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ゴミ箱は魔女の宝物 ~ゴミばかり集めてたら最強魔女っ娘になってました~  作者: 嬉々ゆう


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20/28

(20)サミ、出鱈目幼女化ルーナのパパになる?

第20話です。

少しだけ、ルーナの原点に触れる回になります。

なぜ彼女が“ゴミ”に価値を見出すのか。

そして、なぜ周囲を振り回すのか。

いつもよりほんの少しだけ、心があたたかいお話です。





 ・⋯━☞マイーヤ(ハンドール)歓楽街☜━⋯・



 ルーナとサミは、宿屋を出て、歓楽街に来た。

 

 あちこちから聞こえる様々なノイズ…

 そんな音に混じって、多くの人々の話し声がする。

 木材なのか、紙材なのか、

 ありとあらゆる物が混ざり合ったような臭いがする。

  

 それらが、この街が、

 いかに大きな街かを物語っている。

 

 しばらく歩くと、酒の匂いがした。



「ここは、もしかして……飲み屋街?」


「まあ、そうとも言うよね?

 確かに飲み屋も多いんだけど、

 マイーヤは……ええと、

 ハンドールは商人も多いけど、

 やっぱり冒険者が多い街だからね!

 冒険者が集まるようにって事だと思うけど、

 規制も他の街よりもある程度緩いと思う。

 これもハンドール公爵の政の一貫なんだろな」


「……ほぉ?」


「ここから奥へ行くと、

 初級冒険者たちの為の訓練施設に、

 冒険者たちの闘技場もあるし、

 更に奥へ行き横へ逸れると、

 スラム跡地があり、そこは風ぞ……」

 (風俗街と言いかけたサミ)


「……どうした?」


「あ、いや、ゴホン!」


「……ううん???」

 (コテンと首を傾げて見上げるルーナ)


「……うっ!(照)」

 (そんなルーナの可愛い

 仕草に一気に顔と耳が赤くなるサミ)



 この、ルーナの思わず抱きしめたくなるような

 実に可愛らしい女の子の仕草は、まさに!

 ”出鱈女神の愛の加護”の力である!

 それを知らないサミは幸か不幸か……


 ルーナは知ってはいるが、

 この時のルーナは、まさに!

 ”出鱈女神の愛の加護”と、”無自覚男たらし”とが

 相まっての総合作用の強制力である!


 もちろん、ルーナ自身も気づいていなかった。

 もし、この二つの加護が本領を発揮すれば、

 いったい、どうなってしまうのだろうか?

 


「なあ、どうした? うん?」

 (また、コテンと首を傾げるルーナ)


「あううっ!……」

 (そんな可愛い顔して見ないでくれえっ(恥))


「なあ? ふう……って、

 言いかけたよね? それなに?」


「あっ……いや……その……」

 (急に青くなるサミ)



 今度は、真っ赤から一気に青くなるサミ。

 この時サミは、”風俗街”なんて単語を

 口に出してしまったら、

 ルーナに嫌われてしまうと思った。

 絶対に言えないと奥歯を噛み締めるサミ。



「ま、まあ、元々はスラム街だったんだ

 無駄に近づくこともないさ」


「ふぅん……まあ、いいけど

 それで? 他には?」


「う、うん! ゴホン!

 更に奥へ行くと、商店街だな!」


「ほおお~」


「商店街…とは呼ばれてはいるが、

 ほとんどが”露店”だな!

 現役冒険者だって、売買でるんだぜ?」


「ええ! そうなの?」


「これも、ハンドール公爵の計らいだな。」


「へええ~~~」



 サミの話しからすると、ハンドール公爵とは、

 根っからの商売思考の人のようだ。



「そうなんだ?」


「ああ。 更にその奥へ行くと、”繁華街”だ!」


「繁華街? 商店街と何が違うの?」


「商店街は、小規模の商店の集まり

 繁華街は、大規模と言うか、

 店を構えた商人の街…かな?」


「ほぉほぉ!」


「武器屋に、防具屋に、道具屋!

 それと~本屋もあったな!

 駆け出し冒険者のための、

 初級魔法や生活魔法が学べる

 使い捨ての魔導書も売ってるぞ!」


「おおお~~~本屋もあるんだ!」


「ああ、あるさ!」



 ”使い捨ての魔導書”とは、ページ一枚そのものが、

 ”個別魔法のスクロール(巻物)”として使えるもので、

 ちぎって、個別の発動呪文を唱えるたけで、

 初心者でも魔法が発動できるという、

 とても気の利いたアイテムだ。



「本って、貴重品だと思ってたのに」


「ん? そうでもないぞ?

 トイレでも紙は使われているだろう?」


「そうなの?」


「えっ!? ルーナって、もしかして……」


「ちょっと! 変な想像してないよね?

 私は……の後は、水魔法と風魔法で、

 紙なんて必要なかったの!

 だから、知らなかったの!」


「わかった! わかったから、落ち着け(汗) 」


「ぶぅ………(拗)」



 ルーナは思った。

 この世界では、”紙”が普通にあるようだ。

 確か、門前詰め所でも、紙が使われていた。

 異世界あるあるでは、紙は貴重品であり、

 高級品な訳で、本などお貴族様しか持たない

 平民には滅多に手に入らない代物のはず。

 自分の知る異世界あるあるとは、

 何かが違う…と。

 


「へえ~って、え? 使い捨て?」


「ああ。 ”所有者設定”を施さなければ

 使えないような本格的な魔導書もある!」


「うおおおお~~~!」←(ガッツポーズ)

 (興味津々なルーナ)


「あと、魔物の肉を専門の店もあるぞ?」


「ほぉ……」

 (興味が削がれるルーナ)



 今朝の”豚の塩焼き”のせいで、げんなり、

 なんとか全部食べようと頑張ったが、

 結局、残してしまった…。

 なにしろ、黒焦げの中には、

 たっぷりの脂肪分が……

 今も思い出すと、”うえっ…”って、なる。

 

『よくも、あんなものを食べさせてくれたな!』


 と、サミを睨むが、サミは悪いのではない。

 気を紛らわそうと、サミに話の続きを促す。



「んーと、その奥は?」


「え? あ、うん

 その奥にはまた壁があって、

 その壁の向こう側には手前から順に、

 下級貴族街、上級貴族街、そしてあのそびえ立つ、

 ハンドール公爵の城だな」


「っへぇー! なるほど!

 じゃあ、ハンドール公爵の城を中心に、

 円形に貴族の住宅街や、

 商店街が集まるみたいな?」


「ふうん 円形ではあるが、かなり歪んでいるな」


「ほぉ……」


「元々は、マイーヤの王城だった頃は、

 城を囲むように、貴族たちの住宅が並んで、

 そしてそれらを囲むように城壁があったらしいが、

 ハンドール王弟殿下が魔法が使えない事を理由に

 王位継承権を失うことで公爵位を叙爵され、

 そしてその後に、ここはハンドール公爵の統治する

 公爵領となったんだってさ!」


「っはあーー!」


「それから十数年をかけて、

 商人や冒険者たちが集まり、

 城壁を境に新しく街がてきあがった……

 ま、そんなところかな?」


「ふんふん お勉強になりますわ!」


「ぷぷっ! そう?」


「うん!」



 なんだか歴史を感じるお話ですわね……。

 勉強嫌いなルーナでも、なかなか面白い話だ。

 本当に、そう思った。



「だが、それだけじゃない」


「へ?」


「街の壁の外側には、旧市街があってな」


「あ、あるんだ?」


「うん! 商人たちもだが、スラムの者たちもな」


「スラム……」


「うん 街が広がると同時に、

 商人の店や家なども取り込まれるようになり、

 そしてハンドール公爵の計らいで、

 壁が造られたんだが、その時スラム街は一掃。

 スラムの者も、やる気のある者には職を与えられ、

 一気に人口が増えたことで街へと発展し、

 かつてのスラム街も歓楽街と姿を変えた。

 だから、歓楽街の裏にあるのは、

 スラム街の名残りなんだってさ!」


「ほぉおおーー!」


「だから、外壁は歪んだ円形になってるんだ」


「ほっほぉーー!」



 面白い! 流石サミ先生!

 サミの話には、思わず聞き入ってしまう。

 なぜ、学生の頃に、

 こんな心境にならなかったのか?

 

『”若さ故の過ち”か? 今更だな。はっは!』


 また、某人気ロボットアニメの名台詞が…

 それより、サミの説明の中でも、

 特別気になるワードがあった!


 その時ルーナの中で、何かが発動し、

 心臓が大きく一度だけ脈打った!



 《《ドクンッ!》》


「ふふん……(笑)」

 (ジト目)


「?!……な、なんだよ?」



 サミは、ルーナの嫌らしいジト目に、

 嫌な予感しかしなかった。



「スラム街の名残って言ったよね?」


「ん? ああ、そうだな……」

 (嫌な予感しかしないサミ)


「……んふふ♡」

 (物欲しげなジト目)


「はっ?! まさか……

 そこへ行きたいなんて言わないよな?」


「行きたいっ!」


「はあっ?! なんでだよ!!」


「だって、そこならきっと、村よりも大きな

 ”ゴミ捨て場”が、あるはずでしょ?」


「ゴミ捨て場ぁ?

 そりゃあまぁ……あるかもな?」


「でしょ? だから行くの!!」


「だからなんでぇ?!

 意味が分からないよ!!」


「「「「!!……ザワザワザワザワ」」」」



 道行く人が多い中、ルーナとサミの

 言い争う声に、人々は何事かと気づき始める。



「ほら、私が作るものはみんな、

 ゴミから作ってるのよ!」


「?!……そうなのか?」


「この、ウエストポーチだって!」


「おお、そのマジック・バッグが?」


「そう! それに、サミの使っている

 ”自動回復の腕輪”も、ゴミから作ったのよ!」


「これも?! なのか……そうか」

 『……この子、本当に何者なんだ?』



 説明しよう!

 ルーナの言う、”自動回復の腕輪”とは、

 ルーナが村のゴミ捨て場の中から見つけた、

 ”破棄された馬車の回転軸の部品”から作ったもの。

 見た目は不格好で質素だが、

 効果はなんと驚きの”自動回復”。

 ”怪我をしたら自動的に回復魔法が発動する”という

 チート級のユニークアイテムである。

 しかも、半永久的に魔力が自己回復する、

 ”クリスタル魔導石(魔鉱石とも呼ぶ)”を、

 使用しているので、魔石の様に交換の必要ない。

 まさに、”伝説級”の逸品である!

 (某昭和人気アニメの驚きメカのうんちく風~)


 サミは、”暇つぶしに作った”とルーナが言うので、

 何も考えずに貰ったものだった。


 そして、この時、称号”出鱈目幼女の心”が覚醒!

 ルーナの精神は、一時的に”幼女化”してしまい、

 ”わがまま”になってしまうのだった。

 体も一回り小さくなり、声も少し高くなって、

 黒のワンピースの袖もぶかぶかになって、

 

 だがルーナ本人は、まったく自覚はないのだった。


 まったくもって、迷惑な称号である。

 ルーナがつけた自称神様の名前、”出鱈女神”とは、

 案外、当たっているのかも知れない。



「そう! もう村のゴミ捨て場では、

 いい物が出なくなったから!」


「はあっ?! それが何だと言うんだよ?!

 って、おい! 体が小さくなってないか?」


「いいから聞いて! 村よりも大きな街になら、

 もっと凄いゴミがあるはず!

 もっと凄いゴミがあれば、

 もっと凄い物が作れるはず!

 だから! 私は街へ来てみたかったの!!」


「何その理由?!」



 この時サミは、初めてルーナが

 街へ行きたがった理由を知るのだった。



「絶対に行きたいっ!」

 (”称号︰出鱈目幼女の心”の効果⤴︎)


「ダメだよ!

 いくら元はスラム街とは言え、

 今だって、ならず者の巣窟

 でもあるんだぞ!!」


「嫌だ! 嫌だ! 嫌だ! 嫌だ!」

 (”称号︰出鱈目幼女の心”の効果⤴︎⤴︎)


「ちょっ……ルーナちゃん

 お、おお、落ち着けよっ(汗)」

 (アタフタするサミ)


「行きたいったら行きたぁ~いっ!!」

 (”称号︰出鱈目幼女の心”の効果⤴︎⤴︎⤴︎)


「ひぃいぃいぃ~~~(汗)」


「「「「ザワザワザワザワ……」」」」

 (地に寝転がり暴れるルーナを見る人々)



 この時、ルーナの中では、

 ”称号︰出鱈目幼女の心”の効果が発動!

 それは、幼い幼女が地べたに寝転がり、

 ひっくり返ったテントウムシのように

 四肢をバタバタ激しく振り回し、

 全身でいやいやを訴える!

 そう。

 それはまるで、駄々をこねる”幼女”ように。


 そんな様子のルーナとサミを見て、

 誰も怪訝な目で見る者はいなかった。

 むしろ、微笑ましい光景を見る目。

 誰もがそんなルーナに癒されるのだった。



「やだなにこの()? 可愛い♡」

「あはははっ! 駄々っ子かな?」

「お嬢ちゃん、

 お父さんを困らせちゃあいけないよ?」


「すっ……すみません(汗)」

 (我が愛娘をあやすパパモードのサミ)



 羞恥心と、癒される気持ちとが入り混ざり、

 表現のしようのない気持ちに苛まれるも、

 ほっこりするサミだった。


 ただルーナの心境は、自分の精神が幼児化

 している事になどには自覚がないのだから、

 とにかくたちが悪い。


 

「はいはい! わかったから!」


「本当?!」


「う、うん! 男に二言は無い!」


 ガバッ!

 (サミに抱きつくルーナ)


「やったあーー! わあ~~~いっ!」


「ルーナちゃん?!……ああもぉ……

 しょうがないなぁ……(困)」


「頑張れよ~~~パパさーん!」


「んなっ?!……(恥)」



 ルーナの父親と、

 周囲の人々に勘違いされるサミだった。



「パパだって! 変だね?」←(嫌味なし)

 (にっこり笑って見上げるルーナ)


「なんでこうなったぁ~~~(吠)」


 ガバッ!


「みゃあ?!」


 バタバタバタバタッ!



 サミは、周囲の目に耐えられなくなり、

 ルーナをお子ちゃま抱っこして、

 猛ダッシュでその場を逃げ出すのだった……


 その後に残ったのは、笑い声だけだった。

 歓楽街に、しばらく笑い声が残った。

 そしてマイーヤは、今日も平和だった。



ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

ルーナの称号「出鱈目幼女の心」、発動しました。

本人は至って真面目ですが、

周囲はだいたい大惨事です。

そして、サミに突き刺さる「パパ」発言。

マイーヤの街は、今日も平和……かもしれません。

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