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ギャルと親戚

今日は、朝から祖母の家が騒がしかった。

なにせ、親戚一同が集まる日なのだ。


車の音、玄関の開け閉め、子どもたちのはしゃぎ声、笑い声、怒鳴り声――

静かな田舎の夏に、にわかに喧騒が戻ってくる。


この集まりは大人だけではない。

僕のいとこたち、甥っ子や姪っ子たちも大勢やってくる。

中には乳児連れの夫婦もいて、まるで小さな保育園のようだ。


「タケルく〜ん♡ なんか今日、人多くない!? っていうか、ちっちゃいのめっちゃ走り回ってる!!」


「そういう日だな。年に一度の“大集合”」


ウメコは縁側から顔を出し、玄関先でどっとなだれ込んでくる親戚を目で追っていた。


もちろん、ウメコの姿は僕にしか見えない。

つまり――


「タケル〜♡ ねえねえ、抱っこされてる赤ちゃんって、どうやってあやすの〜? 泣き声ヤバいけど!!」


「知らん……お前、座敷童子なんだから、むしろ泣き止ませる立場じゃないのか?」


「え、む〜り〜♡ てか赤ちゃんってパワー強すぎ! ウメコ、心ちょっと揺れた!!」


僕の肩にしがみつきながら、ウメコは子どもたちをじっと見つめていた。

ただし、もちろん誰にも気づかれない。

彼女はあくまで“タケル専用のギャル妖怪”だ。


「ねぇタケル、なんであんなちっちゃいのが、あんな元気なの? ウメコ的には、膝枕で寝てたいんだけど」


「やめて。今それされたら、絶対なんか踏まれる」


「じゃあ……タケルの部屋に避難しよ?♡」


「お前が部屋にこもりたいだけだろ」


でも実際、ウメコは人が多い空間が苦手らしい。

彼女にとってこの家は“特別な場所”であっても、騒がしくて誰にも姿が見えない空間は、どうにも落ち着かないようだった。


その後、部屋に戻って一息つくと――


「……タケルは、家族多いんだねぇ」


「まあな。親戚付き合いは多い方かも」


ウメコは僕の隣でごろんと転がる。

目の前には、廊下をドタドタ走っていく姪っ子と甥っ子の影。


「ちょっと、うらやましいかもって思っちゃった」


ウメコの声は、少しだけ、ぽつりと落ち着いていた。


「ウメコ、ずっとこの家にいたけどさ、親戚とか、家族って感覚、あんまりよくわかんないんだよね。

でもタケルが来てくれてから、なんか……“帰ってきた”って気持ち、わかるようになってきた気がする」


僕はウメコの頭を軽くぽんと叩いた。


「それでいいじゃん。別に“家族”って言葉の形が大事なんじゃなくて、誰かのことが“落ち着く”って思えるのが家ってもんだろ」


「……え、ちょ、なにそれ、告白? ウメコ、今、なんかキュンってきた♡」


「……だから違うって」


でも本音を言えば――

あのときのウメコの笑顔は、どの親戚よりも近しい“家族”に見えた。


親戚の声が賑やかに響くなか、

僕はウメコの存在を、いつも以上に“特別”に感じていた。

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