表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/13

第2話:運命

 走り続けて、十数分。


 そんなこんなあったものの、そこの角を曲がれば学校までは一直線だ。


 ふと、脳裏に昨日やったギャルゲーの初めの部分が甦る。






「ハァハァハァ、クソッ。遅刻までギリギリじゃねぇか」


 学校までの道のりを、主人公が行きよいよく走る。


 その途中、角を曲がろうとした主人公。


 だが、そこで誰かとぶつかってしまった。


 主人公と誰かはしりもちをつき、主人公は打ちつけたとこを摩りながらも直ぐに立ち上がる。


 細目で開いた主人公は、相手も倒れたことを知り、思わず手を差し出した。


「悪りぃ、ちょっと急いでいたんでな」


 主人公は相手をよく見ている。少女だった。それもうちの学校の制服を着ている少女。


 少女は俯きながらも差し出された手を見て、一瞬ビクッと震えた。


 数秒間、様子を見た少女は差し出された手に、自分の手を伸ばす。そして、またビクッと震えた。


 だが、俺は何の迷いもなく目の前にある手をにぎる。


「引っ張るぞ」


 一声掛けて、少女は頷く。


 主人公が立ち上がるように引っ張ると、思っていた以上に軽く、スッと立ち上がった。


 手を離すと少女はパッパッと制服を調えた。


 それから俺と向き合い、俯き加減であった少女は少し顔を上げる。


 綺麗、或いは可愛いと言うべきであろう、そんな少女はそこにはいた。


 主人公と目と目が合う。少女の顔は薄く朱に染まっていた。


 また少女は恥ずかしそうに俯いた。


 少し、挙動不審な少女はそっと口を開く。


「あ、あり、ありがと……ん、ありがとうございます」


 一瞬、時間が止まったような気がした。


 そして、胸の中がザワッと騒ぐのを感じた。


 後にそれが何を指しているのか、今は知らずに学園生活を送ろうとしていた。






 といった具合のベタなシチュエーションが脳裏を横切る。


 その時、俺は淡い期待をしてしまった。


 角を曲がれば、恋が待っているのではないか。


 現実では一切ありもしないこと。それを望んでしまったのだ。


 足を一歩、一歩と踏みしめることで、角が迫ってくる。


 もし、そこに恋が待っているのなら、俺はどんな人が良いだろう。


 昨日のギャルゲーのような、少し人見知りのおとなしめの子か。


 或いは、学校でまた再会して「お前は、朝ぶつかってきた男」などと言ってくるツンデレ?


 そのどちらかが好みだ。


 などと考えている内に、無意識に曲がってしまっていた。


 妄想の中にいる俺は、現実が見えていなかったらしく、誰かぶつかってしまう。


 ぶつかった衝撃で、二人とも尻餅をつくように倒れる。


「イテテテ……げっ、しまった」


 現実逃避しかけていた俺は、現実的な痛みですぐさま現実に戻り、倒れた相手を見る。


 どこかの女子生徒だった。ショートカットのその少女は俯き、そのまま固まっている。


「あちゃ〜、本当に起こるとはな」


 少し後悔するように、相手には聞こえない程度につぶやく。


 そして、手を差し出した。


「ほら、掴まれ。遅刻すっぞ」


 現実世界に戻った俺は遅刻というものを思い出した。


 今日はヤバイ、特に今日だけは遅刻は出来ないのだ。それだけの理由はあるわけ。


 俺がここにいるということは、この子もギリギリなのだろう。なんとなく思う。


 少女は差し出した手を見る。


 少し首を傾けた。フワリと髪が揺れる。


「今日は急がないとヤバイだろ?互いにな」


 俺は少女の手を強引に手を取る。


 少女はビクッと震えたようだが、それはお構いなしだ。


 なんせマジで時間がギリギリなんだから。


「引っ張るぞ?」


 少女は頷く。


 加減は分からないが、手助け程度に引っ張ってやる。


 そしたら勢いあまって今度はこちらの方に倒れる形となった。


 俺は両肩を手で押さえるように支える。


 その時、香水か何かは知らんが、どこか甘いにおいがした。


 何故か胸が騒ぐ。


 それから嫌な予感がした。


 目の前にあるこれは何者だろう?


 心の疑問、本能が俺に告げる。


 これは関わってはならない者。


「―――――」


「………?」


 華奢な体つきの少女は、体に伴った声を発した。


 小さくて聞こえずらかったが、確かに聞こえた。


 お礼を伝える言葉。









“ありがとう”と。

さてと、読んでくださってどうだったでしょうか?

まぁ、そこら辺は評価していただいて、と。

次回は前書きを書きます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ