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ゴミ箱は魔女の宝物 ~ゴミばかり集めてたら最強魔女っ娘になってました~  作者: 嬉々ゆう


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(21)元スラム街のゴミ捨て場

第21話です。


魔女の世界では、宝物は意外な場所に隠れている――。

今回のエピソードでは、ゴミ箱の中から現れた“普通じゃない何か”が、小さな騒動と驚きを巻き起こします。

日常の中の不思議と魔法、どうぞお楽しみください。



 ・⋯━☞ ハンドール公爵領 ☜━⋯・


 ・⋯━☞元スラム街ゴミ捨て場☜━⋯・



 ここは、元々マイーヤ城下町だった頃、

 スラム街だった場所。

 今現在は、最下級層の人たちが、

 身を寄せ合って生きる場所となっている。


 繁華街で、サミがルーナの父親だと

 誤解される一件が起き、逃げるように

 ゴミ捨て場へとやって来たルーナとサミ。

 どこをどう通って来たのか覚えていないほど、

 2人は必死だった……


 しかし目の前には、見渡す限りのゴミの山。

 そんなゴミの山を囲むように、

 明らかに手作りと分かる

 掘っ建て小屋のような家々が乱雑に立ち並ぶ。

 ハンドール公爵の計らいで職を得たとはいえ、

 ここに住む人たちにとっては、

 まだまだ快適とは言えないのは、

 見れば明らかである。



「……着いたぞ。ここが、ゴミ捨て場だよ」


「う、うわぁ……なんて言っていいか」


「気持ちは分かるよ

 でも、これが現実なんだよ……」


「ううむ……」



 ルーナは、正直ガッカリしていた。

 なぜなら、この街はハンドール公爵の計らいで、

 元スラム街の人たちも暮らせるようにと、

 職を与えたと聞いていたのに、

 見た限りでは、

 まるでそんな様子など感じなかったのだ。


 

「んぐっ……臭いが……酷いね」


「だよな ゴミ捨て場としては、

 リーフ村とはぜんぜん違うよな」


「だねぇ? ゴミと一括りに言うけど、

 この臭いは、”生ゴミ”の臭いだけじゃないよね?」


「……そうだね」


「…………ウンコ?」(←悪気なし)


「やめなさい」(←即答)


「……ごみんちゃ」


「ああ、あるだろうな? この臭いだ。

 リーフ村では、ルーナ姉妹が焼却炉を

 設置してくれているから問題ないけど、

 魔物の死骸こそ無いのが唯一の救いだ。

 魔物から取れた必要な素材以外のものは、

 全て燃やして廃棄するのが決まりだからな

 あと、ルーナの言うこの臭いだ……

 ”スライムトイレ”も無いのだろう。」



 やはり、”スライムトイレ”は無いようだ。

 スライムは、魔物の死骸や生ゴミや汚物から出る

 ”臭い”すらも消してくれるのだ。



「おおお……やっぱり、そか。だよね?

 もし、ここにも魔物の死骸があったなら、

 臭いもこんなもんじゃないだったろうね?」


「やめてくれ……考えたくない

 腐ると汚いし、気持ち悪いし……」


「ですよねぇ~~~

 人にうつる病気も発生しちゃうよねぇ?」


「ほぉ! よく知ってるね?」


「ふっふっふぅ~~~ん♪」

 (ドヤ顔で胸を張るルーナ)


「ぷぷっ! クスクスクス……(笑)

 そうなんだよ! 命食いほどじゃないけど、

 それでも人にうつる病気はヤバいからね?」


「ふんふん」



 魔物から取れた素材以外の廃棄物は、

 みな焼却処分が原則となっている。

 その理由は、魔物の死骸は放置すると、

 他の魔物を呼ぶ可能性があるのと、

 疫病が発生するリスクもあるからだ。



「特にウイルス性の病気は怖いよねぇ?」


「ういるす? なんだいそれ?」


「あ!…えっと、目には見えない小さな微生物

 ……小さな生き物? 知らない?」


「うぅん 知らない……」


「そっか…………」



 この世界でも、生き物の死骸や汚物を放置すると、

 衛生状態が良くないだけではなく、

 人に感染する疫病が発生する概念はあるらしい。

 ただ、ウイルスなどの微生物の概念はないようだ。


 それに、かなり埃っぽい。

 今ここに居る自分たちも、ただで済まない気がする。



「……そろそろ降ろしてくれる?」


「おっと! ごめんごめん」


 ストン!……ポン!


「おっ!……体が元に戻ったね?」


「え? そうなの?」


「………………(汗)」



 ルーナは、サミにお子ちゃま抱っこ

 されたまんまだったので、

 下に降ろしてもらったのだが、

 その瞬間に、”称号︰出鱈女神幼女の心”の

 効果が無くなったのか、ポン!と弾けるように、

 一回り小さかった体が、元の大きさに戻ったのだった。


 だがルーナは、自覚なし。


 ”元スラム街”の有様を見て気持ちが現実に

 戻ったせいか、幼女寄りだった精神も、

 元のルーナの精神に戻ったのだろう。


 ルーナは、ここで暮らしている人たちは、

 今どんな生活をしているのかサミに聞いてみた。



「ここで暮らしている人たちって、

 今は、どんな生活をしているの?」


「ふむ、そうだな……

 俺も細かいところまでは知らないが、

 ここでは、主に職を持たない人が住むらしい。

 もっと奥へ行けば、職を持ちそれなりに

 暮らせる人たちが住む地域があるらしいが…」


「ふぅん……」


「ここは、街から出たゴミを捨てるのに、

 打って付けだからな。

 だから、比較的街から近いんだよ。」


「なるほど……」



 ここは、かつてはスラム街だった。

 なので、その名残で今でもゴミが捨てられる。

 なるほどなと、ルーナは思った。



「うん……で、

 多くの人は、このゴミ捨て場のゴミを拾って

 生活しているそうだよ?」


「ゴミを拾って?」


「うん、そうだよ」


「俺…いや、私みたいに何かに作り変えるとか?」


「ははっ ルーナみたいにはいかないだろうが、

 まあ、そんなところだろうな?」


「……だよねぇ? それしかないよねぇ?」



 ここはゴミ捨て場だ。

 周囲には、元スラム街の職の無い人の住む家々。

 ここで生きていくとしたなら、ゴミを拾って綺麗にするか、

 または、何かに作り変えるかをして、

 それを売るしか稼ぐ方法はないはず。


 もちろん、もっと深く掘り下げてしまえば、

 どんな事でも”仕事”としてとらえ、

 生きることは可能かも知れない。

 だが、それ以上無闇に深くへは、

 ルーナはサミに聞くことはできなかった。


 でもゴミを利用するのなら、

 それなりにスキルが無ければならないし、

 ゴミ拾いをしている全員ができることとは思えない。


 ルーナの予想では……

 ここにも錬金術が使える者がいて、

 ゴミを拾う手足となる者たちを集めて、

 支配しているような、そんな気がした。

 そんな者たちが、サミの言う「ならず者」

 なのかも、知れない……

 これも、異世界に限った事ではない。

 地球でも、そんな生活をしている場所があると、

 テレビで観た事がある。 


 ここでは、異世界あるあるではない。

 サミの言うように、これが現実というものだ。

 できる事なら、こんなテンプレな予想が外れて欲しい。

 しかし、こんな時に限って、

 ルーナの予想は当たってしまうのだった。



「誰か来る!!」


「ひっ!……」


「ルーナ、こっちへ」


「はっ……はぁっ……はわわっ……(汗)」


 パタパタパタパタッ……



 ルーナとサミは、人の気配を感じて、

 慌てて身を近くの朽ち果てた廃墟の陰に隠れた!



「……?!」


「……親子?」


「……の、ようだな?」


「……んぬぬぬ」



 見ると、汚れてボロボロになった服を着た

 3人の親子らしき者たちが、

 どこからともなく歩いて来た。

 父親らしき大人と、男女の子供たちだろうか。

 まだ暖かい季節だというのに、

 冬用のように分厚い服を着ている。

 それに、父親らしき男性は足を引きずっている。 

 きっと、足が悪いから仕事ができないのだろう。



「ええ~~ あの格好、暑くないのかな?」


「仕方ないさ

 彼らには服を買う余裕なんか無いんだ。

 下々の人たちにとって、新しい服は高価なもの。

 だから、冬だろうが夏だろうが、ずっと同じ服を、

 継ぎ接ぎしながら着るしかないんだから」

 

「?!……なるほど」



 サミの言うことには納得だ。

 ルーナは魔女である。

 黒いワンピース一着で済む。

 なので、

 「今日は何を着ようかしら?」

 なんて服を選ぶ必要が無いから、

 衣装持ちさんにはならない。

 でも、一般の人たちには、そうはいかない。

 毎日同じ服を着ていると、

 身だしなみが、なってないと突っ込まれそうだが、

 ここで暮らす人たちには、それどころではない、

 他に着る服が無いのだから、仕方がないのだ。



「お父さん……かな?

 なんか、足が悪いみたいね?」


「……だな?

 だから、ハンドール公爵の計らいで、

 職を与えられたとしても、できないんだろな」


「!……そんな」


「仕方ないさ これも、現実なんだ」


「あうう……」



 そういう事か。

 ルーナは、納得した。

 先のサミの話しでは、

 ”やる気のある者には職を与えた”

 という事だったが、ここで暮らす人たちは、

 決して、”やる気がない”訳ではないのだ。

 やる気があっても、できないのだ……と。



「何とか、してあげたいね」


「はあ?! また、そんな事を言ってる!」


「だって……(汗)」


「ここに居る人が、どれだけ居ると思ってるんだ?

 10人や20人じゃないんだぜ?」


「わ、分かってるよ……でも…………」


「……ふん(困)」



 ルーナの思いがけない言葉に、

 嫌な予感しかしない、サミだった。



ここまでお読みいただき、ありがとうございました。


ただのゴミだと思ったものが、こんなに騒ぎを生むなんて……。

魔女の世界では、何気ない日常も、視点を変えれば大冒険。

次回もまた、意外な宝物と小さな魔法が待っています。

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