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十九話 『地獄の中身』

スピード投稿スタートです! すみませんでした!

「一気に空気が重いな」



 一階層のボスを殺り、二階層に足を踏み入れた瞬間だ。背中がぞわぞわする。



「絶対警戒」

「炎弾出しとくヨ」

「頼むで」



 周囲が照らされるが……不安、恐怖、負の感情が浮かんでくる。



「何かやばい雰囲気やな」

「危険な香りネ」

「気配感知は?」

「反応無シ」



 一歩一歩慎重に進んでいく。



『カチッ』



「なんの音や?」

「ごめん、何か踏んだ」

「シーン!」

「右から何か来んぞ!」

「岩ですヨ!」



 右の狭い通路から超スピードで落石?! やば、止められるか?



「迎え撃つ!?」

「なわけあるかい! 逃げんで!」

「ごめんっ!」

「足動かしテ!」

「こっち来るぅぅっ!」



 悲鳴を上げながら警戒とか無視で元来た道に駆け戻る。やばい、死の恐怖が!



「もう少シ!」

「最後の奴ドア閉めてや!」

「ん!」



 シンが入り込んだ瞬間、俺がドアを蹴り閉める。コンマ数秒後、轟音が響く。



「危っぶねぇ」

「ギリギリやったな」

「シン君、気にしないデ」

「アリス……」



 シンにはアリスが女神にでも見えてんのか?



「でや、二階層に無対策で行くのがアホやったな」

「トラップとか魔物の情報が欲しい」

「シンできる?」

「……どうだろう……分からない」

「シン君が頼リ」

「やっぱできる、間違いなく」



 その変わり身の早さはなんだ?! 全員態度の差に呆然としてるよ?!



「それ専用の魔導具は無いけど」

「どうやんねん」

「知恵と工夫。何とかする」



 シン曰く魔導具とは、魔鉱石って鉱石に魔法を付与するらしい。付与に技術がいるんだと。



 ★ ★ ★



「ビデオと通信機……あと自動歩行機構でいいかな」

「なんですカ?」

「この機械は自分で走ってトラップに引っ掛かってくれる」

「こっちはなんや?」

「映像を映してこっちで見れる」

「凄いな」

「…………それほどでもない」



 クーデレか!



「それ……いくらすんねん」

「……………………問題ない」

「おい」

「とにかく行くよ」



 機械音と共にロボットが動き始める。四足歩行ですぐに行ってしまった。



「映像はこっちで見れるから」

「暗くない?」

「暗視が着いてる」

「有能すぎなイ……?」



「あ、なんか踏んだ」

「シン! 操作や!」

「矢でス!」

「この量は無理じゃない?」



 …………何無理って言ってんだ。操作超上手いじゃん。全部躱しやがった。



「シン……自分天才やないか?」

「化け物ネ」

「……もう何も言うまい」

「割と簡単」



 じゃねぇよ! 簡単じゃないが!?



「とにかく、トラップ1個発見やな」

「次は魔物……いるかな?」

「魔物って人に反応しなイ?」

「ロボットに反応……」

「しないかも」

「なんでやねん!」



 ★ ★ ★



「トラップはこれで5個やな」

「魔物0だけどね」

「しゃーないな」

「行くしかないネ」

「分かった」



「全員、トラップの場所は覚えてんな?」

「ん」

「Yes」

「うん」

「じゃあ改めて二階層出発や!」

「「「おーう!」」」



 ドアを開け、警戒を強める。岩は無くなっていた。



「気配感知は?」

「なシ」

「アリスは気配感知に集中や」

「俺の魔導具が照らすから」



「さっき引っ掛かったのはここやな」

「あと5つ」



「ここがシンの神プレイのとこか」

「あ! 宝箱や!」

「帰るときネ」

「盗られへんかな……?」



『キリ』



「「「「…………」」」」

「……気配感知に反応でス」



 待てよ、この音、もしかして――



「避けろっ!」



 咄嗟に大声を上げる。やばい、最悪の予想だったらやばい!



「っ!」



 耳元で風切り音が聞こえ、何かが頬を掠り、血が垂れる。



「矢が――」

「ウィザースケルトンでス!」

「逃げろ!」

「撤退や!」



 目の端に漆黒の骸骨が映る。やっぱり、さっきの音は弓を引く音か。……純然たるA級だ。



『キリ』



「矢、来るぞ! った!」

「いっ!」

「アーロン! ラルフ!」

「逃げろって!」

「置いていけませン!」



 足を地面に縫い止められた。ラルフは……肩か。くそっ! しかもこの状況で戦闘は……絶対負ける!



「A級を舐めんなって!」

「爆弾なら! 少しは時間が!」

「んっ……」



 シンが導線に着火する式の爆弾を取り出し、投げつける。



「『炎弾』」



 導線の先に火をつけ、ウィザースケルトンに直撃。……もちろん効かないが。ただ――



「爆ぜろっ!」



 爆弾なら!



 ただ、爆音も、爆風も来なかった。



「…………冗談でしょウ」

「っ……!」



 導線部分を矢で抉りとり、火が消えた。ついでにシンの腕に矢を刺す。神業だ。



「まだだっ! 煙幕を!」

「後ろだっ!」



 煙に巻いても、無差別に撃ってくる。しかも動けない俺狙いか!



「アーロン!」



 死を覚悟するが、ラルフの短剣が矢を切り、地面から離れられる。危機一髪、横回転で避けた。



「助かった!」

「全員! 取り敢えず前に逃げんで!」

「「「おう!」」」



 元来た方はウィザースケルトンが待ってる。必然的に前に進むしかない。



「走れっ!」

「シン! 煙幕を!」

「ん! アリス、気配は?!」

「来てル! 矢モ!」

「一列や!」



 一列になってできるだけ被弾を減らすが、頬を掠り、足を掠り、ビンビン死が迫ってくる。



「ラルフ、前に看板が!」

「逃げる者は右へ、戦う者は左へ、や!」

「右に決まってんだろ!」

「おう!」



 全速力で右に舵を切る。右の道へ入った瞬間――



「魔法陣や! 載れっ!」

「助かるかも」

「賭けですネ!」

「こっわ」



 紫の怪しい光が俺たちを包み込む。光が徐々に収まり――



「ここは?」

「…………」

「ラルフ?」

「…………賭けは外れや」

「え? どういう――」



 ラルフが眼下を見下ろして静かに言う。……眼下?



「……命、捨てる覚悟しぃや」



 俺たちは、空中に浮かぶ岩に載っている。



 数メートル下で舌舐りしてるのは、何百体もの黒狼(ブラックウルフ)たちだった。

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