表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/102

二十七話 『再来の大迷宮』

俺らは――



「IN THE――」

「大迷宮や~!」



瀕死の重体から生き残ってたった一週間。



「戻ってきた」

「恐怖って感情はあんのか、お前ら」



トラウマ? 何それおいしいの状態。



「頑張るで~!」

「お~ウ!」



大迷宮に戻ってきた馬鹿パーティーである。



★ ★ ★



「準備怠ったあかんで」

「アリス、OKでス!」

「俺も」

「俺もできたよっと」

「いざ、大迷宮へ――」

「「「「出発!」」」」





「今から考えると人狼って雑魚やな」

「油断ダメですヨ」

「でも事実」

「冷静に見て余裕だな」



あの黒狼の群れに比べれば余裕すぎる。



マジ今でも夢に出るレベルで悪夢だ。



「気配感知に反応でス」

「何?」

「人狼でス」

「迎え撃つぞ」



正面から風切り音。来るっ!



「『プレッシャー』」



下向きの最大重力を人狼に。



「ガウッ!」

「ナイスや、アーロン」



地面に叩きつけられた人狼に、ラルフが剣を突きさす。



「討伐完了、やな」

「マジで簡単」

「……ですネ」



★ ★ ★



「ボス部屋やけど……」

「一回クリアしたけど」

「次も出現すんのか?」

「素材製造機じゃないですカ」



確かに。出入りすれば無限に素材が……!



「金欠解消に最高だね」

「鬼ですカ」



「入るで」

「ん」



ゆっくりとボス部屋の扉を開ける。が――



「何も出ないんやな」

「金欠解消機が……!」

「そこなの!? アーロン!」



シン初ツッコミかも。



「皆トラップの位置とかは?」

「覚えてる」

「なら出発や!」



悪夢の二階層へ一歩を踏み出した。



★ ★ ★



「流石にこっからは全力警戒やで」

「えエ」



周囲の音に耳を傾ける。弓を引く音、要チェック。



「アリスは気配感知を全力で」

「明かりは俺が」

「サンキューや」



シンがコートの中から筒状のを出す。



「俺特製『携帯ライト』」



前方が一気に照らされる。



「「「おおっ!」」」

「流石シンや!」

「オールラウンダーですネ……」

「相変わらず凄いの作るな」



顔、赤いぞ? 明るいからばっちり見える。



『キリ』



一瞬にしてその音で現実に引き戻される。



「避けろ!」



『プレッシャー』、全員を横にぶっ飛ばす。



「って、あっぶな!」

「サンキュや!」

「ウィザースケルトンでス!」



対策はしただろ! ウィザースケルトンは矢が異常に上手い。だから――



「俺が矢をずらす! 先に行け!」

「……了解や!」

「付いてきて」



上手すぎる、故にちょっと重力でずらせば必ず外れる。



「カラララ?」

「ざまあ、だな!」



必死に考えたんだ! お前を破るためにな!



「こっちや!」

「おう!」



後ろに下がりながら矢を捌ききる。



「シン!」

「爆ぜろっ!」



導火線がない手榴弾! 矢もずらす!



「ガララッ!」

「当たった!」

「殺りますカ?」

「殺ろうぜ!」



A級魔獣の素材は約金貨20枚! 最高のコスパだ!



「分かったで!」



煙が晴れ、死神のような視線が突き刺さる。



「物凄い殺気だな」

「もう一発投げる」

「援護する」



無数の矢を必死にずらし続ける。



「散れ」



焼夷弾が炸裂する。ウィザースケルトンを炎が包み込む。



「ガララ?」

「『オーバーホール』」



アリスの新魔法……?



「ガラッ!」



空気が爆ぜた。爆発の魔法か?



「ナイスでス、シン君!」

「終わりや! ウィザースケルトン!」

「いけ!」



ラルフが心臓部を貫く。目から生気が消え、ただの骸と化した。



「ふー、アーロンがいて助かったわ」

「矢、当たらなかったもんね」

「サンキュでス!」



あの数日間、必死に策を講じた甲斐があったな。



「皆いなきゃやばかったよ」

「アリスのあの魔法は何なん?」

「あれは分解の魔法でス」

「「「分解?」」」



爆発系じゃなかったのか。



「空気中の水蒸気を酸素と水素に分解したんですヨ」

「俺の炎がそれを燃やしたの?」

「えエ。そうすると大爆発するんですヨ。サンキュでス!」



アリスの魔法……組み合わせとかでA級にも届くのか。よかったな。



「そして――」

「二階層のボス部屋、か」

「気配感知で戦闘は避けたけど……」

「これは不可避ですネ」



一階層より禍々しい雰囲気……S級魔獣でも出てきたらどうしよう。



「ホンマにここ入る?」

「人はギリギリの実戦で強くなる」

「限界なんて軽く超えないト――」

「魔王になんて届かない」



手袋を嵌めなおす。



「行こうぜ、ラルフ」



ドアが開かれる。



★ ★ ★



中はあの部屋と同じ、神殿のような造りだった。



手前から紫色の灯火が付いていく。未来と逆に幻想的な光景だ。



「あれ……?」

「何もいなイ……ですネ」

「前行こう」



最後尾から前に進みだす。



三歩目、寒気が。やばい、死――



「逃げろ!」

「「「え?」」」



俺以外の全員、振り向いた瞬間絶句した。何がいるんだ!?



「『プレッシャー』っ!」



俺含め、全員前に落とす。でも……間に合わ――



「ぐっは……!」



肋骨が思いっきり折れる音。内臓が傷つき、大量の吐血。やばい、死ぬかも。



「サイクロプス……かよ」



天井から落ちてきて棍棒で殴られた? 不可避じゃねぇか。



「後……頼むぜ」

「「「アーロン!」」」



意識が落ちた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ