふふ……」
昨日のように、また大部屋を借りて、
部屋に廃材で敷居壁を設置しているルーナ。
その壁の向こうからは、サミのイビキが聞こえる。
ルーナは、ゴミ捨て場から適当に拾ってきた世間一般的には、“ゴミ”と呼ばれるオブジェたちを、取っかえ引っかえ、まじまじと見つめながら考えている。
今回、ゴミ捨て場から拾ってきたのは、
大量に捨てられていたボーションの詮無し空瓶。
破れた野営テント用の革製の幕。
ボルバがチョークの代わりに使っているという、
”文字が書ける白い石”。
絵画用のキャンバスと木枠。
大量のガラス片。
その他いろいろ……
そして、ひとつのゴミに注目する。
今、ルーナが手に持って見ているものは、
絵画用のキャンバスと木枠。
いったい、何がどこでダメなのか、
捨てられていた理由が分からない、
「ふぅ~ん……
なんで捨てられていたんだろう?」
でも、その絵画用のキャンバスを見ていると、ある物に似ていると思い出した。
「ああ、タブレットに似ているんだ」
ああ、懐かしい……。
日本で暮らしていたオジサンだった頃、
あまりパソコンに詳しくないルーナは、
パソコンもタブレットも同じだと思っていた。
ネット大手のショッピングサイトで、
1万円以下で売られていたものだから、
喜んで注文したら、動作は重いし、
ネトゲをしようにも
すぐにフリーズするしで、
まったく使えなかった……。
「バカだよなぁ~まったく無知とは罪だね」
なんて、独り言を言っていたら、
あることに、ひらめいた!
「魔法で、タブレットを作れないかな?」
はっきり言って、おバカな考えだと思う。
でもここは、異世界である。
今まで、何も考えずに、思い付きで作れてしまった。
そんな風に、今回もタブレットを作ってみたいな。
「よしっ! タブレットを作ろう!」
ルーナは、絵画用のキャンバスと木枠でタブレット本体を作り、画面はガラス片を、錬金術で錬成して、木枠にはめこんだ。
「できた!
なんちゃって木製タブレット!」
ルーナは、できあがった、
”なんちゃって木製タブレット”
を手に持ち、ひとり、ニヤニヤしていた。
そして、ここからが、本番!!
ルーナは、床に白い石で錬成用魔法陣を描き、早速、タブレットの錬成を行う。
この時、地球で使っていたタブレットをイメージし、ネットサーフィンをしているイメージを思い浮かべる。
そして更に、そのタブレットが快適にサクサク動く様子もイメージして行ってみた。
・⋯━☞錬成開始☜━⋯・
「エコ・エコ・アザラク……
••✼••以下省略••✼••」
えーと……
タブレットを作りたい!
どんな物かと言うと~
記憶属性の魔石ラブラドライトを利用して、この世界の記憶、情報を読み込み、この道具のガラスの部分に映し出せるのが、タブレットなの!
なんとか、してちょーだい!
つまり、この世界のことで、
この道具の使用者が知りたいと
タブレットに文字を入力した事柄を、
なんとか調べて教えてね!
起動するときは、”スイッチオン”と発言。
終了するときは、”スイッチオフ”と発言。
わかった?
さあ! 魔法はかけられたり!
大地と海との全ての力と……
••✼••以下省略••✼••
・⋯━☞錬成終了☜━⋯・
「……できた?
よし、これを”魔導タブレット”と名付けよう」
一応は、錬金錬成儀式魔法は成功した。
画面の奥で、何かがこちらを待っているような、そんな気配が一瞬だけしたが――すぐに消えた。
だが、ちゃんとタブレットが出来ているのかが問題だ。
とりあえず、使ってみた。
「……んーと、スイッチオン!」
パッ!……
「あっ! 映った! マジ?!」
もう完璧だった!
画面に映るのは…
ブラウザ、動画再生アプリ、動画編集アプリ、音楽再生アプリ、計算機、時計、方位磁石、金属探知機、3Dデザインメーカー、お絵描きアプリ、画像編集アプリ、電話通信アプリ、メモ帳、そして、魔法薬精製シミュレーターだ。
「おおおおおー!!」
「んごっ!……」
「はっ! サミが寝ているの忘れてた……」
「ムニャムニャ……ルーナちゃん……♡」
「俺?……どんな夢を見てるんだよ(汗)」
魔法で作ったタブレットが、
思いのほか使えそうだったので、
壁を挟んだ隣でサミが
寝ているのも忘れて、
思わず嬉しさが声に出てしまった。
「ふぅ……よし。とにかく使ってみよ!」
ルーナは、まずはブラウザをタップ!
問題なく、ブラウザは立ち上がる。
ほとんど日本で見ていたブラウザそのものだった。
所々、何も書いていない空白になっているが、これはルーナの記憶が完全ではないのが問題だろう。
仕方ない。でも、普段から使っていない部分だから、特に無くても問題はない。
ルーナは、検索バーをタップすると、日本語用フリック入力キーボードが表示される。
普通に文字が入力できるようだ。
「さて、何を調べようか……
ふぅむ、スライムの生息地かな?」
ルーナは、”スライムの生息地”と入力。
そして、【検索】ボタンをタップ!
すると、ズラー!と出るわ出るわ!
「うおおおっ! こりゃあ、出すぎだ!
この辺の……ハンドール最寄りの
スライムの生息地を……いや待てよ?
単純に、スライムを検索……っと!」
今度は、
ハンドールの近くに生息している
スライムを検索してみた。
すると……
「えええっ?! こんなに居るのかよ!!」
ルーナが魔導タブレットでスライムを検索すると、画面に映し出された地図上のハンドール公爵領の周囲に、数え切れないほどの数のスライムの反応が出た!
「こりゃあ……探す手間よりも、
捕獲する手間の方が問題だな?」
こうして、魔導タブレットは完成した。
魔導タブレット完成回でした。
便利な道具ほど、後で泣きを見るのが異世界のお約束……?
次回から、少しずつ動き出します。




