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ギャルと余韻

朝。


蝉の声が耳に届くより先に、僕は目を覚ました。

障子の向こうからやわらかな陽射しが差し込んでいる。

でもそれよりも先に、心に残っていたのは――


夢の余韻。


何を見たのかは、はっきりとは思い出せない。

でも、胸の奥がほんのり温かくて、ちょっとだけ寂しかった。


懐かしい誰か。

小さな手、浴衣の袖、あの縁側。


「……あれ、昔の……」


呟いたその瞬間。


「タケる~~~~~~~んっ♡♡♡」


ドカッ――!!


突然、部屋のふすまが全開にされて、

まるで爆弾でも投下されたみたいな勢いでウメコが飛び込んできた。


「おはよぉぉ〜っ☆ 朝から全開でウメコテンションMAXっ♡♡♡」


「……お、お前……」


「今日も暑くなりそ〜だね〜♡ ウメコ的にはアイスと縁側デート希望っ♡」


眩しい。

いや、陽射しよりギャルが眩しい。


さっきまでしんみりしていた気持ちは、一瞬で吹き飛ばされた。


「なぁウメコ……ちょっとは朝の空気、読めないの?」


「えっ、空気? 読むより吸う派だよ?♡」


「うまくないわ」


「だいじょぶ♡ タケルの部屋の空気、ぜ〜んぶウメコ仕様にしといた♡♡」


「なんだよそれ……って、うわ、ちょ、布団に入ってくんな!」


「ふふふ、タケルのぬくもり残ってる布団とか、マジ尊み♡」


「語彙がうるさい」


それでも、気づけば僕は笑っていた。

夢の中で会った小さなあの子。

その面影を重ねるようにして、ウメコを見つめる。


「……もしかしてだけど、お前、昔はもうちょっと大人しかったか?」


「んー? まさか〜♡ ウメコはず〜っとこのまんまだよ? ってか何それ、夢? どんな夢? ウメコ出てた? 可愛かった? 抱きしめた? キスした?!」


「してねえよ!」


「ちぇ〜っ……夢の中でもウメコに惚れてる展開、欲しかったなぁ♡」


やかましい。


でも、夢の余韻と、今こうして膝の上に頭を乗せてくるギャル。


なんだか、胸の奥が少しだけ、あたたかくなった。

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