表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/8

04 勇者一行

 あまりのわかりやすさに、私は顔がにやけそうになった。

「何をにやけている……」

 やばい、気づかれた!

 私は慌ててアオの後ろに隠れた。

「お前はもう少し表情を隠す事を学べ」

「だって、つい顔に出ちゃうんだもの。アオとは違うの」

「アオ?」

 私がアオと話していると、オーガが首を傾げた。

「なぜあなた様の事をそう呼んでいるのですか?」

「私がつけたんだよ。名前があった方が呼びやすいでしょ?」

「俺たち魔物に名前は不要だ。魔王様は別だがな」

「えー。アオは気に入ってるよ。ねぇ?」

「……おい、勝手に決めるな」

「そうだ! 人間の分際で名づけなど!」

「いいじゃない。あなたもその方が呼びやすいでしょ?」

 私がそう言うと、オーガはそっぽを向いた。

「オーガよ。お前にはアオと呼ぶ事を許可する」

「なっ、よろしいのですか?」

「……構わん」

 アオはぶっきらぼうにそう言うと、また横になった。

「では、アオ様。俺はここで失礼します」

 オーガはそれだけ言って森の奥へ消えていった。

 オーガを見送って、私はふとアオを見た。

「ねぇ、アオ。この森って他にも魔物がいるの?」

「そうだな。オーガの他にスライムやオーク、ゴブリンなどもいるな」

「私、ここに転生して川に行ったら、でっかい蛇が出てきたんだよ!」

「あー……それはお前がそいつの縄張りに入ったからだろうな。それに人間は珍しいから獲物とでも思ったんだろう」

「えーっ! じゃぁもうちょっとで私食べられるところだったの?!」

「まぁ、そうだろうな」

「よ、よかったー。あの時全速力で逃げて……」

「だが、お前の足ではすぐ追いつかれるだろうに」

「え? でも、追ってこなかったよ?」

 私が首を傾げていると、アオは何か思い出したように頷いた。

「あぁ、ここは俺の縄張りだからだな。どうだ、またその蛇に会ってみるか?」

「いえ、遠慮しときます!」

 私はすぐに片手を上げた。また襲われでもしたら大変だし。

「なんだ、つまらんな。その姿なら奴もわからないだろうに」

「あ、そっか。今私は魔物なんだ」

 それなら大丈夫かな。アオも一緒にいるし。

 私がわくわくしていると、アオが呆れてため息をついた。

「俺は一緒には行かないぞ」

「えーっ! なんでよ!」

「面倒だからだ。お前1人でも大丈夫だろう」

「嫌だー! 一緒に行こうよー!」

 私はアオの体を思いっきりゆすった。

「しつこいぞ……行かんと言ったら行かんのだ」

 アオはしっぽで地面を叩いた。あ、すごく怒っている。

 私はアオが怒っているのがわかったので、大人しく離れて1歩下がった。

「じゃぁ、私だけでちょっと行ってくるよ」

「ふんっ」

 アオは鼻を鳴らしてそっぽを向いた。

 そして私が森へ行こうとすると、向こうで爆発が起こった。

「な、なに?! なんかすごい音がしたんだけど」

「どうやら向こうが騒がしいようだな」

 私たちが話していると、森の中から小さな光の球がやってきた。

 その光は私たちの所まで来ると、妖精の姿に変わった。

「大変です! また勇者たちがやってきました!」

 妖精はすごく慌てているようだった。アオもそれを感じとったのか体を起こした。

「仕方ない。追い返すとするか……」

「私も行くよ!」

「お前はここにいろ」

「でも、怪我している魔物もいるかもしれないじゃない。私の力があれば便利でしょ?」

「……」

 アオは私をじっと見つめてきた。やばい、怒られるかな。

「……わかった。だが、目立たないようにするんだぞ」

「ありがとう、アオ!」

「あの、この方は誰ですか?」

 妖精は首を傾げていた。まぁ、そうなるよね。

「気にするな、行くぞ」

 そして、私たちは森の奥に行った。

★★★

 森の中の少し入った所に、ひらけた土地があった。そこで魔物と勇者たちの戦闘が始まっていた。

 私たちは茂みから様子をうかがっていた。

「なんか、魔物の方がやられている気がするんだけど……」

 私の言った通り、魔物の方が押されていた。よく見ると、負傷している者もいる。

「じゃぁ、私は向こうに行って怪我している魔物を治してくるよ!」

「あ、こら待て! 勝手に動くな!」

 アオの止める声も聞かず、私は魔物が集まっている所に行った。

 そこには、たくさんの魔物が傷を負っていた。軽傷の者から重傷の者まで。

 私は急いで近づいて傷に手をかざした。

「ひっ! な、何をするんだ!」

「落ち着いて。傷を治すだけだから」

 すると、徐々に傷は治っていった。それを見ていた他の魔物は大喜びしていた。

「すごいぞ! これならまた戦える!」

「ありがとう! 他の奴らも治してくれ」

「わかった。怪我をしている魔物はこっちに連れて来て下さい!」

 私が治しているのを、遠くにいた勇者が見つける。

「なぁ、あそこにいる魔物、仲間の傷を治していないか?」

「本当だな。これ以上回復させられたら、こっちが不利だぜ」

「あの魔物から倒すか……」

「何をこそこそ話している! フレイム!」

 オーガは炎の球を放ったが、魔法使いが水の球で応戦してくる。

「ウォーターボール!」

「ちっ……」

「オーガ! あなたも少しやられているじゃない。治してあげるから……」

「なっ! こっちに来るな!」

「マジカルサンダー!」

「えっ……?」

 魔法使いの放った電撃が私に向かってきた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ